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10-3 緊急事態発生。

実は内心大慌てしています。

 早速動くという事で、ノックバーン司教と分かれた。

 俺の方も、どうやって淫魔と2体のバホメットを倒すか策を練らないと。、

 数を頼って倒すわけにもいかない。

 派手にやれば周囲に喧伝するようなものだ。

 つまりやるなら最小限、俺とベネット、ミリーの3人はたぶん問題なく参加できるだろう。

 強さ的に問題があるようには思えない。

 でも3人だと厳しいよな。

 多分、洗脳や魅了された人を殺さないように排除しなくちゃいけない。

 そうなると、セレンにも参加してもらうほかないだろう。


 じゃあ、ジョンやハルトはどうか?

 ジョンは駄目だ。多分感情を抑えられると思えない。偶然でもあの記憶に触れさせるわけにはいかない。

 そういう意味で言うと、セレンはどうだろう。彼女はレベルから考えれば戦力としては申し分ない。

 協力してもらえるなら、間違いなく助かるはずだ。

 だけど、感情面の問題だよな。

 ともかく一旦モーダルに戻ろう。

 ジョンを何処かに退避させなくちゃまずい。

 

 倉庫に立ち寄り、セレンにジョンたちの居場所を聞こうと思ったが、セレンが居なかった。

 代わりにジョンたちがいる。

 なんでだ?

「ジョン、セレンさんはどうしたんだ?」

 ジョンは俺の言葉に肩をすくめる。

「わかんね。味方のシスターがいるって話をしたろ?

 その人と、セレンさんが修道院に行くって。

 それでしばらくは、ユウと一緒にセレンさんの家に泊まれって話になったんだけど。」

 俺は血の気が引く気分を味わった。


 急に電子音が響く。


 慌ててお知らせを探ると、セレン専用インベントリにアレッタとセレン自身が収まるという形になっていた。

 取り乱しそうになる気持ちを抑えつける。

 俺は急いでセレンを自分のインベントリに移した。

 すぐに取り出さなかったのは、状態を確認したかったからだ。

 もし、取り出したらいきなり死亡するような状態だとシャレにならない。

「どうしたんだよ、ヒロシ? なんかあったのか?」

 ジョンに嘘をついても、多分バレる。

「あった。お前に伝えられる状況かどうか分からないからしばらく我慢してくれ。

 いいな?」

 俺の強い口調にジョンは黙って頷く。


 やっぱりこいつはできる男だ。


 改めて、アレッタとセレンの状態を確認する。

 まず装備が何もない。

 という事は、裸だ。、

 よかった、慌てて二人をインベントリの外に出してたらえらいことになってた。

 生命活動には支障はないが、セレンの方はひどく痛めつけられている。

 そして、例の麻薬入りポーションが二人に使われているのがバットステータスの状態で分かった。


 どうしたものか。


 確か、《解毒》のポーションは購入してあるはずだ。

 でも、今の状態で俺が使うわけにはいかない。

 それに場所が。

「すいません、グラスコーさんの部屋空いてますか?」

 俺は、ライナさんに確認を取る。

「レイシャがいるけど、たたき起こしていいわよ?」

 レイシャか。彼女に頼むのは危険か?

 分からない。

 とりあえず、グラスコーの部屋に行こう。

 

「へぇ、そんなことになってるんだ。面白い。」

 レイシャは一通りの話を聞いて、面白いと評した。

 いや、全然面白くないから。

「レイシャ、冗談じゃないんですよ? しっかりしてください。」

 何故か一緒に付いてきたイレーネが強い口調でレイシャをたしなめる。

「いや、冗談みたいな話じゃない。何、その男の願望を具現化したようなポーション。

 まあやって欲しいことは分かったけど、人手は欲しいかなぁ。」

 ちらりとレイシャがベネットを見る。

「暴れられたら困るから、抑えられる人は必要かな。一人一人対処って形でいい?」

 要は、抑え込んで《解毒》ポーションを飲ませて欲しいだけだけど、確かに暴れる可能性はあるかもしれない。

 それに、俺のインベントリではなく、ベネットのインベントリに移せば一人一人対処できるか。

「お願いします。報酬の方は用意させてもらいますので。」

 俺は頭を下げる。

「あぁ、いい、いい。

 多少手荒なことをしてもいいなら、お金とかいらないから。

 イレーネも、お仕事なんだからいいわよね?」

 なんでそこでイレーネの名前が出てくるんだ?

「仕事には口を挟まないとは言いました。

 でも、私だって感情を抑えられないことだってあります。

 ほどほどにしてください。」

 あ、はい。

 いつの間にそんな関係になってたんですかねぇ?

 いや、というか何をするつもりだ。

「何をするつもりかは分かりませんが、出来るだけ穏便にお願いします。」

 分かってる分かってるとレイシャはベネットを部屋に引き入れ、部屋の扉を閉めてしまった。

「ベネット、その……頼むね?……」

 不安になってしまい、扉越しにベネットに呼び掛けてしまう。

「分かった。

 その、危ないことはないようにするから。」

 大丈夫だろうか?

