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5-26 試掘サンプルをチェックしたり、冷蔵庫の試作を依頼したり。

出版について考えてみたり、ボーキサイトを発見したり、冷蔵庫について試作をお願いしたり。

 声を録音して誰かに書いてもらうというのをベネットに話してみたが、そもそも声が記録できるという話に驚かれた。

そういうのもあるんだよといったけど、うまく飲み込めてただろうか?

今度彼女に録音をする機会を貰うから、その時にももう一度確認しよう。

 食事が終わり、彼女を送って言ったらすっかり遅くなってしまった。

いっそ、カールにも出入り口付きのバッグ……

あー、カール専用のインベントリといった方がいいかな。

 なんか自分の中での言い回しなんだから気にしなくてもいいんだろうけど、ちょっと気になった。

分離されたインベントリでもいいし、専用と言いつつ俺はアクセスできるからちょっと言い回し的に違う気もするけど。

とはいえ他人に伝える時にあいまいになるといけないから統一しよう。

 とりあえず、カール専用インベントリを作るとして、カールはこれを使いこなせるかな?

一応、それとなくみんなにインベントリを使う時の使用感を聞いたけど、これもまた人によって違うらしい。

ベネットは、袋の中に手を入れるとウィンドが出てきて目線で取り出したいものを選ぶと言っていたし、トーラスは頭の中にリストが出てきてそれを選ぶと言っていた。

ハンスとグラスコーは、ごそごそと袋の中を探ると何があるか手触りで分かるとか言っている。

 それで中身を把握できるんだろうか?

それも気になるけど、この差がどこからきているのかもさっぱりなところも気になる。

 しかも、お知らせ機能は俺とベネットだけにしか働いてないらしく、手紙が来てたのを大分後で気付くケースも多いらしい。

それは滅茶苦茶不便だ。

そういう意味で、カールにお知らせ機能が働かないとしたら、いつまでも飯をくいっぱぐれることもあり得る。

 かといって、大家さんに専用インベントリを渡すのはちょっと躊躇う。

欲しいと言えば、誰だって欲しいだろうし、そうなると収拾がつかなくなる。

「ただいま、カール今日はどうだった?」

 俺が部屋に入ると、駆け寄ってきて絵を見せてくる。

「こんな絵を描いたよ、ご主人様。みてみて!!」

 嬉しそうだなぁ。

相変わらず、俺には良さがさっぱりだが、最近思うのは絵本の絵柄に似ているということだ。

もしかしたら、絵本作家なら結構いけるのではないだろうか?

 まあ、絵本を出版しているとは聞いてないから、やっぱりちょっと本の編集や印刷、流通について調べてみよう。

 ドライダルの情報よりそっちの方がよっぽど有用だったかもなぁ。

 そういっても、まだ物乞いのおじいさんからは音沙汰がないし、次もまた調べてくれるとも限らない。

あんまり期待しないでおこう。


 カールに食事をさせた後、結構たまっているボーリングサンプルを調べることにした。

ミリーの手紙によると、水が噴き出した地点がいくつかあったから新しい水場を作れると喜んでいた。

いっそのこと青銅製のポンプでも作るか?

機械式ならくみ出しやすいだろう。

井戸を掘るとなると結構大変そうだしな。

 とりあえず、サンプルをいちいち取り出さなくてもインベントリ内で”鑑定”は可能だからリストを見るだけなんだけど、基本的に石としか表示されないものはちゃんと成分を見ないといけない。

結構面倒な作業だ。

 自分の認識では石だけど、石灰なのか石英なのか、俺が分からなければ全部石だ。

改めて鑑定の成分表を見ないといけない。

含有されている物質と照らし合わせて、ようやく石灰石と出てくれる。

 まあ、そういう作業があったので、石の類は大分分類が進んでいた。

中にはまだ石と表示されているものがあるのでそれらを調べていく。

 なんだろうか?

今回は金属原子が多く含まれた石だ。

水酸化アルミニウム。

 あー、ボーキサイトだな。

アルミと言えばボーキサイトだ。

そっかー、ボーキサイトが出ちゃうかぁ。

サンプルの配分量からすると鉱床に当たったという感じではないけど、探せばボーキサイトの鉱床が見つかるかもな。

 でも、ボーキサイトかぁ。

アルミニウムはとても軽くて扱いやすい金属だけど、水酸化アルミニウムの状態だと使えるのかな?

電気分解しないとダメだって聞いた覚えがある。

ちょっと調べないとなぁ。

 他にも微量ながら金が含まれているサンプルもあった。

お目当てではないけど、割と鉱物資源多いんだなぁ。

 土と思ってたものの中には鉄が含まれているものもあったし、鉄は意外と回収できるのではないだろうか?

問題は、溶かす炉だよなぁ。

 ふと先生のところで聞いた、ラヴァウーズを思い出す。

溶岩を意味するラヴァなわけだから、それなりの温度を持ってるんじゃないだろうか?

と言っても、どこで捕まえればいいのかもわからないし、どうやって捕まえるかも思いついていない。

 とりあえず、これも保留。

メモしておこう。


 ほんと、何かあるとハロルドの店を利用させてもらってる気がする。

今日は、各ギルドから来た職人さんたちといろいろとお話合いだ。

お題目は冷蔵庫だ。

 一応こんな形でこういう原理で中のものを冷やしますというたたき台を出してみたけど、みんなウーズ使うのかよみたいな顔をしている。

「えーっと、皆さん。これは難しそうですか?」

 みんな顔を見合わせる。

「いや、作れと言われれば作るけどよ。

 売れると思うか?

