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十六話

 お前はキャラがブレっブレだな、とツッコミそうになった。けどまぁ実際不思議ちゃんっていうのはぼくが勝手に定義しただけで、実際どういう子なのか欠片もわかってないから、それは当然といえばそうだった。

 とにかく色々、話題を振ってみよう。

「え、と……海外とか、好きなんですか?」

「え? なんでですか?」

 もうさすがのぼくも、慣れてきた。というか変人ばかりで疲れてきたというのが本当かも知れない――ぼくの自分本位で気ままな大学生活はどこに行ったのやら。

「じゃあ、その……運動とか、得意なんですか?」

「え……うーん…………わりかし、好きですね」

 やった、と拳を握りしめそうになった。運動なら、やったことない人間がいるわけないし、絶対誰でもそこそこの関心はある。なんでそこまで考えなくちゃいけないのかはわからないが、もうそれこそなんというか勝負だ。

 畳みかける。

「そうですか、どんな運動が好きですか? スポーツ? 球技とか? もしくは陸上、はたまた武道だとか?」

 とりあえず、思いつくものを羅列していく。どれか当たれば、それでノープロブレムだ。さぁ、どれでクる?

「…………そういうのは、ちょっと」

 予想の斜め上か、望むところだ。

「じゃ、じゃあどういう運動がお好きなんですか?」

 話し上手は聞き上手、そして女性は話し好き、オレは裏方に徹するぜ! ……なんか熱でも出てきそうだったが、ここはピエロにでもなるさ。

「え、と……河原を歩いたり」

「ほ、ほう?」

「公園を散歩したり」

「へ、へぇ?」

「森を散策したりとか、楽しいですよねぇ」


「な、なるほど?」

 乙女だ。

 もうなんていうかぼくには搭載されていない下手な少女漫画が裸足で逃げ出すような、おとめチック回路全開なんだ、この子は。

 そんな感じでホワホワと宙を泳いでいた彼女――輿水さんの瞳が、こちらにバチっ、と合った。

 確信した。いま初めて、その焦点が合ったと。

――ということは、今までぼくは彼女の眼中にすら、いなかったということか?

 考えがまとまる前に、言葉が飛んでくる。

「わたしが……みえるんですか?」

 幽霊だとでも、言いたいのかよ。

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