 ともかく、ベネットのインベントリに彼女たちを移そう。

 それと、セレンに渡していたインベントリの登録を抹消する。

 多分、そこから侵入されるなんてことは無いだろうが、一応念のために閉じておく。

 

 とりあえず、ジョンたちは事務所に待機させている。

 聞いちゃいけないようなことが起こりそうだったからだ。

 案の定、俺の耳には死ぬだとか熱いだとかという言葉がそれに似つかわしくないトーンで聞き取れてしまったのは困った。

 ミリーにも聞こえていたらしく、少し顔が赤い。

 まあ、こうなるのは予測してたけども。

 

 いや、うん。

 

 正月の深夜にお子様が見ちゃいけない映画が流れていたことを知っている人はどれくらいいるだろう?

 あれを家族で見てしまった時の感覚が蘇る。

 ハルトはにやにやしてるが、そういうのはやめなさい。彼女たちが望んでそういう状態になっているわけじゃないんだから。

 ジョンやノイン、ユウたちは不安そうに事務所で待機している。

 それなのにお前ときたら。

 カイネはそんな様子のハルトの足を踏んづけた。

「いってぇ!カイネ!!いきなりなんだよ!!」

 足を踏まれて、ハルトは跳ねまわる。自業自得だ、馬鹿たれが。

「少しは空気を読んでください、ご主人様?」

 カイネはハルトに冷たく言い放つ。

 ハルトの気持ちも分からないことはないけど、不謹慎って言葉は覚えたほうがいい。

「ご、ごめん。」

 変にねじくれてなくて、素直なのはハルトのいいところなんだろうなぁ。

 階段を降り、事務所に戻るとジョンたちが不安そうに佇んでいた。

「師匠。セレンさんは大丈夫なんでしょうか?」

 一応みんなには、修道院で二人が毒を盛られたという説明をしている。

 もちろん、それに対応できるとは言ってはいるけど不安に思うのは仕方ないよな。

「大丈夫、そんなに強い毒じゃない。

 二人とも命には別条ないから。」

 そういうと、ジョンは安堵したように息を漏らす。

「ヒロシ、修道院で何があったんだよ。話せるところまででいいから教えてくれ。」

 どう説明したものか。

 うまく説明しないとまずいよな。

「多分、セレンさんとアレッタさんは会計について院長に問い詰めに行ったんだろうな。

 動かぬ証拠というのは手に入れていたから、突きつけられた院長が二人を捕まえて拷問にかけてたんだと思う。

 どこまで知られているかを聞き出すためにな。」

 こんな説明で大丈夫だろうか?

 多分、真相は違う。

 アレッタはすでに手駒にされていて、セレンを誘い出すために利用されたのだと思う。

 そして、セレンも餌食にと考える方が自然だ。

 でも、そんなこと言えるわけがない。

「みんなセレンのことが心配なんだね。大丈夫、ヒロシの薬はちゃんと効くから。

 なんたって、竜の友のヒロシ様だもの。

 私たちの知らない秘薬だって、難なく手に入れられる。

 すぐに元気な姿を見せてくれるよ。

 そうそう、自己紹介がまだだったね。

 私はミリー、ヒロシのお姉ちゃんだ。」

 お姉ちゃんっておい。

 いや、みんなを安心させたいのは分かるけど、微妙に分かりにくい冗談だ。

「お姉ちゃんって、ヒロシは良いおっさんだろ?

 それともミリーはすごい年寄りなのか?」

 ジョンが興味をそそられたのか話に乗っかる。

「いや、15だよ。

 でも、それを言ったらヒロシは一歳だよ。

 だから、私がお姉ちゃん。」

 意味不明すぎる。ミリーの言ってることにみんな理解が追い付かない様子だ。

「こんな一歳児がいるか。

 キャラバンに世話になり始めて、1年過ぎたからって1歳呼ばわりはひどすぎだ。」

 とりあえず、突っ込んどかないとわけわかんないだろう。

「ミリーさんは、ハーフリングですよね?

 ヒロシさんより実際年上って可能性は……」

 ノインがミリーの年齢を疑う。

「失礼な男の子。

 駄目だよ、女の子の年齢を疑っちゃ。

 本人が15って言ったら、15なの。」

 ユウが面白そうに笑った。

「ごめんなさい。私はユウです。

 よろしくお願いします。」

 ユウが頭を下げる。

「俺はジョン。んで、失礼な奴はノイン。

 みんなスカベンジャーやってる。

 もう一人、生臭坊主のおっさんがいるんだけど、今はどうせ酒飲んでるか女のケツ追っかけてると思う。」

 ジョンはいつものようにノインの紹介まで済ませてしまう。

「失礼しました。

 謝罪も兼ねて、改めて挨拶させていただきます。

 私はノイン、ヒロシさんから後援をいただいているしがないスカベンジャーですが、どうぞお見知りおきを。」

 生真面目に頭を下げる。

 相変わらず、子供らしくないというかなんというか。

「なんだ、失礼かと思ったらちゃんと挨拶してくれた。

 顔立ちはなかなかに整ってるし、実はいいところのお坊ちゃん?

 むしろ、ヒロシが世話になってない?」

 やかましいわ。

 流石のおしゃべりに俺は閉口してしまった。

「ミリーちゃんって、滅茶苦茶しゃべるじゃん。

 俺、ああいうコミュニケーションお化け苦手。」

 ハルトの意見は分からなくもない。

 でも、どっちかというと駄目なのはハルトや俺の方なんだよなぁ。

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