 別に氷室でいいだろ?」

 木工職人さんが重い口を開いてくれた。

まあ、雪は腐るほどあるもんな。腐らないけども。

「いや、さすがに氷室だけで何とかなるって言うのは言いすぎだろ?

 さすがに真夏だときついしな。

 とりあえず、中身を見せないって配慮は確かにいいかもしれない。」

 鍛冶屋さんが賛意を示してくれた。

事情は知らないので単に逆張りなのかもしれないけれど。

「とりあえず、陶器じゃなくて素焼きの板でいいんじゃないか?

 四角い陶器なんて作れる気がしないから、木の箱におがくず入れて、そこに素焼きの板をこう敷いて、こう板を組み合わせれば箱みたくできる。

 あとはそこにウーズを入れて、銅か、まあ錫だな。

 それで蓋をしてやれば、そこが冷えるって寸法だ。」

 陶器職人さんが俺の図面に構造を書き加えてくれた。

 なるほど、風車型に素焼きの板を立てれば箱状の空間ができる。

互いの板はそれで押さえられるという感じか。

粘土で押さえてもいい気はするけど。

 口出しすべきかな?

 いや、的外れなら指摘してくれるだろう。

「板は、組み立てる時に粘土で押さえればッて思うんですが、どうでしょう?」

 恐る恐るといった感じで発言してみた。

「あー、別に悪くないんじゃねえか?それなら素人でも簡単にできるわな。」

 特に問題なさそうだった。

「で?下の箱も同じ構造か?冷たさの伝わりが悪いような気もするが?

 どうしても冷えた部分から順にあったまっちまうだろうから、下の方は冷えるって言ってもそんなに冷えなくなるかもしれんぞ?」

 陶器職人さんの懸念はわかるけど、それはそれでいいと思う。

上では氷ができるくらい冷たく、下はちょっと冷えるくらいなら野菜室に丁度いいと思うし。

「上下で利用方法が変わった方がいいかなと思ってるんですが、全体が冷えるように作るなら、熱を伝える銅板を張り付けたほうがいいですかね?

 どの程度の差が出来るか分からないので、ちょっと試作していただかないとつかめないかと。」

 俺の試作という言葉に職人さんたちは不愉快そうな顔をする。

「試作ったって、その分は出してくれるのか?

 それなら構わないが……」

 鍛冶屋さんは大分嫌そうだ。

物を作ってもらうんだから、当然払うものだと考えていたんだけど。

「もちろん、材料費や工賃も見積もりを頂ければお支払いしますよ?」

 幾分表情が和らいだ。

「いや、中にはとりあえず作れって言って、とんずらする馬鹿もいるからな。

 できた品が気にくわないとか何とかで、結局払いたくねえだけじゃねえかと。

 まあ、そういう輩も多いから、あんまり気軽に試作とか言わんほうがいいぞ?」

 そうなんだ。

陶器職人さんは諭すように言ってくれる。

これは、ちゃんと返答しておかないとな。

「もちろん、前払いさせていただきますよ。

 うまくいかない可能性も高いですしね。」

 なんか微妙な顔をされる。

「失敗するかもしれんから、払いたくないって言うのが多いんだよ。

 こっちは仕事してるってのにな。」

 木工職人さんはため息をついた。

確かに無駄なものに金を払いたくない、って気持ちも分からなくはないけども。

 とりあえず、何も注文せずに長居するのも悪いので、エールやフライドポテトを頼んでお茶を濁している。

俺は炭酸水やらお茶やらでお腹がたぷたぷになりそうだ。

 その後も喧々諤々の議論は続いたけど大枠は定まった。

試作に合計で金貨30枚を要求されたけど、一応グラスコーに言われた予算の範囲だ。

問題ないだろう。

 お昼をまたいだ打ち合わせになったけど、特に何か食べたいとは思わない。

正直、ジャガイモだけでお腹いっぱいだ。

職人さんたちはそれぞれの職場に帰ったけど、俺は店の椅子でぐったりしてしまった。

 手順としては、木工職人さんで大枠を作り、内張と素焼きの板を陶器職人さんが張り、グラスコーの倉庫でウーズを詰め込んで、鍛冶職人さんが持ってきた銅板をはめ込んでもらう。

んで、仕上げをそのまま倉庫で木工職人さんにお願いする。

 結構手間だなぁ。

 他にも鍛冶屋さんには銃剣の生産も依頼していた。

ねじ式の方は、アレストラばあさんの了承を得て、こちらの職人さんにも作ってもらっていいとなっている。

絞り式の方はアレストラばあさんに50個作って欲しいという形で依頼してある。

 ねじ式は金貨2枚で鍛冶屋さんにお願いしてみたが、問題ないと返答してもらった。

絞り式は、アレストラばあさんから金貨4枚だということで手紙が来ていた。

 売値はその倍で考えているので、どっちが発注されるとしても、おいしい商品だと思う。

もちろん発注が続けばという但し書きが付くけども。

トライアルだからなぁ。

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よろしくお願いします。

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