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EP3-2

その日の夜は彼女の狙撃の話で持ちきりになった。実用実験は成功を収め、上層部も満足していると将一も笑みを浮かべながら言った。そんな中、1人の隊員があることに気が付いた。

「花川隊長がいませんよね?」

すると、アルフレッドは冷蔵庫から酒を取り出しながら、

「今日は3か月に一度の昇進指令を全隊員分処理してから帰るそうだ。」

と言いい、彼は将一にその酒を注いだ後、自分のグラスにも注いだ。

「成人している隊員は私や鬼門少将に構わずに飲んでもいい。」

「なんで君が決めるんだよ。」

と将一が笑いながら言うと、アルフレッドは酒を一口だけ飲み、

「と、中佐が申されていました。」

と少しだけ笑いながら言った。すると、照がねえと言い、彼も酒を飲み始めた。

「おーい、そこのガキ四人衆。」

と言いながらキーク達がいる所に2つ年上のケインがジュースとコップを5つ重ねて持ってきた。

「先輩もお酒の飲めないガキじゃないですか。」

とユーマは笑いながら言うと、ケインはさらに絡んでくる。そして話題は彼らの修行の成果の話になる。

「みんなエリカばっかり褒めてるけど、お前ら2人もよかったぜ。しかも何の相談もせずにあんな連携とれるんだったら、お前らで正式な分隊組む日も近いかもな!」

と彼が褒めていると、

「どんな感じだったか、ここにいる先輩に教えてくださーい。」

とマナが会話に入ってくる。

「マナさんは全体を把握してるんじゃないんですか?」

とケインが尋ねると、

「マイクとモニター越しだとそこまで詳しい情報までわからないのよ。で、みんなどんな感じだったの?」

と彼女は楽しそうに言う。皆は嬉しそうに話した。親友の成長、後輩の成長、自分の成長について、そしてキークは黙ってその光景を眺めながらクスっと笑った。普段はあまり笑わない彼のことを皆は少しからかいながら、時間は走るように過ぎていった。


「宴会状態だな・・・。」

と照正は大量の書類を片手にあきれたように言い、来ていたコートを脱いでソファに掛けた。そして彼は書類をパラパラと開け、中から名簿を取り出した。その瞬間に騒いでいたリビングフロアは静まり返った。今から昇進する者が発表されるからだ。

「あー、まずはエリカ・ベルベット。今回の新型B級装備実用実験への協力を評価し、二階級特進とする、だそうだ。ちなみに今回の作戦での功績は次回から考慮されるから次回も昇格確定だな。」

と照正がいうと皆がエリカの方を見た。彼女は照れて顔を赤くして、精進しますと言った。

 次々と発表されていき、ケインと結芽も昇格が決まった。そんな中、キークとユーマの名前はまだ出てきていなかった。

「えーと、次が最後だな、ユーマ・マルバス。訓練校での成績と実戦での功績を考慮して昇進とのことだ。」

するとユーマはキークの顔を見て、まじかよとだけ呟いた。

「あー、キークについてはもちろんそんな話もなく、警戒を続けろだとさ。」

 それを聞いたユーマは静かな部屋で挙手をし、発言の許可を貰った。

「照さん、いえ、花川中佐。彼は私と常に一緒に作戦行動をしていました。それなのに、私だけ昇進して、彼が昇進しないのは少し納得がいきません。」

と真剣な顔で言った彼に対して返事をしたのは、照正ではなく将一だった。

「軍上層部がアザンを偉くする訳ないでしょ。二等兵やれているだけで奇跡だよ。」

するとユーマは悔しそうに発言をやめ、その場に座った。

 その日は引き続き宴会騒ぎで時が過ぎた。そんな中、ユーマだけは難しい顔をしていたがキークが一言、気にしていないと言ってからは、彼もその楽しい時間に加わった。



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