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1-4 やっぱりチートは期待しちゃうよね。

とりあえず、本日はここまでです。

さすがに主人公の能力が語られるところまではまとまっていた方が良いですよね。

 よく考えてみれば、異世界に来たのだから試さずにはいられないことがある。

ゲームではないのだから馬鹿馬鹿しいと思っていた設定だが……

いざ自分がそうなってみると試さずにはいられない。

 能力確認と言う奴だ。

 ストレートに表現できない自分が恥ずかしい。

今までさんざん馬鹿にしてきたのだからやるべきではないのかもしれないが、それでも確かめずにはいられない。

高らかに宣言しないとダメとかじゃないといいんだが……

とりあえず、口にしてみようと考えてなかなか出てこない。

いや、そもそもハンスとヨハンナがいる前でやる必要がどこにある。

 恥ずかしい。

あー、でも二人に確認をとってみるのもありかもしれない。

「えっと、ハンスさん。」

 伺うようにハンスを見て、どういったものかと悩む。

「ハンスさんか。あ、いやそれでいいし、好きなように話してくれヒロシ。」

 ハンスは少し戸惑いぎみだ。

考えてみるとキャラバンの人間は互いに呼び捨てが基本みたいだが、俺には無理だ。

ハンスがそれでいいと言ってくれるなら甘えよう。

「えっと、少し教えて欲しいことがあるんです。」

 ハンスは俺の言葉に静かに頷いてくれる。

いい人過ぎて心が痛い。

「この世界の人たちは、どうやって自分が魔法が使えるのかとか分かるんだろうか?」

 これで通じるだろうか?

俺は言葉を継ぎ足す。

「たとえば、それはそういう能力を持ってたら何かしなくても分かったりとか、何か確認する方法とか……」

 思わず早口になっていて、恥ずかしい。

でも、どうやらハンスはくみ取ってくれたみたいだ。

「特殊能力の確認のことだな。それなら簡単だ。」

 ハンスは地面に何かを書き始めた。

「分かるかヒロシ?どうやらこの形が重要らしいんだが、こいつを思い浮かべろ。」

 どうやら文字らしい。

だが読めない。

「意味としては、そのまんまで能力確認という意味の文字らしいんだが、実際の読み方は分かってないらしい。」

 そういわれると、確かに能力確認と読めてくる。

文字と認識すれば、それも翻訳されるのか?

凄い便利だ。

「形がどうも重要らしくてな。意味で考えちゃダメらしい。言ってる意味は分かるか?」

 そういわれて、俺は改めて形を覚えようとする。

そうすると、今度は図形として認識できた。

便利すぎるだろう。

 改めて図形として覚え、思い浮かべた。

そんなに集中する必要もなく、目の前に光り輝くステータスウィンドウが飛び出てきた。

ここだけSFみたいだなと思いつつも、考えるのは後にしよう。

中身が大切だ。

「ヒロシはどうやら見えるタイプみたいだな。」

 俺の仕草で何かを見て取っているのが分かるのか、ハンスが話しかけてきた。

「人によって色々タイプがあるらしくて、囁かれる人もいれば頭に刻みつけられるタイプの人もいるらしい。」

 何故そんなに確認の仕方がバラバラなのだろう?

少し不思議だ。

「まあ、俺は囁かれるタイプでな。数も少なくて槍の才能一つだけだったりするんだが……」

 ハンスは少し恥ずかしそうだ。

でも、本当にそれだけなんだろうか?

俺の目の前に現れたウィンドウには滅茶苦茶色々と書かれている。

名前や身長体重みたいな基本的な身体測定で分かる数値の他にも血液の状態なんてのも書かれていた。

なんだよ。

 これならヨハンナに頼まなくても健康状態が分かったじゃないか。

少し、迷惑を掛けてしまったなと後悔してしまう。

 脈拍とか血圧とか、これ本当に特殊能力の確認画面なんだろうか?

 すると、これらの項目は省略できると不意に理解してしまう。

なんだろうこれ、便利すぎる。

 ともかく、特に必要のない健康状態の確認は省こう。

そう意識すると健康状態の項目は一つにまとめられ、「状態異常:無し」という項目一つだけになった。

 あー、ここに石化とか気絶とかはいるのかな?

