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6-16 何とか回収してもらえた。

なんとか脱出できました。

ダンジョンアタックはメインではないので、今後もこんな感じの薄味になってしまうかもしれませんが

話の筋に関わるので今後もちょくちょく挟まります。

お付き合いいただければ幸いです。


 しかし、”収納”の伸びがやばい。

64tの荷物を扱えるってちょっと想像がつかない。

 小さな配送倉庫で扱う荷物を普通にまとめて入れられるんじゃないだろうか?

 他人にインベントリを渡せる枠も32に増えてるわけだし、もう少し専用インベントリを渡す人間を増やしてもいいかもしれない。

ライナさんかベンさんあたりに持ってもらってもいろいろと捗りそうだ。

 いや、でもセレンがいるからなぁ。

厄介なことになりそうだから、一旦保留しておこう。

 問題は、生物をしまえるようになったというところだ。

とりあえず、入れると気を失った状態になって時が止まった状態になる。

 これ、人間の場合でもそうらしい。

 いや、えぐいって……

暴れる奴をとりあえず”収納”しちゃうのに使えそうだ。

 これは、ある意味で必殺技に近いものになりかねない。

残念ながら、拒絶する場合は、相手の意志力をねじ伏せないといけないらしいので万能とまでは言えないけど、かなり強力な武器になる。

 特別枠にも収納は可能だから、船ごと乗客を収納なんてことも可能になってしまった。

 これは本当にやばい。

少なくとも、呪文で従順にした動物なら抵抗しないから、厩舎ごとしまうなんて手が使える。

 便利だ。

本当に恐ろしいほど便利だ。

 使っていいものか悩む。

 どうしたものかな。

 とりあえず、トランシーバーの表示を確認する。

 じっと凝視していたら、接続が確認された。

それと同時にベネットから通信が入る。

「ヒロシ、無事?とりあえず、もうすぐだから。」

 若干焦り気味だ。

「こっちは大丈夫です。そちらはどうですか?」

 まさかドラゴンに追いかけられてるとかじゃないよな?

「こっちも大丈夫。よかった。

 落ち着いてるみたいで安心したわ。」

 ほっとベネットはため息をついた。

 しかし、そんなに落ち着いているだろうか?

