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シュバイス

「やっと森を抜けることができたね。輝。」


しかし、輝はユリシアと目を合わせられずにいた。


「どうしたの、輝。キスは挨拶みたいなものじゃない。それに、告白ぐらい何回もされたことあるでしょ。」


輝は気まずそうに、叫んだ。

「17年間生きてきて初めてだったんだよ。」


「もしかして、」


「そうだよ。そのもしかしてだよ。」


二人の間には気まずい空気が流れた。


「まあ、この印を目指そうか。」


こうして、二人は微妙な空気の中、地図上の印を目指して歩みを進めた。しかし、地図上には町ではなく森が広がっていた。


「ここであってるよね?」


「もう少し近づいてみよう。」


すると突然森の中で、何かに反射して光った。そしてその光はこちらに向かってきた。


「カン」

輝は剣を抜いて矢を弾いた。

そして、二人は矢が飛んできた方向に間合いを詰めた。すると、その正体は人間だった。


「お前は何ものだ。どうして俺たちを狙ったんだ。」と輝はその男に剣を向けた。


そして、その男の背後から人影が現れた。


「フォルシア様助けて下さい」と男は震えながらに助けを求めた。


「どうしたのだ。」


ユリシアは事情を説明した。


「それは、すまなかった。わしらの仲間が無礼を働いてしまい申し訳無かった。お詫びとしてはなんだが、わしらの村によって寄って行かないか?」


「どうする、輝。」


「そうだね。もしかしたら、何かしらの手がかりがあるかもしれない。ここは、お言葉に甘えて行ってみよう。」


そうして、二人はフォルシアのあとをついて行った。


「さっきは、悪かったよ。敵と勘違いしちゃって。」


「敵?どういうことなんだろう。もしかして、」


そして、二人は村に着いた。


「凄いね、この村至るところに弓矢の的が置いてある。それにこの村の人、子どもから大人まで背中に弓矢をかけている。私の町は騎士の人が多いから何か新鮮。」


「ここが、わしの家だ。中に入ってくれ。」


そして、二人は家の中に入り椅子に座った。フォルシアは足早に台所へ向かい、ポットとティーカップを持ってきた。


「先ほどは本当にすまなかった。お詫びとしてはなんだがこれを飲んでくれ。」


「これは?」


「これは、この村特製のハーブティーだ。

これには、この村名産のシュバイスハーブから抽出したエキスを入れておる。シュバイスハーブのシュバイスとはこの村の名前から取っておる。あと、隠し味にハチミツを入れておる。そうすることで、より香りを豊かにするのだ。それに、シュバイスハーブには、心を落ち着け、リラックスさせてくれる効能があるのだ。

さあ、飲んでくれ。」


「いただきます。

あ、美味しい。それにハチミツが効いていますね。」


「それは、よかった。わしも入れた甲斐があったわ。

それにしても、お主らこの村で見かけぬ顔だな。どこからきたのだ?」


そして、ユリシアは事情を説明し、地図を見せた。


「それはご苦労だったな。

実は、わしらの村シュバイスにも突如、謎の生命物体が現れこの村を襲ってきたのだ。もしかするとお主らが言っているのと同じ奴らかもしれん。わしらは何とかして奴らを追い払うことができたのだが、次、いつ奴らがきてもおかしくない。そのために、先ほどのように見張りを置いてあったのだ。

あと、地図のことなんだが、実はこの村にも同じような言い伝えがあるのだ。 それで、お主らが知りたいのはこの地図の印のことだったな。わしの見解だとこの印は以前戦ったジョブマスターの所在地だと思う。

それに、ジョブというものは親から受け継ぐことが多い。だから、あの時の戦いのジョブマスターの子孫がこの時代のジョブマスターの確率は高い、もしわしの考えがあっていれば、この印のところにジョブマスターがいるはずなのだが。


「フォルシアさん、もしかして、ここには、」とユリシアは心を踊らせるように言った。しかし、それは溜息に変わった。


「そうなのだが、何せ見つけるのが難しいからなあ。

わしも実際誰なのかわからないのだ。役に立てなくてすまないな。」


「いえ、」


そして、家の中は重苦しい沈黙に変わった。


「そうだ。明日この村で10年に一度のシュバイス祭りがある。その目玉となるイベント、弓矢の能力を競い合う大会があるのだ。これも、何かの縁だ見て行かないか。もしかすると、その中からジョブマスターも。」


「どうする、輝?」


「そうだな、俺たちには今何の当てもない。この祭りにかけるとするか。」


「そう、来なくちゃ、輝。」


「お主ら結論は出たようじゃな、今日はわしの家に泊まって行くがよい。二階は使っていない部屋が二つあるからお主ら一つずつ自由に使ってくれ。」


「ありがとうございます。」


そして、次の朝を迎えた。







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