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4-16 買い物談義は楽しい。

 マニュアルをざっと読み、早速トーラスはスナイパーライフルの試射を始める。

目標までの距離が近すぎるので不満があるのか、何度も撃っては唸ってる。

 ちなみに、的には防弾チョッキを着させてみているが、当然それはあっさりと貫通されていた。

 何度もマスケットで撃ってたし、あれは廃棄だなぁ。

 とりあえず威力についても桁違いであることを理解してほしかったので、試してみたんだけど伝わってるだろうか?

「これ、もっと遠くまで狙えるね?刻みからすると1㎞くらいは余裕で届くはずだ。当てられるかは別だけど。」

 数度の試射でよく把握してくれている。

「威力も高いです。防弾チョッキはこの銃には無力ですね。」

 なんかベネットがムスッとしている。

「ちなみに、これも弾けそうですか?」

 一応確認してみよう。

「弾くのはできると思う。ただ、剣の方が持たないかも。」

 なるほど、つまりそれは剣の強度が必要ってことだよな。

チタンとか、タングステンとか、そういう金属で作ればあるいは、ライフルの弾にも耐えうるかもしれない。

 それとも、こっちの世界ならそれらより硬い魔法金属があったりはしないんだろうか?

「切れればいけるとは思うけど、速さからするとマスケットよりも切るのは難しくなるかも。」

 なんだか機嫌が悪そうだ。

「なんだい嫉妬かい?ヒロシが自分の武器を準備してくれなくて拗ねてるとか……」

 笑いながらトーラスがベネットをからかいだした。

「違うわよ。ちゃんと弁償してよね。」

 あー、そりゃ怒るよな。愛用の武器をへし折られたんだし。

「分かりました。代わりのものを用意して置きますね?」

 実は、ちょっと当てがある。

ベネットが満足してくれるか分からないけど、手配しておこう。

「え?いや、ヒロシに言ったんじゃないわよ?トーラスが悪いんだから。」

 あ、そうか。

言われてみれば、別に俺は悪くないか。

 でも、それを言うならベネットが始めたことだし彼女が悪いってことになる気もする。

するけども……

「お金は僕が出すよ。だから、ライフルの支払いは分割でお願いできるかい、ヒロシ。」

 そうだよな。

そこは、やっぱりスルーすべきだ。

「その……ごめん、考えてみたら私が悪いんだから、今のは無しで……」

 どうやら、少し冷静になったのか、自分の非に気づいてしまったようだ。

「なんだか浮かれちゃってるみたい、ごめん。調子に乗りすぎよね。」

 しゅんとしてるけど、愛用品が壊れたらだれだって他人にあたりたくなる。

そんなの誰でも一緒だ。

「気にしないでください。ちょっと当てがあって、いい奴が仕入れられそうなんで。」

 ばつが悪そうに、髪をいじりながらベネットは俺を見る。

「お願いします。」

 ちょこんと頭を下げる仕草がなんとも子供っぽい。

そこが可愛いんだけども。


 試射が終わり、上に戻る。

耳に詰め込んでいた耳栓を取り外して、カウンターで3人そろって腰を掛けた。

 しかし考えてみると明らかにベネットは強くなってる。

人を値踏みするようであまり気乗りしないんだが、俺は二人を鑑定してみようと思った。

 ベネットは当然レベルアップしている。

その数値は俺の倍になっていて、能力値もわずかに上昇している。

 どうやらマジックアイテムを装備しているらしく、人間の限界を超えた20になっている。

そりゃ大剣を片手で扱えるわけだ。

 剣の才能も伸びているし、バレットガードという特殊能力も身に着けていた。

詳細を確認すると同時に3発までの銃弾を弾くことが可能らしい。

 だけど、まあ、それならアサルトライフルみたいな連射する銃とかには対処不可能か。

 とりあえずそういう銃は持ち込まないようにしよう。

 他にも、銃撃を受けると分かっていないと使えないらしいので狙撃は怖いな。

そういう意味で言うと、ライフルを渡したトーラスはやっぱり天敵になるのか。

 とりあえず、仲たがいみたいなのはさせないように注意しないと。俺も、トーラスを敵に回したくない。

「ヒロシ、さっきのやつはやっぱり分割をお願いできるかな?」

 頼んだ飲み物を口にして、一息ついたところで、トーラスが支払いについて改めて申し込んできた。

「問題ないですよ。支払いは月2枚でどうでしょう?」

 まあ、割と高めのライフルなので気長に回収しよう。

 でもトーラスも、それなりに稼いでいると思うんだけどな。

トーラスも鑑定してみたけど、レベルは6になっている。

ベネットより低いとはいえ、それなりにレベルアップしていた。

射撃の才能も順調に伸びている。

 シャープシューターという特殊能力があって、それがマスケットでも部位狙いできる腕前を与えてくているみたいだ。

物理法則的におかしかったもんなぁ。

 いや、まあ順序が逆か。

二人がかなり訓練をしている場面に出会っている。

 それはもう、俺が訪ねてみれば用事はないときは訓練しているように思えるくらいだ。

努力してそういった能力を身に着けたので、シャープシューターを所持していると表示されたと思うべきかもしれない。

 物理法則超えちゃうのはどうかとは思うけど、それでもマスケットの射程距離を超えて当てられるとか、そういう頭のねじがぶっ飛んでるような能力じゃない。

根本として俺に与えられた能力みたいに何の努力もせずに得られるものじゃないだろう。

多分。

 しかし、二人に置いてかれちゃってるなぁ。

出してもらったコーヒーを口にしながら、ちょっと不安を覚える。

戦闘で頼りきりになりそうだ。

 いや、俺も努力してレベルアップを目指すべきかな?

