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7-15 これで正しかったんだろうか?

女性の気持ちが分からないと愚痴っていた時に書いていた部分です。

大分悩みました。

フィクションということで大目に見てください。

 俺は一瞬思考が停止してしまった。、

 そして、殴り飛ばそうとする腕をベネットが抑える。

 何度も同じ動作を繰り返しているが、当然防刃服を突き破ることはできない。

 少年の力じゃ余計に難しいだろう。

 だけど、放っておくわけにもいかない。

 一体何が目的だ。

 見れば、身なりはいいが薄汚れている。

 少なくともベネットだと認識して攻撃しているのだろうか?

「そこじゃ、人は死なないよ?」

 ベネットはどこかうつろな声で言う。

 振り返り、少年を見下ろす。

 少年は肩を震わせ、身をすくませた。

 不死身の化け物を見るような眼で怯えている。

「君、あの人の子だね。

 お父さんにそっくり。」

 ぞっとするような、それでいて、見惚れるような笑顔を浮かべる。

「そうだよね。

 君には復讐をする権利がある。

 いいよ、ちゃんと殺して。」

 そういうと、しゃがんでベネットは胸元を広げる。

 あまりの行動に少年も俺も、周りの人間も氷付いていた。


挿絵(By みてみん) 



 俺は無理やりベネットを立ち上がらせる。

 そんなこと許すもんか。

 絶対、それだけは絶対許さない!!

 腰を抜かして、しりもちをついている少年を俺は睨みつけてしまう。

 彼には彼の事情がある。

 そんなことは分かってる。

 だけど、それだけは許さない。

「もし彼女を殺そうとするなら、まず俺を倒すことだな。

 軟弱な君にそれができるとは思えないがね。」

 そう言い残し、俺はベネットの手を引いていく。

「ヒロシ、駄目!!

 駄目だよ!!違う!違うよ!!」

 暴れるベネットを無理やり引きずっていく。

 

 無理やり辻馬車に乗り込み、居留地まで走ってもらった。

 ベネットはしばらく泣いていたけど、また無言になってしまっていた。

 彼女の部屋に入って、ベットに座らせる。

 俺は椅子に座ってじっと彼女を見た。

「ねえ、ヒロシ。

 なんで邪魔をしたの。」

 最初に俺を切りつけた時のような眼で俺を睨みつけてくる。

「彼が誰だか分かっているの?」

 想像はつく。

「君が一騎打ちした騎士の子だろう?」

 なら何でと彼女は振り絞るように言う。

「ベネット、それは君が終わりにしたいからだ。

 何もかもを。

 だけど、それだけは許さない。

 彼を利用して、勝手に終わりにさせるな。」

 最低だ。

 これは結局俺のエゴだ。

 エゴを押し付けてる。

 復讐者は幸せになっちゃいけない。

 幸せを求めるなら復讐するな。

 知ったことか。

 俺は、ベネットに幸せになって欲しい。

 そのためだった、なんだってやってやる。

 バチンっと俺はベネットに思いっきりひっぱたかれた。

「じゃあ、終わりにしないなら。

 終わりにしないならどうするって言うの。

 私は殺人者だし他人を見下すし、嫉妬で虚勢を張る女だよ?

 神様の声が聞こえるから偉そうに他人を助けて驕っている嫌な女なんだよ!!

 心の中でいろんな人を貶して笑って、傷つけてる。

 ヒロシが思うような女じゃないの!」

 だから自分は拒絶されて当然の悪人だとでも言いたいんだろうか?

 全てから嫌われて見捨てられるべきだと?

 だけど、言われたことで別にベネットを拒絶する理由なんか一つもない。

 そのことを恥じたり、苦しんでるのも知ってる。

 だから可愛いし、いじらしい。

 彼女の告白に意外なところなんか一つもない。

「俺は前にも言っただろ。

 人間なんか善良なところもあるし、邪悪なところもある。

 ベネットがベネットであるなら、俺は構わない。」

 俺の言葉にかんしゃくを起こしたように泣き声を上げて、ベネットは髪を振り乱す。

「嘘つき!嘘つき!!

 私のことを何でも受け入れるって言うの?

 死ぬ以外なら、何でも言うこと聞いてくれるって言うの?

 そんなに言うなら、私を叩いてよ!!

 見下して、押し倒してみなさいよ!!」

 それは彼女の望みなんだろうか?

 俺の欲望だったんだろうか?

 言われた瞬間に俺は、彼女の言葉に従っていた。

 頬を叩き、彼女を押し倒す。

 じっとベネットと見つめ合う。

 互いに興奮してるのか、息が荒い。

 ベネットはどこか嬉しそうに微笑む。

「……ねえ、ヒロシ。……私おかしいんだと思う。

 叩かれて喜んでる。

 お父さんはやさしい人だったから、絶対に折檻するような人じゃなかった。

 なのに、夢に見るの。

 悪い子だって叱られながら、お父さんに叩かれるの。

 その度に私は、喜んでた。

 ……変だよね。」

 そんな程度、俺に比べたらよっぽど健全だ。

「俺は、ベネットが襲われてる姿を見て綺麗だと思った。

 傷ついているさまを見て、興奮した。

 助けられてよかったと心から思うけど。

 助けた時の喜びと同じくらい、傷ついていた君を見て喜んでもいた。

 君より俺の方がいかれてるんだよ。」

 何を口走ってるんだろうか。

 もう何もかもどうにでもなってしまえ。

 