俺自身はそわそわしてると思ってるんだけども。

 ともかく立ち上がり祠の周りを確認する。

「とりあえず、こっちの状況としては、周りに気配なんかはない。

 動物たちも静かだ。

 森の中だから、分かりにくいかもしれないけど、祠がある。

 音がしたら、ライトをつけるよ。」

 目が覚めてからどれくらい時間がたったかは分からないけど、すでに時刻は夕方だ。

明かりをつければ目立つだろう。

 一応念のために、階段を上り切って外に出る。

若干足が震えていた。

 でも、歩けないほどじゃない。

 暗視ゴーグルを装着して、そろりと周囲を探索した。

車が通れそうな幅は十分にあるので、拾ってもらえばすぐに出発できると思う。

 改めて自分が出てきた場所を見るが、四角い建物に文字が刻まれた建物だ。

 というか、それほど大きくはない。

俺の身長程度の高さしかないから、目立っているかと言われると微妙だ。

 とはいえ、こんな人工物があれば、誰かが気付いていてもおかしくはないだろう。

 ふと、怖い想像をしてしまった。

 妙に四角い建物で元の世界にもありそうな建物だから、実は何かの拍子で元の世界に戻ってきているという奴だ。

 じゃあ、無線は誰からなんだとか、今までの出来事は何だったんだという恐怖。

 いや、元の世界に戻れたならそれはそれでいいじゃないかという人もいるかもしれないけれど、正直俺は戻りたくない。

少なくともこんな森に放り出されたくはない。

「ヒロシ、さっきから黙っているけど平気?」

 ベネットの声が聞こえる。

「あ、うん、平気。ちょっと怖い想像をしてしまっただけだから。

 とりあえず、四角い箱のような祠だ。

 道もありそうだから、すぐに出発できると思う。」

 そういえば、シャッターどうしよう。

杭を外して、色々するのはちょっと手間がかかる。

 とりあえず、シャッターを下ろすだけ下ろして、そのまま放置かな。

 一旦階段を降りよう。

「ちょっと階段戻ってる。

 何かあったら知らせて。」

 分かったと返事があったので、階段を下った。

 ふと気になったので、どこから無線が通じて、どこからキレるのかを試してみた。

丁度シャッターをくぐると通信が途絶え、戻れば通信が復活した。

 境目が本当にあるようだ。

 いや、まあ、遊んでる場合じゃない。

 とっととシャッターを閉めよう。

幸いカギを外から閉められるから、シャッターを下ろしてロックする。

 聞きなれた音が遠くからする。

エンジン音だ。

 少なくとも、こっちの世界の車のものじゃない。

階段を駆け上がる。

 暗視ゴーグルを外して、LEDランタンの明かりをつけた。

徐々にエンジン音が大きくなっている。

 方向は漠然としか分からない。

とりあえず、こっちだろうと見当をつけた方向にランタンを振る。

「見えた!!ヒロシ!!もう一度ライトを振って!!」

 言われるがままにランタンを振った。

徐々にエンジン音だけではなく、砂利をかむような音も響いてくる。

ヘッドライトも灯しているので、その明かりも見えた。

 ちょっとまぶしい。

結構な勢いで、横にスライドさせて俺の目の前で停車した。

 確かにグラスコーの運転は上手いが、ビビるなと言われても無理だ。

身を引いてしまった。

 バンっと扉が開き、ベネットが飛び出してきた。

「生きてる。生きてるんだよね?」

 ぎゅっと確かめるように抱きしめられた。

「一応足はついてるよ。それよりも早く離れよう。」

 そういって、俺はベネットに乗車を促した。

 そうねと言って、ベネットは俺の手を握り、引っ張っていく。

車に乗り、急いでドアを閉めた。

「よう色男、無事で何よりだな?」

 皮肉めいた表情を浮かべ、グラスコーが乗車した俺たちに振り返る。

そうしながらも、車を操作し即座に車を走らせ始めた。

本当に運転うまいな。

「何とか生きてますよ。みんなも無事でよかった。」

 シートベルトを締めて、俺は体をシートに沈める。

ようやく、気持ちが落ち着いた。

「正直実感ないんだけれどね。

 ドラゴンの襲撃を受けた現場は見たけど、ドラゴンそのものは見てないし。

 しかも、遺跡があったとかいろいろありすぎだよ。

 ともかく無事でよかった。おかえり。」

 トーラスは助手席で双眼鏡を持ったまま、無事を祝ってくれた。

 そういえば、手紙を出しそびれていた。

「ベネット、これ後で読んでおいて。

 例の神様がやらかしたのが原因っぽい。」

 じっと手紙を見た後、ベネットはわかったと言って懐にしまった。

「しかし、ベネットが急に嫌な予感がするって言った時は驚いたぜ。、

 何事かと思ったが、まさかこんなことになってるとはな。」

 森の中を軽快に車を走らせながら、グラスコーはしゃべりだす。

さすがにもう前を向いているので若干聞き取りづらい。

「そしたら、ドラゴンに襲われたって手紙だろ?

 正直、偶然とは思えないよ。」

 トーラスは半ば呆れ気味に言ってきた。

 おそらくは偶然じゃないんだろう。

「ウルズ様のお導きだったのかもね。

 でも、助けに来てくれて本当にうれしいよ。

 結構つらかった。」

 若干冗談のつもりで言ったけど、あながち間違ってはいない気もする。

 モーラ様も何のかんの言って助けてくれてたのかもな。

 ふと気づけばベネットが俺の腕に抱きついていた。

 あれ?いつから抱き着いてたんだろう?

 ずっとなのかな?

「ちなみにあれから、状況に変化はあった?」

 割と逐一情報交換をしてたのだから、そんなに大きな変化はないと思う。

 とはいえ、相手は空を飛ぶ生き物だ。

言ってみれば制空権を取られた状態で、いつ爆撃機が飛んでくるかもわからない戦時中みたいな緊張状態だ。

状況がいつ変わってもおかしくない。

「そうだなぁ。今のところはよくわからん。

 教会に立てこもってる村もあったし、外に出歩くなという命令が出てる町もあった。

 とはいえ、雲をつかむような状況に変わりがないから、被害がどんなもんなのかもわからんなぁ。」

 グラスコーの言葉に、改めて元の世界との違いに気づかされた。

 確かに魔法があるおかげで情報伝達はかなり早かったとは思う。

 とはいえ、その呪文を扱える術者が居なければ話にはならないし、それを抜きにしてしまえば狼煙や早馬くらいが限界だろう。

「まあ、そろそろ怪しげな噂が出回るころじゃないか?

 ドラゴンを使役する魔王がとか、王が貧民の間引きをするためにドラゴンを呼んだだとか。」

 間引きってなんだよ。

 そもそも、俺が見てきた限りでは間引きしないといけないほど人がいるようには思えなかった。

「王様が竜と契約を結んでるっておとぎ話でもあるんですか?」

 一応確認のために聞いておこう。

モーラ様の話からすれば、忘れ去られている可能性もあるし。

「一応、そういう伝承があるけどな。

 皇太子以外の王子は竜騎士になるとかって俺は子供のころ信じていた。

 それらしい式典はあるが、実際にドラゴンを見たことは一度もなかったがな。」

 痕跡は残ってるんだな。

 しかし竜騎士ね。やっぱり憧れの存在みたいだ。

「僕の故郷だと、金の竜や銀の竜はいいドラゴンで、赤や黒の竜は悪いドラゴンって言い伝えがあるよ。

 まあドラゴンより熊の方がよっぽど怖い存在だったけどね。」

 そりゃ、熊の方が身近だしな。

 とはいえ、金属竜や色彩竜の概念は伝わっていたようだ。

 それなら、守護についてくれる竜が金属竜ならもめ事は起こらないかもしれない。

 そういえばさっきからベネットがしゃべってないな。どうしたんだろう?

気になってベネットを見る。

「あ!私は、えっと……お父さんに王様がこの国を守ってくれるように金の竜にお願いごとをしたっておとぎ話を聞いた事がある……」

 ちょっと眠たそうだ。

思わず頭をなでてしまった。

「……竜はみんなを見守っててくれて、いい時も悪い時も、そっと側にいてくれるんだよって。

 おっきな竜が側にいたら邪魔だねって、言ったら笑ってた。」

 子供のころのベネットはどんな子だったんだろうな。

 やんちゃだったのかな?

 もう、叶えることはできないけど、出来れば小さいころから出会いたかった。

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