話
桜が舞っていた、新学期。
空は晴れ渡り、正に新学期に丁度よかった。
「おーい!」
そんな声が遠巻きに聞こえる。
同じクラスに知り合いはいるだろうか、そんな期待を胸に乗せ、高鳴る胸を抑えながら教室を目指した。
「あー!!」
教室へ入ると少しの歓声が上がる。
「やったー!同じクラスだねっ!」
高鳴る胸。飛び上がりそうになるこの衝動。
仲のいい友達と同じクラスになれた、それだけで飛び上がりたいくらい、叫びたいくらい、そんな衝動に刈られる。
私には、幼馴染が居る。
そして、昔からずっと一緒の友達が居る。
その中に、幼馴染も入って居る。
「これからも、仲良くしような、梓織。」
幼馴染、佑太郎が笑顔でそう言う。
そしてそれに続き、桃、鋼輔も微笑む。
私はこの4人が大好きだった。
嬉しいことに、この4人は席が近く、班も同じ。
そして密かに私は祐太郎を、桃は鋼輔に、恋をしている。
これは、お互いの秘密。
だからこうして笑顔で居られるのが、私たちは幸せだった。
そんな中、ある人がやってきた。
「佑ちゃん、鋼ちゃん、」
そう微笑むのは....。
学園一、美人とされている、茉莉歌だ。
「あ、橘じゃん、」
そう言うと、二人はちょっと行って来る、と言って、席を外してしまった。
私たちは顔を見合わせる。
桃の瞳は少し潤んでいた。
「鋼輔...」
「祐太郎...」
それは私たちが同時に発した言葉だった。
等の本人たちは、笑顔で茉莉歌と話していた。
私たちはその光景に屈辱を覚えた。