いや、石化とか書かれてたり、気絶と書かれてもどうしようもないよな。

 そして、各種能力値が確認できた。

「なんだ、この数値」というのが、一番最初の感想だ。

軒並み高い。

 何で軒並み高いと理解できたかと言えば、数値の意味を知ろうと思った次の瞬間に人間の能力値平均や上限値が分かったからだ。

丁度エクセルでセルに合わせたときのコメントのように説明が出るといった感じとでも言えばいいんだろうか?

 ともかく、どの能力値も高い。

 チート過ぎるだろう。

 ただ、レベルは低いらしい。

通常は1から20レベルの間らしいが、現状は3レベル。

HPもさほど高くない。

って思ったんだが、これって俺の知ってるゲームのデータみたいだ。

 そこではたと気づく。

もしかしたら、これも翻訳の結果なのかもしれない。

本当は凄く詳細で繊細な物のはずが、俺に理解できるようにおおざっぱに改変されて提示されていると言うことかもしれない。

つまり、ハンスなんかが囁き声で分かるというのはハンスの理解しやすい情報というのが囁き声ということなんだろう。

そして、今見ている画面は俺がこういう形で提示されるという思いこみがあるから、ステータスウィンドウみたいな形で表示されるのかもしれない。

 便利だけど不気味だ。

頭の中を覗かれている気がする。

 しかし、気になって見てみるがクラスという物はないらしい。

理由は分からないが、俺のやっていたゲームとはやはり食い違いはあるのだろう。

あるいはマスクデータだったり?

うーん。

 ともかく、確認を進めよう。

本題の特殊能力だ。

 どうやら俺は複数の特殊能力を持っているらしい。

 一つは、今のところ凄くお世話になっている言語理解。

多分、これがなかったら俺はハンスから逃げていたと思う。

まあ、逃げたからと言ってハンスが見捨てていたかどうかも分からないけど。

少なくとも絶望はしていたと思う。

 次に”収納”と書かれている。

コメントが出てきたので説明を読む。

いわゆるゲームのインベントリらしい。

とはいえ、無限に物がしまえるほど、ぶっ飛んだ能力ではない。

重さが表記されていて、2tほどの荷物が大きさに関係なく収納できる上で、それとは別にどんな重さだろうが一つなぎの物であれば大きさに関係なく収納が可能と言うことだ。

 少し困惑した。

 じゃあ、惑星収納できるんですかね?

 と、むちゃくちゃなことを考えたら、コメントが追記された。

とりあえず、惑星は無理らしい。

また、基本的に地面に固定されている物は、全部引っぺがさなきゃダメだそうな。

 よそう。

 これ以上考えるとコメントが次々追記されて終わらなくなりそうだ。

 そして、次が魔法能力とあった。

どうやら俺は魔法が使えるらしい。

 コメントを見ようと思ったら、別ウィンドウが飛び出してきた。

 リストには使える呪文と一日に使える回数が書かれている。

一例として《水操作》という呪文は水を生み出し自由に操れるとか、そういう説明も出てくる。

これも考え出すと長くなりそうだ。

次に行こう。

 次が”鑑定”という能力らしい。

あ、これは凄いの来ちゃったかな?

コメントを見れば、目視範囲内の物品に対して、その対象の能力が分かるらしい。

 思わず、頬が引き攣る。

 いや、これはやばい。

疑心暗鬼になって、引きこもる未来が見える。

あんまり人には喋れない能力だなこれは。

 いや、でも案外みんな普通に使ってたりするかもしれないし……

ちょっと慎重にハンス達に聞いてみよう。

 そして、ようやく最後だ。

 そこには”売買”の二文字が記載されている。

 

 ”売買”。


 いや、普通に取引なんかできるだろうと思うんだが?

特殊能力って言うことは、値切りが上手くなるとかなんだろうか?

コメントを開いて確認する。

 元いた世界の商品を買えるらしい。


 へー……


 代金にはこの世界の通貨も使えるらしい。


 へー……


 そして、この世界の物品を買い取ってもらえるらしい。


 へー……



 へー…………



 そうなんだ………




人間驚きすぎると、言葉が出なくなるな。

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