記録書
ユリシアは次々に敵をなぎ倒していく。しかし、その一方で輝は動けずにいた。
ユリシアは振り返って
「輝、自分を信じて」と励ました。
しかし、その瞬間トロールは棍棒を振り上げユリシアを襲うとしていた。
そして、輝は言葉よりも先に体が動き棍棒を剣で受け止め、トロールの喉元に剣を突き刺した。
それからは一瞬の出来事だった。輝は見違えるような動きだった。風を切り裂くような速さ、そして敵の急所を的確についていく正確性。敵はあっという間に全滅した。
「輝、すごーい。」
「俺を試したのか。」
「い、いや違うよ。ただ信じていただけだよ。それに輝のおかげでこの町は救われたよ。それじゃあ、長老の家に記録書を探しに行こうか。」
道中はトロールに家などを破壊されめちゃくちゃだった。
「やっと着いた、でも家が散らかってしまっているね。まあ、根気よく探そうか。」
数分後、
「あのー、記録書あったよ。」
「輝、私のことはユリシアって呼んでいいよ。それにしても輝見つけるの早いね。それにすごく年代物。慎重に長老様のところに持って行こう。」
「お主ら、無事じゃったか。わしは何とか教会の地下でやり過ごすことができたわ。」
「聞いて下さい、長老様。輝凄かったんですよ。さすが勇者です。あと、記録書を持って来ました。」
「ご苦労じゃった。では、みてみようか。
わしは以前からこの記録書で不思議な点があったのじゃ。この地図を見て欲しい。明らかにわしらが思っている地形と形が違うのじゃ。昔、同じことを思った人が調査に行ったそうなのじゃが、森の中に入った瞬間いつも霧が出て来て入り口に戻ってしまうらしいのじゃ。でも、わしはその森を抜けた先にこの状況を打開することが出来る何かがあると思うのじゃ。それにこの地図の印、
ぜひお主らに調査してきて欲しいのじゃ。」
「分かりました。では、明日出発します。もちろん輝も付いてきてくれるよね。」
「お主ら、感謝する。礼と言ってはなんだが、わしからのささいなプレゼントじゃ。これで、輝の装備でも揃えてやってくれ。」
「ありがとう。長老様。
輝、今から私のお気に入りのお店を紹介してあげるよ。それじゃあ、行こう。」
町は、トロールに破壊されめちゃくちゃだったが何とかして、装備を揃えることができた。
出発の朝
「これからお主らが踏み入れるのは、どんな危険が待ち構えているか分からぬ、くれぐれも用心するのじゃ。」
「では、行ってきます。」