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4-13 決算はつらい。

 年の瀬も暮れて、開けるとギルドの決算日がやってくる。

持っている証書と借用書、細かい控除の適用を受けるための書類作成、それらの事務処理をライナさんを中心に俺もグラスコーも巻き込んでてんやわんやだった。

事務所で済む話なので天気なんか関係ない。

帰れないなら、倉庫にある事務所で寝ろって勢いで仕事した。

 事務なんか初めてだから、俺が早々に音を上げた。

公開するのをためらっていたタイプライターを投入し、インベントリ越しにモニターを見せられるようになっていたので、パソコンで表計算させることを了承させた。

その上で、プリンターで書類を印刷することにも許可を貰ったけど、結局フォーマットがないから今年は作業量が減った気はしない。

 でも、一度作っておけば来年は楽になるはずだ。きっと!多分!!

 年明け前には何とか、処理が終わり、年明けには燃え尽きた状態で部屋で過ごした。

忙しい間は通話でベネットに愚痴ったり、トーラスに慰めて貰って何とか乗り切れた。

 ありがとう二人とも。この恩は忘れない。

 ちなみにベンさんは文字が書けないので、戦力外だ。

その分の給料は反映されてるんだから、恨み言を言うのはおかしいんだが、暇そうにされていると殺意が湧いてくる。

同じ地獄を味わえーという暗ーい感情に支配されそうだった。

 よろしくないね。

忙しさは人を狂わせる。

 決算日を過ぎたので、大量の金貨が金庫の中に眠っている。

俺がマージンを取ってるので、大分目減りしているはずだが、それでも結構な金額だ。

そこからライナさんとベンさんにボーナスが出る。

 当然二人ともほくほく顔だ。

いや、ライナさんがいなければ、控除額はもっと少なかったわけだし、ベンさんもベンさんで俺たちが事務処理をしている間、事務処理以外は全部やってくれてたんだから当然の権利だ。

 ちなみに俺が証書で預かった分も現金化されたので、俺の隠し口座も潤沢になった。

当然売買のレベルも上がった。

 というわけで、年明けののんびりした空気の中、倉庫にある薪ストーブでシシャモをあぶりながら祝杯を挙げている。

燃え尽き症候群から何とか立ち直ったので、この場でレベルアップの内容を確認しよう。

 他者へのサービス適用

 つまり、ゴミ処理サービスとかを他者に利用させられるって事か?

便利、と言えば便利なのかなぁ。

あんまり使えなさそう。

 そもそも、ゴミ箱ってインベントリ内のものを処理する能力だし、外側に出せないと不便だよね?

