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1-10 これってチートか?いや、チートか……

 お風呂に入って気がゆるんでいるのもあるんだろう。

秘密の暴露をするって言うのに、あまり悩まなかった。

「なあ、ハンス。ちょっと相談があるんだけど。」

「んー、相談かぁ……構わんが……」

 二人して口調がのんびりしている。

「もしよければなんだけど、俺に少し山羊の皮を分けて欲しいんだ。」

 とりあえず、それを売れば”売買”の能力を試せる気がする。

「あぁ、構わんよ。どうせ次に旦那にあった時じゃ全部はさばききれんしな。半分くらいもってけ……」

 ハンスは、ずいぶんと気前がいい。

 いや今は、そんなに必要ないんだが……

「ちょっと試してみたいことがあるだけだから、1,2枚でいいんだけど?」

 俺がそういうと、テリーが身を乗り出してくる。

「特殊能力?特殊能力?」

 興味津々と言った表情で尋ねてくる。

あれ?この子って、こんな軽いノリだったっけ?

「あー、うん。もしかしたら、その特殊能力で皮が売れるかもしれない。」

 途端にテリーが興味が失せた顔になる。

あれ?あんまり大した能力だと思われてないのかな?

何でだろう?

「なるほどなぁ。まあ、色々試してみればいいさ。」

 ハンスの反応も特に変わらない。

あぁ、そうか。

単に金に換わるだけじゃ、ハンス達には役に立たないものな。

「もしかしたら、売ったお金で食料を手に入れられるかもしれないから頑張ってみるよ。」

 そういうと、テリーが再び興味を示し始めた。

「売って買うこともできるんだ!!凄いね!!」

 目がきらきらしてる。

やっぱり食べ物って偉大だな。

「どうだ凄いだろう。」

 思わず、胸を張ってしまう。

借り物で何やってんだか。

「まあ、皮でどのくらいになるかは分からんが、上手いこと交換できたらいいな。」

 ハンスも嬉しそうだ。

ただ、ロイドだけが渋い顔をしている。

その顔を見て、ハンスも何かに気づいたような顔になる。

「あー、そうそう、お前の取り分を忘れるなよ?少なくとも半分はお前の取り分だ。」

 あわてたようにハンスが言ってくる。

そうか、そりゃそうだ。

俺も全部ハンス達に渡そうと思っていたが、これは正常な取引じゃない。

「あ、あぁ、分かってるよ。俺が損をするような取引はしないよ。」

 ぎこちなく笑ってごまかす。

テリーだけが分かってない様子できょとんとしているが……

うん、テリーは分からなくていい。


 風呂から上がり、テントで落ち着く。

失敗したなと反省しつつ、とりあえず早速”売買”の能力を使ってみよう。

 って、どうすればいいんだろう?

 初めて使うからちょっと勝手が……

 

 分かるな。

 

 おかしな気分になる。

俺の記憶には、ついさっきまで無かった知識がある。

どこまで便利にしたら気が済むんだ。

 まあいいや。

とりあえず、”売買”を使おうと意識するだけでウィンドウが勝手に開く。

俺の目の前には某密林やらのwebサイトみたいな画面が見える。

これもおそらく俺が理解しやすいようになって、こうなってるんだろう。

 じゃあ、操作はマウスやキーボードが必要だったり、画面タッチをしてカーソルを動かすのかというとそういうわけでもない。

カーソルは思っただけで動くし、検索も考えただけでワードが入力されて実行される。

 うわー、便利だわー……

もう便利すぎて、逆に困るわ。

 ただ、今の所持金を示す部分には0が表示されている。

つまり所持金はない。

 じゃあ、売却はと言うと、意識するだけでインベントリのリストが表示される。

山羊皮や羊毛の他にも俺が収納している物品が前表示だ。

山羊の内臓なんて言うのもある。

で、数量も表示されていて、その両脇にプラスとマイナスの記号が書かれている。

試しに、山羊皮のマイナス部分に意識を向けると、数が減り、下部に売却品という項目が増えた。


山羊皮 35


 と表示されている。

これで銅貨なら35枚、銀貨を含むなら銀貨3枚と銅貨5枚と交換できるらしい。

 思わず、10進数かよと俺は突っ込みたくなったが、イギリスのペニーやシリングみたいな交換レートよりは分かりやすくていいと思うことにする。

 ちなみにハンスに聞いたところ、この蛮地の近くに存在する国の通貨単位はダールと言うらしい。

 なんか、ドルをもじったような単位だなと思ったのは内緒だ。

 いや、これだけ都合のいい世界なんだから、ぶっちゃけ元の世界の事情や物事が反映されていても不思議はない。

そういう事柄を持ち込んでるのが神様なのか、俺以外の来訪者様は分からないが、こちらとしてはありがたい事だし文句はない。

変換レートも1銅貨100円っぽいし。

何かと分かりやすい。

 さて、じゃあ、これを元手に麦が買えないだろうか?

購入画面に戻って検索をかける。

 よかった。

麦って検索かけても小麦粉が出たりはしないんだな。

でも、押し麦とかでいいんだろうか?

 ポリッジって、どんな麦で作ってるんだ?

 わ、わからん。

 いいや、安い奴で。

 たとえ不味くても、食えりゃいいんだよ、食えりゃ!!

俺は、安い順に並べ替えて最安値の商品を探す。

オーツ麦という奴が一番安そうだ。

 それの1kgの奴をカートに入れる。

 単価は5ダール、銅貨5枚だ。

 丁度7kg買えるな。

 悪くないんじゃないか?

 じゃあ、購入。

 ん? お届けに1週間?

 遅いよ!!

何でそこだけ、リアル準拠だ!! 配送料まで………

ぬぅ……検索し直すか?

面倒だなぁ……

 お急ぎ便ある商品だと銅貨6枚もするじゃねえか!!

 もうお顔真っ赤ですよ本当に……むー……

 仕方ない。

翌日には届くらしいから、お急ぎ便で5kgにしよう。

配送料を含めて銅貨35枚全部吹き飛ぶけど、しょうがない。

 しかし、これ、取引に全然うま味無いな。

 もう!!寝る!!

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