襲来②
ハンプティが開扉の言葉を発すると聖なる扉が開かれた。だが同時に現れた影花が、扉の開扉を阻んだ。
「あぁあもうっ!!セレネ!あの子共たちを安全な場所に置いてきて!」
「わかった」
ハンプティは自分を取り囲む影に、行く手を阻まれていた。
「ハンプティ!!」
「ダンプティ!来ちゃだめ!逃げて!」
「や、やだよっ。ハンプティも一緒じゃないとやだっ!ふたりはずっと一緒なんだもん!ダンプティは……ダンプティはずっと、ハンプティの隣がいいんだもん!」
「ダンプティ……でも……」
自分と同じ白い瞳から涙が溢れるのを見て、ハンプティの胸がぎゅっと苦しくなる。
だがそれもつかの間、床に映るハンプティの影に影花が巻き付き身動きを封じた。元々恐怖ですくんでいた足が、影花のせいでバランスを崩しハンプティはドサ、と倒れ込む。
「わっ……!」
刹那、影花はハンプティの体ごと飲みこむが如く、床から飛び出した。
『ギュルルルルルルルル!』
「ハンプティっ!!」
「っ!!」
喰われる……!!
そう思ってぎゅっと目を閉じたとき——
ダンッ———
一発の銃声が聞こえた。
気がつけばふわりと体が浮いていた。
感じるのは、遠くなっていく影花の鳴き声と、ダンプティが呼ぶ自分の名前。そして少し冷たい人の体温。
「………月の、お姉さん……?」
恐る恐る目を開けると、そこには口に刀の柄をくわえ自分を抱きかかえるセレネが見えた。
「ハンプティっ!」
「ダンプティ……」
ダンプティはセレネから下ろされたハンプティに駆け寄り、すりすりと頬ずりしながら強く抱き締めた。
「危ないから、少し離れてて」
月華丸を口から離し、セレネはぶっきらぼうにそう言って、ハンプティたちに背を向けた。
黒い中にも紅い光を宿す瞳。
「…………」
その鋭い視線の先で、ポルタ・サンタに巻きついて開扉を阻む、蔦のような形をした影花が姿を現した。
こんばんは、蒼依です。
影花襲来2話目でした。
セレネたちとの直接対決は次話から始まります。
今回もお読みいただきありがとうございます!次話もよろしくおねがいします!




