閑話:ロイの小さな小さなお悩み
なんとなく閑話入れてみました←
思いつきで即作ったので、あまり上手くはできてないです。
あ、いつもか←
ルーファスの西通りに位置する、食堂。
その中では店主であるロイが落ち着かない様子でカウンターに座り込んでいた。
今の時間帯は客もおらず、ロイは一人で座っている状態だ。
そこで彼はずっとある者達を待っているのだ。
「…帰ってこねぇな、エルヴァとルーナちゃん……」
ぶつぶつとそんなことを呟いている。
今、彼の頭の中ではぐるぐるとそのことだけが回っていたが、いい加減彼の脳が同じことを考えるのに飽きでもしたのか、別のことまでがぐるぐると回っていた。
つまりは、ロイの頭は今混乱中である。
そのせいか、今依頼をこなしてもらっている昔馴染の青年――エルヴァとの思い出がロイの頭をよぎった。
待つのにも飽きたのだろう、そちらの記憶へと思考が移ってゆく。
―――― エルヴァと出会ったのは確か9年前…ぐらいだったか?
思い返してみれば意外と付き合いも長いが、あいつはいつもクールで、かなりの面倒くさがりでしかもどっちかっつーと…というか、かなりの守銭奴で口も悪いし目つきも鋭いからなんとなく近寄りがたい…そんな雰囲気の持ち主だ。
毎回思う、あいつ本当に19歳か?
まぁそこはいいんだけどな、個性だし。
悪口じゃねーよ?あくまで人それぞれの個性だからな!
だがそれはともかく俺にはどうしても解せないことがある!!
それは!!!
…なんで俺には懐いてくれないんだ!!!!
何故だ…何故なんだ……!!
ナタリーに心を開きかけているのはわかる!
ナタリーは確かに優しいし綺麗だし、いかにも母親っぽい感じだから懐きやすいのはわかるんだ!
エルヴァは顔に出さないタイプだからわかりにくいが…ナタリーのことはどちらかというと慕っている!…ついでに恐れてる?
だが最近よく思う!!(というより昔からだが!)
エルヴァとは、出会ってから何回もそこらのダンジョンを攻略してきた…
俺とエルヴァは苦楽を共にし、数々の危険が伴う大冒険を共にしてきた!!
なのに!なんでだ!!
なんで苦楽を共にした俺には懐いてくれないんだ!?
…………
…落ち着け。よーくエルヴァとの会話を思い出してみろ俺…
あんなに長い付き合いなんだ、あいつだって少しぐらいは……
『黙れクソ親父』
『口を慎むという言葉をその足りない脳に刻みつけとけ』
『バカの極みかあんたは』
『今すぐ黙らないとその口二度と開けないようにするぞ?』
…………
…罵られてばっかじゃねえか俺!?
…あぁ、俺って…
俺って…嫌われてんのかな…
『あんたには人にないものがある。存在価値なんてそれで充分だろ』
…あ。
……今のって…
そういや昔、そんなことも言われたなぁ…
………
…なんだかんだ言って俺、嫌われてはいないんじゃねーか?
…そうだよな!あんなこと言ってくれるくらいだし、俺きっと愛されてるよな!!
うん、大丈夫だ!! ――――
「――…イ、ロイ!ロイ!!」
「んがっ!?」
考えにふけっている途中、呼ばれていることに気が付いて思わず慌てる。
「って…なんだナタリーか」
「なんだとは何よ…」
「わ、悪かったって…」
今の態度に少し機嫌が悪くなったのか、眉をひそめるナタリーに、ロイは慌てて謝る。
(ナタリーって怒ると怖いからな、うん。)
心の中でそっと思うロイ。口に出したら間違いなく怒られるだろう。
今の言葉は絶対に口に出さないと心に決めたロイだった。
「で、どうしたんだ?なんか用でもあったか?」
「いいえ」
ナタリーは首を横に振った。
ただ、と言葉を紡ぐ。
「なんだか機嫌がよさそうだなと思っただけよ。楽しそうに鼻歌まで歌っちゃって…なんかいいことでもあった?」
「ん~…まあな♪」
ロイがニカッと笑ってみせると、ナタリーもくすくす笑う。
「それならよかったわ、楽しいことは悪いことじゃないものね」
「まあそりゃそうだ♪」
ナタリーはふふっと笑うと口を開いた。
「でもまあ、思い出に浸るのもいいけど、少しは手伝ってちょうだい。例のことは今日決行するんでしょ?」
「ああ、そうだったな!」
「エルヴァは仕事が早いんだから、私たちも早めに準備を済ませておきましょ?」
確かにエルヴァは少し余裕をもって依頼を受けるようにしている。そのため、最初に取り決めた日程より仕事が早く終わることが多いのだ。
「そうだな……わるかったな、今から手伝うから!」
「えぇ♪」
―― 今日はなんだかいい日だな♪
これからもっと盛り上げるつもりだけどな♪ ――
このだいぶ後、ロイはこのとき考えていたことをなんとなくエルヴァに打ち明け、
「やっぱりバカの極みだなあんたは」
との罵りを受けたのだった……
閑話 休題。
エルヴァはロイのことが嫌いではないはずなんです、噂のツンデr(((
エルヴァ「少しは黙れ、そして早く更新しろよ…?」