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2-24 サービスって無料って意味じゃないんだよなぁ。

 さて、”売買”のレベルが上がったわけだが……

 いったい何が基準になったんだろう?

 所持金額だろうか?

 取引額だろうか?

 一気に商いしすぎたせいで、ちょっと把握しづらい。

まあ、取引額なんじゃないかな。

ちょっと落ち着いて、レベルアップした事による特殊能力の変化を知りたい。

早く夜にならないかな。

「お前もそわそわするか? いや、俺もこういうでかい商いができた後ってのは興奮するんだ。」

 グラスコーも、ちょっと興奮気味だ。

いつの間にやら、雪がやんでいて日差しが出ているせいか、体が熱く感じる。

「まあ、商売は切り上げて良いだろう。

 売る方も買う方も一段落ついちまったしな。」

 店じまいとばかりにグラスコーは片付けを始めている。

お昼を過ぎてまださほど時間は経っていないが、グラスコーの言うとおり村人達の姿ははけている。

 アレンは相変わらず空気を読まずにグラスコーにまとわりついているが、あの男の何がそんなに気に入ってるんだろうか?

 まあ、大もうけできたことにグラスコーはちょっと上機嫌であめ玉なんかをアレンに与えていたりする。

 飴あるんだな。

 しかし、今日一日で大分帳簿を付けた。

その上で、まだ取引回数は少ないとはいえ、自分の帳簿も付けなくちゃいけない。

そう考えると、レジスターか何か欲しくなってくるな。

 ついでにパソコンでデータ管理できたら楽なんだけどなぁ……

 うーん。

調べたいことが山のように出てくる。

「ヒロシ、馬車の準備しておいてくれ。俺はじいさんに挨拶してくるから。」

「分かりました。」

 とりあえず、馬車に乗れば少しは考える時間ができるかな。

俺は馬車の準備と護衛の二人を呼びに行く。

 どっちも順調に事が運んだので、1時間もしないで出発の準備ができた。

グラスコーが戻ってきたので後は出発するだけだ。

「雪もやんでるし、順調にいけば日が沈むまでには街に着けそうだな。」

 グラスコーの言うとおり雪はやんでいる。

空はやや薄曇りだけど、再び降り出しそうでもないな。所々日差しも見える。

若干、雪で道がぬかるんでいるが馬車が進まないって程じゃないな。

 ロバの蹄と馬車の車輪が轍を作り、街道をゆっくりと進み始める。

肌寒いのか俺以外はみんなマントを羽織って震えていた。

「ヒロシはよく平気だね。寒くないの?」

「いや、寒いですよ? ただ羽織る物が無くて……」

 いざというとき毛布をかぶってたら危ないしね。

ただ思いの外、保温機能付きの肌着のおかげで寒さを軽減できてるのかもしれない。

「仕方ないな。俺の予備を貸してあげよう。」

 そういいながら、トーラスが予備のマントを出してくれる。

「ありがとうございます。」

 まあ、寒いときに寒い格好をされてると、それだけで気が滅入るもんな。

ありがたく受け取って羽織らせて貰う。

革で作られたマントは、薄手だけど丈夫そうで意外と保温性が高い。

「こう言うのって、自前で揃えるんですか?」

 意外と縫製がしっかりしているので、気になって聞いてみた。

「そうだね。傭兵団に所属していれば大抵ひいきの仕立屋があるから、そこに頼むんだ。」

 傭兵団ねぇ……

 どうにも良いイメージが湧かない。

明日をも知れぬ荒くれ軍団みたいなものだと勝手に決めつけていた。

 だけどギルドを通じて行商人の護衛に付いたり、装備品の斡旋もあるみたいだから意外とまっとうな組織なんだろうか?

「まあ、とはいえピンキリだからね。ぽっとでの傭兵団だとろくでもない店を紹介されるって事も結構あるよ。」

 ピンキリか……

 どれくらいの傭兵団を渡り歩いてるんだろう?

「トーラスさんは、傭兵としての経歴長いんですか?」

「そうだね。銃の扱いを覚えたのは故郷でだけど、それから色々あって傭兵団を渡り歩いてるよ。」

 思い出すように指折り数えているけど、そんなに簡単に所属を変えられるのか?

「やめる時にいざこざとか無いんですか?」

 いざこざと言った途端、トーラスは渋い顔をする。

 あー、これはさっき言った色々には相当な苦労があったのかもなぁ……

「基本的には契約によるし期間が過ぎれば関係ないんだけど、そう割り切れないのが人間だよね。」

「確かに……」

 俺は力なく頷き、同意するしかなかった。

思い出すと、派遣も理不尽なことは結構あったしな。

 しかし、法律も契約も建前なんて文化、日本だけにして欲しかった。

ちょっと気まずくなって二人して黙ってしまう。

 まあ、男二人で盛り上がるのもなんか変だしここらへんでおしゃべりはやめよう。

「ちょっと帳簿見てますんで、馬車の方お願いしますね?」

 そういいながら、俺は帳簿を取り出して視線を落とす。

「あぁ、何かあったら声をかけるよ。」

 トーラスも請け負って、黙って手綱を握ってくれた。

と言っても俺は帳簿を見るって言うのは口実で、実際は別のことをしたかったわけなんだが……

帳簿に視線を落としつつ、俺は”売買”の特殊能力について確認を行うことにした。


サービス購入

卸購入

オークション利用


 レベルアップ内容をウィンドウに表示すると、その3つの項目が記されている。

 サービスの購入ってなんだろうか?

