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5-15 先生にいろいろと尋ねてみた。

とりあえずいろいろと商売のネタをさがしていたということでこれらの話をしています。

どうしたって一人では限界がありますからね。

相談というのは大切だと思います。

 フォークの件は、二股のやつを想像されてすぐ落ちてしまうのではという返答だった。

今度は、ちゃんと現物を持ってきて見せよう。

祝いの品に包丁を置いて、俺は店を後にした。

時間としては、さほど経ってないから次に行くか。

 んー、しかしどこに行こうか。

やっぱり先生かな。

若干遠いが、レベルアップもしたし、ちょっといろいろ相談に乗ってもらおう。

後ろに何も入れない方がいいだろうし、今日はこれが最後だ。


 辻馬車を降り、先生のお宅にお邪魔する。

いつ来てもいいよとは言われているけど、出かけてたらどうしよう。

ノッカーをたたく。

「よくおいでになられました、ヒロシ様。ご用向きは何でしょう?」

 兎頭のメイドさんは相変わらず流暢な言葉で話す。

「突然押しかけて申し訳ありません。先生にお目通り願えますでしょうか?」

 メイドさんにそう告げると、少々お待ちくださいと言われて、中に通される。

上着を渡してしばらく待っていると、どうぞお越しくださいと先生の部屋に通された。

「いらっしゃいヒロシ君。里帰りしてたんだって?」

 いつもの穏やかな笑みで先生は迎えてくれる。

「はい、いろいろと渡したいものがあったので。それで、おみやげです。」

 そういって俺ははちみつを取り出した。

「へぇ、はちみつか。いいね。紅茶に垂らすと美味しいよね?」

 あー、まあ確かにおいしいかも。

「そうですね。あちらでは主に薬として使われてましたけど。」

 殺菌効果が高いから、のどを痛めた時に使われるのは有名だ。

「うん、喉にいいよね。そういえば知ってるかい?この街で水道局ができるらしいよ?」

 水道局?

まあ、出来るならいいことだとはいいけれど、突然なぜだろう?

「《水操作》の使い方で、市が思いついたらしいよ。

 面白いよね。

 昔水道を引いたことがあったんだけど、すぐ汚水まみれになって使い物にならなかったんだ。

 水を浄化できるなら、再度試みようって話になったらしいよ。

 まあ、駆け出しの魔術師が雇ってもらえるようになるし、いいことじゃないかな。」

 先生はうれしそうに語る。

とはいえ、汚水まみれになるということなら、むしろそれは再度躓きそうだ。

浄水しても、水道が汚染されていたらどうにもならない。

「ちなみに、水道って露天だったりするんですか?」

 一応確認してみよう。

「うん、そうだね。まあ、だから結局途中で汚れたらどうしようもないよね。」

 それもまた楽しそうだ。

もしかしたら先生にとっては娯楽の一環なのかもな。

「ところで先生ウーズについてお聞きしてもいいですか?」

 とりあえず、早めに本題を切り出さないと先生の面白いお話を聞くだけで夜になってしまう。

多少強引に話題を勧めよう。

「ウーズね。面白い生き物だろう?あのふにゃふにゃしてる体は楽しいよ。」

 触って平気なのかな?

 あー、呪文で耐性を付ければ何とかなるのか。

「まあ、先生だと楽しいのかもしれないですけど、さすがに人死にが出てますからね。

 で、スノーウーズなんですが、あれって利用してみようって人はいなかったんですか?」

 当然の疑問だろう。

あれだけの冷気を放つ生物だから、何かに有効利用しようと思っても不思議じゃない。

水道局と聞いて、他にもいくつかのモンスターが有効活用できそうな気がするんだけど、そこらへんどう考えられてるんだろう?

やはりモンスターを使うなんてって拒否感があるのかな?

「私も何度か提案したんだけどね。

 気持ち悪がられて全然だめだよ。普及しないんだ。

 例えばこの部屋は暖かいだろう?

 これはね、スノーウーズとラヴァウーズの二体を利用して空調してるんだ。」

 部屋が何もないのに暖かいと思ったらそんな仕組みがあったのか。

「二体とも生きてるから、えさを与えれば割と長持ちするよ?

 ダイヤモンドの瓶が必要だけどね。」

 それは、無理だ。

どこの誰がそんなものを用意できるだろう?

作ろうという発想がそもそも出てこない。

それにどれだけの大きさが必要なんだろう?

「結構なお値段しそうですね?」

 あー、いくらかかったんだったかなぁ。と先生はとぼけ顔で言う。

「他にも、皮がえーっと、なんだかいろいろ利用できそうですよね。」

 いきなり高分子ポリマーと言って通じるか分からないので、言葉を濁してしまった。

「高分子ポリマーだね。うん、確かにそれに似ているかもしれない。成分的には全くそんなことないのにね。」

 知っとるんかい。

どこまで知ってるか分からなくて混乱する。

「確か、200度くらいの熱をかけて圧縮すれば、プラスチックみたいに固まるよ。

 自動車、あーこっちでの自動車ね?

 熱を掛ける前のウーズの皮を使えばもっと安上がりにタイヤを作れるのにもったいないよね。

 ゴムをわざわざ輸入して使うからあんな値段になるんだ。」

 そんな事情があったんだなぁ。

ゴムを利用してたとは知らなかった。

安上がりかどうかは、ちょっと疑わしいけども。、

そもそもそんなに数がいるんだろうか?