また電子音声が響いて俺はびくっと背筋を伸ばしてしまった。

「お?どうしたヒロシ、風邪か?」

 ベンさんが心配そうに見てくるが、グラスコーはいつものことだろ的に受け流してる。

 ちなみにライナさんは、まだお休みだ。

「平気です。大したことじゃないんで。それより、シシャモ焼けましたよ?」

 いい感じに焼けたシシャモをベンさんに渡す。

「お、ありがたい。この魚旨いな。骨ごといけるから食いやすくていいし。」

 何度か、丸ごと食っているところを見られているので、ベンさんも慣れたもんだ。

「グラスコーさんもどうです?」

 魚嫌い派のグラスコーにも進めてみた。

興味はあるらしいが、今のところ矜持が邪魔して口にしたことはなかった。

「しょうがねえ、そこまで勧めるなら食ってやる。祝いの席だしな。」

 蒸留酒を入れたカップを片手にシシャモを手にする。

そして、ちょっと躊躇いながらシシャモをかじる。

旨いのか不味いのか、分からん顔してんな。

「うま、いや、その、いや旨いわ。」

 旨いなら、もうちょっと嬉しそうな顔しろや。

まあ、いいか。

 とりあえずさっきの電子音の正体を確認しよう。

多分、収納がまたレベルアップしたんだろう。

こうポンポンポンポンレベルアップすると、ありがたみが薄くなるな。

ゲームバランスおかしいだろうと。

ゲームじゃないから、ありがたく使うけども。

 とにかく内容を確認して使いこなせないと、本当に宝の持ち腐れだ。

まず収納容量が、ついに2桁トンを超えた。

 んで、追加された能力は、バッグや籠をインベントリの出入り口に指定してやることができるらしい。

なるほど便利だな。

これなら適当なかごをゴミ箱にしてやればいい。

 どうやらつなげた出入り口ごとにタブを作って容量を割り振ってやれば、入出庫の制限も可能見たいだし、ゴミ箱直行タブを作ってやれば問題ないだろう。

アクセス権限も1つの出入り口に個別に権限付与ができるらしい。

例えば、ゴミ箱だったら入れるのは誰でもって指定、取り出し権限は無しにしてやれば、二度と取り出せなくなるが便利なゴミ箱にできる。

 ちなみに権限は出入り口1つに対して誰でも、俺だけ、その他にもう一人という形になる。

容量割り当てもしないといけないから無限に作ってたらあっという間に食いつぶされるか。

ゴミ箱は、速攻処理に回せばいいから、そんなに容量は必要ないけど、誰かに入出庫を任せるとなると本当に分割運用みたいなものになるな。

 とはいえ、一応出入り口の総数も8つまでとなってるし、どこでもどんなとこにでもというわけにもいかない。

他に、割り当てた容量に関しては、指定したバッグとかに触ればパーセンテージ表示、もしくは重量表示がされる。

出し入れに関して言えば、俺のインベントリと違い入れたり出したりの作業がいるから、そこは面倒くさいかな。

取り出すときに探る動作をしないと何があるかもわからないし。

 とはいえ便利だよな。

売買のしょぼさに比べると圧倒的に収納の方が使い勝手がいいんだよなぁ。

 いや、しょぼくないしょぼくない。

感覚がだんだんマヒしてきてる。

これだけの資金を手に入れられたのは、売買のおかげだ。

それに基本的に収納を生かせるのも売買でのサービスがあったればこそだ。

感謝しこそすれ貶めて良い訳ないよな。

 さて、俺もシシャモ……

無いな。

なあ、二人ともなんで目をそらすのかな?


「で?そいつには何でも入れていいのか?」

 早速、手近にあったゴミ箱に出入り口を設定してみる。

一応、大切なものを捨ててしまったとならないように100㎏の割り当てをして廃棄の際にチェックを促すように設定しておく。

廃棄の設定とかもサービスの効果だから、売買はやっぱり大切。

「何でも入れるって言っても容量限界以上は詰め込めませんよ?」

 何を詰め込むか分からないので、何でもというのはやめよう。

時間停止してるし、平気な気もするけど念のためだ。

「それと虫とか一緒に混ざってると、虫だけが吹き出してきますからね?」

 あんまりそこら辺の衛生観念はよろしくないので、注意しておこう。

生き物はこの中には入らないって原則は忘れてほしくない。

 ちなみに、この生き物って括りに細菌は含まれない。チーズとかの発酵食品は入れられるからな。

但し、発酵は止まるみたいだから非活性になると考えればよさそうだ。

 ちなみに予定としては、グラスコーから預かっている荷物のタブにつなげたバッグも渡すつもりだ。

全部の荷物を預かってるわけでもないので、割り当ては2tほどだけど、十分な容量だと思う。

 こっちから、そのタブにはアクセスできるんだが、それはなるべくご法度で行こう。

ちなみに、なぜ今やらないかと言えばベンさんがいるからだ。

余計なことを教えてしまうとベンさんに迷惑がかかるかもしれないしな。

 そこらへん、ベンさんも君子危うきに近寄らずといった態度だし、その方がいいだろうという判断だ。、

「まあ、いいや。なんか面白いことが思いついたらやってみよう。」

 馬鹿か!無茶すんなつってんだろうが!!

「やめてくださいね。」

 悪だくみするときはニコニコしやがって、普段からもっと愛想よくしろよ。

「まあ、それよりもヒロシ。俺が車を買いたいって話をしてたよな?」

 もちろん知ってる。

実は、お勧めするつもりの車種もいくつか選定済みだ。

「もちろん、なんか考えてんだろ?」

 まあ、とはいえこいつに運転させて平気かなぁ。道路教習サービスとかあると便利なんだけども。

教習受けさせても守りそうもないあたりが不安でもある。

「一応考えてますよ?参考資料も渡しますんで、見てみますか?」

 念頭に置いたのは、荷物が載せやすくて荒れた道でも走らせられる車種だ。

道路状況を考えてどう考えてもオフロード仕様じゃないと難しいだろう。

 まず初めに考えたのが軽トラックにオフロード改造を施した車種。

 もう一つは、ワンボックスバンに同じく改造を加えた車種。

 そして元からオフロード仕様のSUVだ。

 値段も最初から順に高くなる。

写真を添付してるので、ベンさんに見られるのはまずいかとも思ったが、結局現物は見られるわけだから気にしないことにした。

魔法だと思ってくれればいいや。

 実際、ゴミ箱も便利な魔法くらいの感じで受け止めてくれてるみたいだし。

資料に関しては、ちゃんとこっちの言葉に翻訳してある。

「金貨600枚か。お買い得だな。」

 一番高いSUVだが、当然俺のマージンを含んだ値段設定をしている。

 因みに、一番マージンが高いのもSUVだ。

ランニングコストに関しては記載しておいたが、燃料については記載してない。

 こっちで石油があるなら、こっちで手に入れるべきだろうし、安易に売買で手に入れた物資を持ち込みたくない。

 とはいえ、今のところは聞いた事は無いから目をつぶるしかないわけだけども。

「一番安いのだと300枚で買えんのか。でもだせえな。」

 まあ、軽トラだからなぁ。

オフロード仕様として、バンパーやらフレームやらに手を加えられているけどやっぱり軽トラはおもちゃみたいに見える。

 でも一番使い勝手がいい気はする。

道交法上、やっちゃいけないが後ろの荷台に人を乗せやすい。

荷物もそこそこ載せられるし、値段を考えると割とおすすめだったりもする。

ダサいけど。

 人を乗せやすいと言えば、ワンボックスが一番安全で人も乗せやすい。

荷物は、ホールディングバッグや収納の能力でカバーできるわけだから、悪い選択肢じゃないだろう。

 まあ、つまりどれでもお勧めですよってやつだ。

あとは好みの問題だ。

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