 まず真っ先に思い浮かんだのが、無料の物が手にはいるとかそういうことを思い浮かべてしまったけど……

 多分違うよな。

 有形な物品の取引ではなく、無形の恩恵が取引できるとかだろうか?

 ともかく、購入画面を見てみる。

 タブの中にサービスという項目があるので、そのタブを開いてみた。

まず最初に目に飛び込んできたのがインターネットプロバイダの契約、そして各種保険等だ。

 いや、ちょっと待て……

 インターネットはいいとしよう。

 保険って、ロードサービスや示談交渉とかどうするつもりだ?

 ちょっと不安になってきた。

 しかし、プロバイダ契約もどうなるんだろう?

 とりあえず、そっちを調べよう。

契約内容をじっくりと読み込んでいく。

まず、インターネット回線はこっちの世界ではなく、元いた世界と繋がっているというのは分かった。

その上で、チャットや掲示板への書き込みはできないらしい。

理由は細々と書かれて居るんだが、ちょっと意味不明だ。

どうにもSFじみた解説をされて居るんだが、因果律が云々ってもはやオカルトだよな。

とりあえず、受信に関しては制限を受けないらしい。

 ……これ、パソコン買おう。

 例え、送信に制限がかかっていたとしても、あっちの世界の情報に無制限にアクセスできるって事だしな。

その上で、送信も質問代行サービスなんてのがある。

あくまでもこちらの情報はオープンにできないものの、差し障りのない内容で質問を代行してくれるらしい。

 その代わり、一月3万円とかなり高めだけど……

 いや、3万で済むなら安いよなぁ……

 初回は、さらに回線開通費用と機材費用に2万円が追加されるけど契約しない理由がない。

 俺、今ものすごく変な顔してそう。

 とりあえず、凄すぎて怖いからサービスについては後でじっくり調べよう。

じゃないと、ちょっと落ち着かない。

 卸購入は、どうやら卸値で物品を購入できるらしい。

大体通常価格の7割程度の値段になる。

 できれば、早めに知りたかったなぁ……

 もちろん、卸値で購入するには一定の数量を超えないといけないし、商品を用意して貰うのにも通常より時間がかかる。

タオルなんか1000枚単位じゃないと駄目だしな。

 1000枚か……

 いや、案外簡単に売りさばけるんじゃないか?

 需要がどの程度になるのか、分からないから何とも言えないけど……

 さすがにそういうコンサルタント的なサービスはないよな。

 ……無いよね?

 まあ、仮に売れ残ったとしても俺には”収納”の能力がある。

生鮮品だったとしても腐って売り物にならないなんて事がない。

自己資金の範囲であれば、失敗しても容量が圧迫されるだけだからな。

 いや、それはそれで問題かもしれないけど……

 問題点は二つ。

 資金の減少と貴重な保管場所を圧迫されることだ。

正直、資金は別にどうでもいい。

稼ぐ方法さえ見つければ補填できるからだ。

 問題は”収納”という、他の誰にも真似ができない、そして俺の最大の武器とも言える貴重な倉庫だ。

”売買”もある意味で倉庫代わりと見なすこともできる。

金銭に変換することで、腐らせずにいつでも資源が取り出せると考えることもできるだろう。

 だけど”収納”は有限だが、それ以上に有用な能力だ。

なぜなら、金銭の価値は一定じゃない。

今のところ、俺が”売買”で物を買う分には変動はない。

 だけど、こちらの世界で金を稼ぐ場合は、その価値の変動は気にとめておかないといけない要素だろう。

 金貨に金としての価値はほとんど無い。

”鑑定”をしたので分かるが、銀貨の方にはほとんど混ぜ物がないのに対して金貨はほとんど銀貨といえる代物だ。

おそらく、本来の金は銀よりも相当に高い。

だから、ほとんどメッキと言っていいほど銀の含有量が多い。

 それを考えると銀貨と金貨に原料の値段で考えるとほとんど差はないんじゃないだろうか?

 それでも10倍の差が保証されている。

その保証を行っているのが国家だ。

通貨を発行する国家が健全に機能している間は、例えその値段の価値がない物だとしても金貨は金貨の価値を有し続ける。

だけど、その国家が揺らげば貨幣はどんどん価値を下げていくだろう。

 もちろん、銀貨や金貨は実物貨幣としての側面を持つ。

だからどんなに国家が揺らいでも、例え潰れたとしても価値が0になることはない。

 とはいえ、それまでの信用が無くなれば、その信用で上乗せされた部分は吹き飛ぶだろう。

場合によれば、周りの環境次第で無価値と判断される可能性もある。

飢え苦しんでいる人に金貨を差し出しても小麦は奪えない。

そういったリスクが”売買”には常につきまとう。

 ”売買”の能力は無一文になって利用不可能になる可能性もあるしな。

 まあ、でも……

 考えすぎると何もできなくなるんだよなぁ……

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