 1日分の記憶がない。

 正確に言うと、そのずーっと同じことをしていた記憶しかなかった。

 食事もせず、よくもまあ続けられたもんだ。

 二人して耐久力が高いし意志力も高いせいなのか、飽きもせずずーっと同じ行動の繰り返しだ。

 その間ずーっとお互い恥ずかしいことを口走っていた気がする。

 何てことしてくれてやがんだ俺よ。

 相当疲れていたらしく、気が付けば同じベットで寝ていた。

 性も根も使い果たして、お互いひどいありさまだ。

 変な約束をいくつも交わした気がする。

 彼女から言ってきたからって、俺もなんでも受け入れすぎだろう。

 冷静に考えると誘導していた気もしてくるし、彼女の弱みに付け込んだクズ野郎じゃないか。

 風呂に入って、そのことを思い出すと本当どうかしてるとしか思えない。

 どんな顔をして彼女と顔を合わせればいいんだろうか?

 最早やってしまったことは取り消せない、後の祭りだ。

 風呂から出たくない。

 さぞかし、モーラ様はご満悦だろう。

 しかし、どうしたものか。

 ベネットが引退するのは団長に容認してもらっている。

 とはいえ、彼女の住む場所を用意しなければいけない。

 しばらくはこの宿舎でいいとしても、大家さんに事情説明して広めの部屋を借り換えないとダメだよなぁ。

 まさか、あの狭い部屋で狼とゴブリンに囲まれて生活なんてできないし。

 なんか嬉しいのか恥ずかしいのかよくわからなくなってきた。

 とりあえず、風呂を出よう。

 のぼせる。

 

 風呂を出て、ベネットが出てくるまでの間、よろしくやってくれたもんだぜとか声を掛けられる。

 半ば、からかいなんだろうけど内心面白くない人もいるんだろうなぁ。

 面白くないと言えば、あの騎士の息子も決して愉快な話じゃないだろう。

 どうにか対処しなくちゃいけない。

 他にもジョンのことだって、放置してしまっている。

 やるべきことが多すぎる。

 不意に目を手で塞がれる。

「ヒロシ、その……ちゃんと返事をしてなかったから、言うね……」

 何故、後ろから抱き着かれて目隠しされながらなんだろうか?

「男性として、愛しています。私を受け入れてくれますか?」

 隠してい手を取り、向き直る。

「もちろんです。受け入れるし、愛しています。」

 抱き寄せて、唇を交わす。

 もう、なんか幸せだから、これを守っていかなきゃな。

 多少の苦労なんかに負けるもんか。

「ヒロシ、強引過ぎ。」

 体を離すと、恥ずかしそうにそっぽを向かれる。

「そもそも、引退の話を団長にしなくちゃだし。

 その色々整理しないといけないこともあるから、しばらくは一緒には暮らせない。

 いいよね?」

 ベネットはベネットで色々とあるみたいだ。

 それまでにいろいろと俺もやっておかないとな。

「分かったよ。

 だけど、気を付けてね。

 何かあったら、インベントリに飛び込むって言うのもありだから。

 この間みたいな状況になっても、絶対あきらめたりしない。

 いいね?」

 これだけは絶対に守らせる。

 エゴだろうが何だろうか知ったことではない。

「うん。

 ありがとう、ヒロシ。」

 俺のわがままなんだから、感謝されるのはちょっと違う気もするんだけども。

 ベネットはある意味束縛する癖もあるけど、束縛されるのも好きみたいだ。

 そういう意味で言うと、俺の行動は不満だらけだったのかなぁ。

 ちょっと注意しておこう。

 

 しかしまいった。

 休みのつもりが全然休めてない。

 カールとマーナを迎えに行ったら急激に眠気が襲ってくる。

 食事をとったら、そのまま寝てしまった。

 頑張るぞって思ったのに眠気に負けるとか、俺はどこまで怠惰なんだろう。

 ベットに少し横になろうと思ったら、日が昇っていた。

 それでも若干だるい。

 お昼は過ぎてるだろうか?

「カール、お腹空いてるか?」

 すでに起きて、絵をかいていたカールに声をかける。

「俺は平気。でもマーナがお腹空いてそう。」

 そうか、育ち盛りだもんな。

「ごめんな。二人ともずっとほったらかしで。」

 カールは首を横に振る。

「おばちゃんが優しくしてくれてたから平気。

 毎日何か食べられるんだから、前より幸せだよ。」

 そっかー。

 なんかそんな当たり前なことで幸せって言われると、ちょっと情けなくなってくる。

 不甲斐ないなぁ。

 ともかく二人に食事を準備しないとな。

 それと、ライナさんに明日から出勤すると伝えないと。

 他にもキャラバンのみんなにも報告しておかないといけない。

 とはいえ、なんといったものか。

 不意にベネットから手紙が届く。

 髪を染めたいから、染料があったら買いたいという内容だ。

 普通の色と言われているから茶色でいいんだろうか?

 そうか、髪を染めるのか。

 そうだよな。

 色々とあったから、あの綺麗な銀髪はいろいろと面倒を呼ぶかもしれない。

 でももったいないよなぁ。

 あんなに綺麗なのに。

 せめて、髪を痛めないようにちゃんとした髪染めを用意しよう。

感想、ブックマーク、評価お待ちしております。

よろしくお願いします。

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