表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/75

第18話 戸惑いと感謝

むかしむかしにんげんにわるさをするわるいモンスターがいました。


そのモンスターはまおうという、とってもわるいひとにしたがっていました。


あるひ、ゆめのなかでめがみさまからつよいちからをさずかったゆうしゃがあらわれました。


ゆうしゃは、ひとびとのためにまおうをたおすたびにでました。


たびのとちゅうでであっただいじななかまとともに、せいれいたちをしたがえて、まおうじょうにむかいます。


まおうじょうではげしいたたかいのすえ、ついにゆうしゃはまおうをたおしました。


おしまい

何やらいい匂いが鼻腔(びこう)をくすぐる。


そういえば私、風邪をひいて寝てたんでしたっけ……


ゆっくりと目を開けると、柔らかく私の手を握り、コックリ、コックリと舟を漕いでいるサキュバスの姿が。


本当に私の体内の魔力を調整してくれていたのだろう、僅かに開いた口から垂れている涎は眠気によるものだと思いたい。


と、


「ん、……目が覚めましたか?お姉さま」


僅かに動いた体にでも気付いたのか片手で目を擦りながらそう聞いてくる。


「えぇ。あなたのおかげで寝る前よりは随分楽になりました」

(もや)がかかったようだった頭はすっきりしたし、体の気怠さも比べ物にならないほどだ。


「そうですか。それは良かったです」

フフフと控えめに笑い

「ではご褒美をください」

と続けてきた。


「ろくなお願いで無ければ善処(ぜんしょ)しますが」


「身体を触らせろだの、そんな事は言いませんよ」


警戒しているのが丸わかりなのだろう、自分からそう申告してくる。


「とりあえず言ってみてください。聞いてから決めますので」


「私を名前で呼んでください!」

はて?名前などリリスは付けていないはずですが……


「私が勝手に考えましたの。お姉さまと釣り合うような名前を」


ふむ、まぁ、それくらいならば


「構いませんよ。今後なんとお呼びすれば?」


「パパラチア……パパラと呼んでください」


「分かりました。ありがとうございますね。パパラ」


「あぁ……!お姉さまが!誰にも呼ばれた事の無い私の名前を!しかも愛称で!感無量です!」

目の前で急に幸福メーターが吹っ切れた方が一名。


「と、幸せに(ひた)って忘れるところでしたが、食欲はありますか?」


そういえば朝から何も食べていませんでしたね。


風邪とは食欲も無くすのか、言われて気が付きましたが結構空腹です。


「えぇ、お腹……すきましたね」


「スープを作っているので持ってきますね。パンも食べます?」


お願いしますと伝えるとスキップ気味にキッチンへ向かう。


窓に目をやれば辺りは夕暮れ。


結構な時間寝てましたね。


ツヅラオはまぁ……心配はいらないと思いますが、気にはなりますね。大丈夫だったでしょうか。


とそんな事を考えていればパパラがスープとパンを持って来てくれる。


匂いだけで美味しい事を確信しつつ、ゆっくりとその日初めての食事を口にした。


途中で、あーんしましょうか?だったり、

ふーふーしましょうか?

と不要な申し出が多々ありましたが全てを拒否して無事完食しました。


「また寝ていれば明日の朝には完治していると思いますが、くれぐれも!二度と!魔王の悪夢は控えてください。風邪なんかで済んでいるのが本当に奇跡のようなものですからね」


と帰る前にパパラに念を押され、

流石にこんな体験したらしばらくは使わない。

と返すと

「二!度!と!ですよ。もう、……お姉さまだけの御体ではないんですからね?」

と言われましたが……


あなたとの体でもありませんからね?


まぁですがかなり助かった事は事実ですし、後日リリスにも合わせてお礼をしなければ。


と心に決め、また私の意識は沈んでいった。


*


こんにちわなのです!ツヅラオなのです!


マデ姉が体調不良という事で僕がダンジョン課にて対応させていただいているのですが、いつもと様子が変なのです!


強そうな冒険者さん達がいっぱい来て、

マデ姉をパーティに入れたい、や

マデ姉と手合わせをさせてくれ

とお願いに来る人が後を絶たないのです!


ミヤさんや他の課から対応のお手伝いに来て貰っていますがそれでも大変なのです!


さらにはマデ姉とかか……神楽様との闘いを見てやる気になった冒険者さんたちもダンジョンの紹介を受けに大勢来るのです!


今までは一日平均10組前後程度だったのですが、今日だけで40組目になるのです。


他の組に回したダンジョンと被らないように希望に合ったダンジョンを探すのは骨が折れるのです。


ようやくギルドが閉まる時間になった頃には、ギルド全体が疲労困憊(ひろうこんぱい)だったのです。


「というかマデラを指南の相手にしたのは悪手だった気がしてきた……そらあんだけ強いの見せたら引き抜きに来るって分かりきってるわ」


とミヤさんがぼやきますが、それ、後の祭りなのです。


「本人不在で引き取ってもらったのですが……本人居る時に来られたらどうするのです?」


「本人に対応してもらう」

親指立てて輝く笑顔で言ってますのですが、マデ姉は怒ると思うのです。


そもそも今日体調不良の理由も恐らくかか……神楽様との戦闘のせいなのですし……


なんとかなるっしょー


とミヤさんが叫んで皆さん帰ってますのですが……僕、あまりよくない予感がするのは気のせいなのです?

病気パート終了です。

ツヅラオ君視点が何気に書いてて楽しいです。


というわけでいつもご愛読の程、ありがとうございます。

ツイッターでの報告やブクマ、感想を励みにがんばっております。


これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