「先生、本当に安く上がるんですか?確かに毎年死人が出るくらいにはスノーウーズ出てきてると聞きましたけど。」

 そうだねぇ、と言いながら先生は計算をし始めた。

「まあ本格的に利用するとなると、10年くらいで駆逐されちゃうかな。

 そうしないように、繁殖させた方がいいとは思うけど。

 割と繁殖もさせやすいし、やっぱりゴムを輸入するよりかは安上がりかな?」

 計算式がさっぱり分からない。

なんだろうこの記号。

何処かで見た覚えはあるけど、さっぱり思い出せない。

 まあいいか。

「やっぱり見た目がダメなんですかね?」

「そうだねぇ、見た目なんだろうね。あんなにかわいいのに……」

 可愛いのに瓶の中に詰めて利用するこの人の感覚はちょっとわからない。

家畜が可愛いみたいな感覚だろうか?

「正直ね。私は牛や馬を可哀そうだと思う時もあるんだ。人に利用されるだけ利用されて、使えなければ殺される。

 でも、他方で彼らは人を利用しているともいえる。

 ウーズに対しても私は同じ考えだよ?」

 考えてることを見透かされたみたいだ。

「先生のおっしゃる通りです。

 で、少し考えたんですが、伝導率の高いもので包んで利用すればいいんじゃないでしょうか?」

 先生は少し考えた。

「冷蔵庫型ならいいかもね。死体を納める程度でいいなら、そこまで耐久性は必要ないし。」

 なんというか、打てば響く感じだな。

「ヒロシ君は面白いことを考えるね。冷蔵庫が普及すれば衛生面も改善される部分がある。私は大いに賛成だよ。」

 問題は、とんでもないもの使わせやがってと言われそうなところくらいか。

 まあ人は便利さになれるものだ。

多少の誹りは甘んじて受けよう。

「あぁ、それと先生、呪文レベルが上がったので呪文を教えていただきたいんですが?よろしいでしょうか?」

「いいよ、何でも教えてあげるよ。」

 なんかまた、授業料のことを忘れてそうだな。

 まあ、いいか。

教えてもらった後に言おう。

「確か2レベル呪文までだったよね?3レベル呪文になるとなかなか実用的な呪文があるよ?」

 俺の知っているゲーム基準でも3レベルになると《火球》の呪文を覚えられるようになる。

でも、その前に2レベル呪文のレパートリーを増やしたい。

「いろいろと考えてきたんですが、まず2レベル呪文の《透明化》を教えていただきたいんですが……」

 この呪文身を隠すにはうってつけだ。

魔術師なら発見する方法はいくらでもあるけど、光学的には見つけるのは困難になる。

 ただレベルが低いので敵を攻撃してしまうと、姿が現れてしまうのは難点かもしれない。

 と言っても、逃げるために使う分には全然それで構わない。

むしろ好都合だろう。

「まあ、そこは基本だよね。魔術師としては攻撃を受けないのが鉄則だし。」

 そういわれると耳が痛い。

なんだか知らないが、戦闘となると俺はよくぼこぼこにされる。

どんくさいのがまずいんだろうな。

そういう意味で言うと、この呪文は役に立つんじゃないだろうか?

「先生、《加速》って3レベルで習えるでしょうか?」

 割とこれも定番な呪文だ。

《火球》と並んで、まずはこれを覚えろという呪文だ。

レベルがゲームと一緒ならいいけど。

「案外ミーハーだね、ヒロシ君も。まあ、確かに便利ではあるかな。

 大丈夫、3レベルで覚えられるよ。」

 にんまりと笑われてしまった。

でも基本を押さえておくのは重要だろう。

 とはいえ《火球》は危なすぎる。街中で使おうものなら完全にテロリストだ。

ゲームなら街中だろうと狭い通路だろうとお構いなしに使っていたけど、あれ厳密に処理してたら壁が吹き飛んでる。

いざという時は役に立つかもしれないが、そう何個も呪文を覚えられない。

残る一つは何にしよう。

「3レベルで覚えられるかは分からないんですが、《透視・盗聴》の呪文を教えていただきたいです。

 あー、いやその……」

 壁の向こう側の姿を盗み見る、もしくは音を聞き取る呪文だ。

1つの呪文で二つの用途がある珍しいもので、1回にどちらかしかできないけど、とても有用な呪文だ。

特に俺みたいな商人には悪用してくれというような呪文だろう。

それだけに悪用しないとは言い切れないけど、女性の着替えを覗くみたいなことには使うつもりはない。

 いや、したい気持ちがこれっぽっちもないとは断言できないけど、ばれないとはいえちょっと倫理観が邪魔する。

だから誤解はされたくないけど、どういえばいいか。

「分かってるよ。呪文は使いて次第さ。

 それについて、私は特に口を挟む気はないよ?

 もちろん、対策する呪文もあるから、お手軽に使うのはお勧めしないけどね。」

 確かに、透視を防ぐどころか、偽の情報を渡す呪文や透視されていることを知らせる呪文もある。

そこを考えると気軽に使えるものじゃないだろう。

 まあ、その時は呪文ではなく、機械を仕掛けることだって俺には可能だ。

やろうと思えば、俺はスパイとしてもかなり優秀な能力を持っていると思う。

 とはいえ、そっちの世界に憧れはないのでせいぜい私利私欲……

性欲以外の面で活用させてもらいたい。

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