真実
「ポルタ・サンタ……?」
「その扉の向こうに聖獣が暮らす異世界があるということですの?」
「はい」
「なんだか……とても信じられることじゃないんだけど」
「無理もありません。このことはルシアーゼの国内でも私たち天に選ばれた王族しか知らないことですから」
天に選ばれた王族———
ミスラはふと、離れた場所にいるハンプティとダンプティ、そしてホアを交互に見た。
…………。あれ………?
「……………」
ルチアが群青色の瞳を光らせながら話を掘り下げていく。
「先程貴女は、聖獣はここではないどこか別の世界から来ているといいましたよね。そしてそこと繋がる扉を持っていると」
「はい」
「それは俺達が今いるこの地球ではない別の惑星と繋がっているいうことですか?」
「……わかりません」
「え、わからない?」
「はい。聖獣に聞いてもこたえてくれませんし、先代が残したどの文献を見ても関連するようなことは書かれていません。聖獣がどこから来ているのか、そこがどのような世界なのか、何故私たちの国にだけ執着するのか、わかることは何一つとして無いのです。ですが聖獣は私たちにこれだけはいつも言っていました」
ホアは目を閉じ、穏やかだった日々を思い出した。
「我々はお前らをとても気に入っている。我等が同志、と」
「我等が同志……」
ホアの言葉を繰り返して考え込むルチア。だが何をどう考えれば良いのか、出てくる答えの価値も分からなくてはその先に光は見えない。
「私がお話できるのはこれで全てです。このあとどうするかは貴方がたにお任せします。それと……」
行き詰まった空気を察したホアが、明るく微笑んだ。
「食事が終わったら皆様のお部屋へ案内しますわ。今日はゆっくりお休みになってください」
「え、でも……いいんですか?」
被害を心配するルチアに、ホアは頷いて言った。
「ええ。皆様には明日から頑張っていただくことにいたしましょう」
「そう…ですか」
「では早速案内して頂けませんこと?あの森のせいで私もうヘトヘトですわ」
「わたしも……」
そう言うエルとミスラの顔には疲れが滲み出ていた。
「ふふ。すみません。人避けのためのものですので、そこはご理解ください。そのお詫びと言ってはなんですが、温かいお風呂を用意させました」
「お風呂!?」
期待以上のもてなしに、エルもミスラも思わず立ち上がった。
「はい。疲れた体を存分に癒してください」
「やった!お姉ちゃん、一緒に入ろっ」
「ちょっと!お姉さまは私と一緒に入るって既に決まっていますわ!」
場もわきまえずセレネの取り合いがまた始まる。ルチアとフェルドは飽きないねぇ、と苦笑いしてその様子をテーブル越しで見物した。
「そ、そんなのいつ決めたんですか!」
「今っ!私が決めましたわ!」
「ずるいですよエルさん!わたしなにも聞いてませんっ」
「貴女に話す必要ないでしょう!お姉さまはいつも私とお風呂に入っていますわ!」
「じゃあ今日からわたしも一緒に入ります!」
「お断りですわよ!どうして私が貴女なんかと!」
セレネは両腕を二人に掴まれたうえ引っ張りだこ状態で視界が左右に揺れる中、目の前の料理だけを確実に捉えた。
「ごはん…………」
「ふふふふ」
ホアはその白い瞳を細めてまた笑った。
それを少し離れた壁際で見つめるふたりの子供。彼らはお互いの手をきゅっと握った。
こんばんは。
今新しいスマホを使っているので♪(*‘ω‘ ≡ ‘ω‘*)♪な作者、蒼依です。
毎日この時間くらいに更新してますが、それはわたしの睡眠開始時間が早いためです。
作者は早寝遅起きを習慣としております。
次話もよろしくおねがいします∠( ˙-˙ )/




