召喚
輝は高原の真ん中で目を覚ました。
そこには、今までに見たことのない光景が広がっていた。灰色の空、真っ赤に燃え上がる村、異形の化け物に連れて行かれる人間たちの悲痛な叫び。そして背後からは鉄球を引きずる身を凍らすような鎖の音。
輝は危険を感じて逃げようとした。
しかし輝は今までに感じたことの無い恐怖で足がすくみ身動きが取れなくなってしまっていた。
鎖の音は刻一刻と近づき鳴り止んだ。
輝は目を閉じ覚悟を決めた。その時、もの凄い勢いで草を掻き分けてくる何者かの気配を感じた。そして辺りには鉄と鉄がぶつかり合う音が響き渡った。
目を開けるとそこには恐怖をも一瞬にして打ち消すような金色に輝く髪を持つ女騎士が目の前にいた。
そこからの出来事は一瞬だった。
目にも止まらぬ速さで一撃を与え続けその化け物は地響きをあげながら地面に倒れこんだ。
輝は緊張の糸が切れてしまい頭が朦朧とし眠りに落ちてしまった。
そして、ある夢を見た。
それは輝がこの異世界に来る前の出来事だった。
「俺はあの日、いつものように夜遅くまでファンタジーゲームをしていて、こんな世界に行けたいいのになぁーとあり得ないことだと知りながらもいつも夢見ていた。
そして俺は一日中何も食べておらずお腹が空いていたので夜な夜なコンビニへ買い物へ行ったんだ。俺はその途中で不思議な体験をしたんだ。それは俺の心に誰かが直接語りかけて来るんだ。」
「助けて下さい」
「俺は興味本意でその指示の通りの場所へ行ったんだ。そして俺の目の前は急に暗くなって、」