姉と妹と……
「ミスラは、知りたいの?自分のこと」
まさかそっちから聞いてくるとは思わなくて、ミスラは一瞬目を見開いた。
「……うん。知りたい。自分のことも、お姉ちゃんのことも」
「…………」
あの日…影花に呑み込まれた日からなんとなく思っていたこと。
「影花はわたしのことを太陽って言ってた。そしてお姉ちゃんのことは月だと」
「!?」
影花と意思を交わした?そんなことが可能なのかと、セレネは疑いながらミスラの言葉を聞いた。
「わたしたちには何か秘密がある。それはきっと、影花がわたしを狙う理由にも関係してくる」
「…………」
「10年前のことも、お姉ちゃんが姿を消した理由も、全部わたしが原因なのだとしたら、わたしはわたしが何者なのかを知る必要があると思う」
「だから、教えて欲しい……?」
その問に、ミスラはこくんと頷いた。
「わたしが影花に襲われた後、言ったよね。たくさん話したいことがあるって」
「……ん」
「わたしは思い出話をしようって言ったんじゃないよ。もちろんそれも話したいけど、でも……こういう真面目な話をちゃんとしようって、そう思って言ったんだよ……」
「……ん…。分かってる」
「じゃあ……!」
「この任務が終わったら、ちゃんと話す。ふたりきりで」
「………うん、わかった」
今すぐじゃないことに少しの落ち込みを感じるも、ミスラは納得してその場は別れた。
「決心、しましたのね」
ミスラの背中を視線で追っていたセレネは、後ろからした声に振り向く。
そこに人の姿は見当たらなかったが、聞きなれたその声に主は容易に察しがついた。
「エル。……うん、他の奴らに変なこと吹き込まれると、面倒だから」
「そう、ですわね……」
廊下の陰からそう応えたエルの声は、ひどく落ち着いていた。
「どうして急に、打ち明けようと思ったのですか。あんなに躊躇してらしたのに」
「……ミスラは自分のことは知っていないと不安みたいだから。私はあの子を不安にさせいわけじゃない。それに……エルがそばに居てくれるって思ったら、いいかなって」
「!!」
「だから、大丈夫」
その言葉を聞いたエルの視界は徐々にぼやけていった。
「……お姉さまは妹さんが大好きですのね」
「ん。大好き」
「ふふ、お姉さまにこんなにも愛されて、妹さんが羨ましいですわ。本当に……」
「………?エルのことも、大好き」
「っ、ええ、存じ上げておりますわ」
「そっか」
「…………」
薄暗い廊下。
陰に隠れたエル。
続かない会話。
ふたりの距離に、少しの……違和感。
「……ねぇ、エル。どうして、出てこないの?」
それを言った瞬間に、エルの声がした方から遠ざかっていく足音が聞こえた。
こんばんは。蒼依です。
今回もお読みいただきありがとうございます。
聖国ルシアーゼ編も大分進んできましたが、まだまだ続きますので、是非これからもミスラたちの活躍をお見逃し無くー!
では、次話もよろしくおねがいします∠( ˙-˙ )/