「ねえ、ヒロシ。剣のことなんだけど……」

 ちょっとベネットは不安そうに尋ねてくる。

愛用の武器がないと落ち着かないのも分からなくもない。

「すぐ用意しますよ。ご予算はいかほどで?」

 まあ、全額俺が払ってもよかったんだけど、一応聞いておこう。

「そうね、現金は4万ダールくらい。証書で同額くらいは用意できるわ。」

 結構な金額だな。金貨換算で合計800枚か。

余裕で車買えるレベルだ。

「つまり魔剣をご所望ということで?」

 そんな金額の剣ともなれば、+2相当の武器が買える。もちろん、それは商人から買えばの値段だ。

俺の儲けを考えなければ、もっと高い武器が買えるかもしれない。

 もちろん、先生にお願いするって言う手もある。

それなりに手間と時間がかかるけど、複雑な強化でなければできると言われていた。

 だから普通の剣を買って、それを強化してもらうという手を使えば発掘されて見つかった武器と違って、デザインも選べるし素材も自由に選べる。

 とはいえ先生だから気軽にお願いできるが、それだけの腕を持ってる魔術師はなかなかいない。

 やはり基本はギルドに所属している商人から手に入れるのが順当だろう。

 ただ、今回はもう一つの手を考えている。

「伝手があるみたいに言ってたけど、本当に平気?」

 流石に金額が金額だけに不安になるよな。

「まあ、現物を見てから決済でも構いませんよ?気に入らなければ別のを探してきます。」

 まあ、そうそう気安く安請け合いをする金額じゃないんだが、何とかならないこともない。

しかし、先生にお願いするのが一番安定するとは思ったけど、銃も強化できるんだろうか?

複雑だから無理だよとか言われるかもしれないけど、今度聞いておこう。

「ちなみに、二人とも必要なマジックアイテムがあれば言ってくださいね?武器以外でも探せると思うので。」

 何も武器だけがマジックアイテムじゃない。

ホールディングバッグを筆頭に、いろいろと便利なアイテムはある。

 まあ、二人の資産がどんなものか分からないので、強引に勧めるつもりはないけれど。

「あー、そうだな。マスケットをしまえる収納が欲しいかな。即座に取り出せる腕輪状の奴なんだけど。」

 ストアリングブレスレットか。

確かに合言葉を言えばしまえて、指を鳴らして取り出せるから滅茶苦茶便利だ。

 とはいえ、金貨1000枚はする高級品だ。

「それ、結構なお値段しますよ?」

 値段をトーラスに告げると、表情が固まった。

流石に1000枚はきついよな。

「ううん、さすがにそれは。標準的なホールディングバッグにするかなぁ。」

 確かに、取り出しに手間がかかるとはいえ、一番安いもので1/4の値段で買える。

「ポーチ型なら、邪魔にならなくていいかもですね。」

 値段も最安値の標準的なホールディングバッグと変わらない。ただ、同じ値段なのに入れられる容量が半分しかないのは微妙と言えば微妙だけど。

「いろいろ欲しいものはあるけど、結構高いのよね。フェザーフォーリングリングがあれば欲しいかなぁ。」

 《軟着陸》の指輪か。

確かに落馬しそうになりそうなときは助かるし、いろいろな地形で段差を飛び降りれるのは便利かもな。近道が出来たりするし。

 ちなみに、俺も呪文で《軟着陸》は覚えた。指輪と違って呪文で用意して置けば複数人を対象にできるので、呪文の方が便利だろう。

 まあ、馬車みたいにデカい奴だとさすがに対象にできない。レベルが上がればできるらしいから、やっぱりレベル上げはしておくべきかなぁ。

 しかし、いずれにせよ安い買い物じゃない。

それが購入対象に上がるって言うことは、二人とも相当に稼いでるんだなぁ。

専属契約を結びたいと思ってるけど、契約料賄えるか不安になってきた。

「エバースモーキングボトルとかも便利そうではあるんだけど、効果と比べると高すぎよね。」

 煙幕かぁ。

「まあ、銃を撃てば好きに煙は出せるけどね。」

 そりゃそうだ。

何であれば、生乾きの枝とかを燃やすのでも結構な煙は出せる。

とはいえ手間は手間だよな。

「まあ、似たようなものであれば、ありますけどね。」

 発煙筒を使えば永久とはいかないが結構な量の煙を出せる。

「そっか、無理にマジックアイテムにこだわる必要はなかったわね。ヒロシの売ってくれたランタンとか、すごく便利だもの。」

 そういえば、LEDランタンは二人とも買ってくれてたな。

 意外とあれは不人気商品だ。

便利で値段も手ごろにしてあるけれど、どうしても見た目や機能が奇異に映るらしく、明かりの魔法が込められたガラス球の方が売れる。

 もっと価格を下げるか、見た目を変えるかしないといけないなぁ。

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