意志と覚悟
「あ、ありがとうございます……」
暖かい茶がティーカップに注がれる様子をミスラは物珍しそうに見つめた。
案内された食事の席では早速ルチア達がホアに詳しい事情を聞いている。真剣な顔で難しいことを話しているようだが、横で聞いていても聞き慣れない言葉が飛び交うばかりで、ミスラの頭には何も入ってこなかった。
ふと横に目を向けると、セレネが話そっちのけで料理を口に詰め込んでいる。
「あの、俺たちを呼んだのは影花の退治の依頼ということでいいんですよね?」
「ええ」
「でも城に行くまでに街を見たけど、それらしいものの気配はしなかったよね」
フェルドがそう告げると、ホアの表情が曇った。
「街に、被害はありません」
「では影花はどこにいるんですの?」
「………。アレは……アレがいるのは、城の中だけなのです」
「もしかして、聖獣と関係があるとか?」
微かに目を見開いて、小さく頷くホア。
「……はい。おっしゃる通りです」
「……やっぱり…」
「え?ちょっとストップ」
ルチアとホアの間で進んでいく話にフェルドが待ったをかけた。
「あの、さ……どうしてルチアが影花と聖獣の関係を知ってるの?」
「それは……」
「………街の…様子……もぐ…」
まるでどんぐりを頬袋いっぱいに詰め込んだリスのように、口の中を出された料理で満たしたセレネが感じ取った違和感を言葉にした。
「街の様子?」
「そう。この国に来た時に変だと思ったんだ。ルシアーゼは聖獣と共に暮らしていると言われているはずなのに、街にはその姿がひとつも見当たらなかった」
「!!」
そこまで聞いて、フェルドとエルはこの任務のだいたいの全容を理解した。
「だからもしかしたら影花が現れたことで、人ではなく聖獣の方に被害が出たのかと思ってね」
「……ふーん…なるほどね」
「素晴らしい観察力ですね」
俯く顔をあげ、ホアはその瞳を揺らしながら続けた。
「その通りです。数日前、この国と聖獣が長い間守りぬいてきたものを、あの黒い影が突然奪い取りました」
テーブルの下でホアは静かに拳を握った。だが彼女は語る口を閉ざさなかった。
「何故私たちルシアーゼが、建国から現在に至るまで鎖国状態であるのか。この依頼を貴方がたに提出した時から、その理由を話さなければならないと覚悟しておりました」
ホアの白い瞳にはその言葉通り強い意思と覚悟の光が宿っていた。
「これからお話することはこの国が……いいえ。世界が今まで公にはしてこなかった大きな秘密です。貴方がたを信頼して、全てを打ち明けます。ですからどうか……どうかこの国と聖獣達を救ってください」
小さくとも一国の長が頭を下げて救いを求めている。
『異様な光景』ミスラの目にはそう映った。だがセレネ達は違うらしいということも同時に感じた。
こんばんは。
セレネはご飯大好きの大食いです。
毎日更新続けております。そして明日も更新します。作者はここに宣言しますよ!(ΦωΦ)フフフ…
では次話もよろしくおねがいします




