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伊勢の思い

長い間お休みしてしまい申し訳ございません

_|\○_


しれっと続きから投稿しておきます。

次回更新日ははまだ未定です。すみません。


ちょっと違う物語書いてたらこっちが手につかなくなってしまって…いやほんとにうそじゃないです。


でもTWINSを未完にするつもりは無いので、スーパースローペースで頑張ります。

今後ともTWINS~太陽の姫と月の騎士~をよろしくお願いします。

フェルドの銃声がとめどなく鳴り響く、ヴォラーベ洞窟からの帰り道。



「…くっ…」



エルは彼の疲労と能力のオーバーヒートを懸念するが、生憎と構っている暇はなかった。

ヴィーヴの隊長救出任務は失敗どころか、最悪の状況を招いてしまった。

即ち、影花を操る敵、ララとの接触だ。

こちらの動きをあらかじめ知っていたか、あるいはミスラを追ってきたか。

いづれにしてもこのまま何もしかけずに終わるような連中ではないだろう。

実際、チアーノの館の結界を破りミスラを一度誘拐した強敵。ついでに影花を操れるときてる。



「ミスラを狙ってのことかもしれない。お姉さま…!」






ラムとエルが即席で作った氷のソリに乗るのは伊勢とフェルド。

セレネたちがこちらに気付くまで間、フェルドは影花と応戦すべく、休むことなくフロイラインの引き金を引き続けている。



「…くそ。ここまで来て…。いくら撃ってもキリがない!」



そう肩で息をするフェルドの足元には、何十もの薬莢(やっきょう)が散乱していた。



「……ねぇ」

「…ん?なに?」

「大丈夫…?」



この状態を見て大丈夫かと聞くとは、彼の前髪に隠れた目は本当にその機能を果たしているのか。

もう何発撃ったかも忘れ、体力気力共に限界突破間近、炎のバッテリー切れ間近の今の状況、大丈夫ではないに決まっている。



「はは。キミこそ、怪我とかしてないかい?」

「え…うん」



気丈に答えるフェルドだが、その額から流れ落ちる尋常じゃない量の汗と秒ごとに荒くなっていく呼吸が、その言葉が偽りであることを語っていた。

しかし伊勢には分からなかった。

この救出任務、フェルドたちチアーノ支部は言ってしまえば部外者。

何故その部外者が、自分たちの援護をこんな状態になってまで続けるのか。

自分たちには関係ないと断って、放棄してしまうことだって出来たはずなのに。

チアーノの隊長に命令されたから?

いや、それだけではない気がする。

彼らを動かす原動力はなんだ…?



「メテオール!!」



エクラが天に掲げた手のひらから、星の雨を降らせながら、後ろのフェルドに上半身を振り向けて言う。



「ねえ!キミ少し休みなよ!顔色最悪だよ!?」

「そうしたいのは山々だけど、この数相手じゃあ誰かひとりでも攻撃を止めたら、すぐに殺られるだろう…っ!」

「そうかもしれないけど…!ねぇエルからもなんとか言ってよ!バディなんでしょ!?このまま続けたら彼…!」



エクラがエルの服を引いて訴える。だがエルは前を見据えたまま、冷静に答えた。



「私が何か言ったところで、その人は引き金を引き続けますわよ」

「はは。よく分かっているじゃないか。流石は僕の天使だ」

「ふざけないで!何かあってからじゃ遅いんだよ!」



エクラが心配からくる怒りの表情で声を上げるも、フェルドは引き金に掛けた指を話すことは無く、努めて笑顔で答えた。



「大丈夫だよ。きっと今にもセレネたちが迎えに来てくれるさ…」

「そんなの今すぐってわけじゃないじゃない…!」

「娘!あまり乗り出すと振り落とされるぞ!」



体を大きく揺らして駆けていたラムが振り返らずに、身を乗り出すエクラに向けてそう忠告した。



(…エクラの眉間のシワ、すごい)



熱を帯びていく戦闘と議論を、伊勢はやはりどこか客観的に見ていた。

その脳内では、どうして、どうしてと、疑問ばかりが浮かんで、一向に答えが見えない。



(でも、みんな、困ってるんだ)



3人を取り囲む空気が針のように鋭く体に刺さる。

極度の緊迫状態。

疲労はピークに達している、しかし誰かひとりでも力を抜いたらこの中の誰かが血を流す。地獄のパラドックスが、彼らを縛り上げていくようだった。



(もうすぐひなのところに帰れる…。けど)



伊勢は戦闘前の雛菊の言葉を頭の中で再生した。



『ひとりで突っ込むことは許さへん。周りを見て、協力しよし』



(俺がここで『協力』したら、もっと早くひなのところに帰れるかな)



そう思えば悪くない、と伊勢の唇がは怪しく弧を描く。

おもむろにすっと立ち上がった伊勢は、袖口からあの横笛を取り出し。



「俺、がんばって『協力』するから。だから、そしたら…」



フェルドやエクラの視線を受けながら、伊勢は唇をひと舐め。



(ほめて…くれるよね…?)



唄口に息を優しく吹き込んだ。

瞬間、聞こえてきたのは妖しい音色。

見れば辺りは緋色に染まり、



「なんだ…あれ…!?」



前方には大きな朱色の鳥居が悠然と姿を現した。

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