カノンと変態ドラゴン
目の前に広がるのは、一面のお花畑です。
あたしは、お花畑に立っております。
同じような事を2回言いましたけども、大事な事だからではなく、あたしともあろう者が混乱しております。
あれ?あたし、芹の部屋にいたよね?夢かな?じゃあ、あのちっちゃいおっさんも夢だったのかな?
やだ☆こんなメルヘンな夢見るなんてあたしも乙女なトコあるじゃん☆まだ手にある蛸はぬちゃぬちゃしてるけどNE☆
しかし、リアルな夢だなーはは。
なんて、考えていたら、大きな影があたしを隠した。心なしか、なんか凄い風の音がするし、あたしの美脚を強調するためのミニスカートがすんごいめくれあがっている。デリケートゾーンのムダ毛処理しといて良かったってくらい、あたしのお気に入りのガ○ャピンパンツが丸見え。
でも、そんな事にかまってられないほど、風が強くて目が開けらんなかった。
いや、まぢ、リアルすぎくない!?
グォォォォン
って…なんか、怪獣みたいな声聞こえるんですけど!?
ずしぃん…って音がして、風がやんだから目を開けてみたら…3階建ての建物並みのどこかで見た事のある生き物…
やだ、あたしったら最近ハリーホ○ッターにハマッてたからって、夢にまでドラゴンがでてくるなんて。ふふっ。あら、やだ、この子火を吹きましてよ奥様。おてんばさんですわね、ふふっ。
…って、あっつーーーーーー!!
夢…っ!!夢なのに熱いとか、あたし感性豊かすぎーーー!!
ごうごうと燃えるメルヘンなお花畑。そう、儚く散るからこそ花は美しい…散るんでなくて燃え盛ってるけど。ってバカ!そんな事はどうでもいいのよ!あのでかいのがこっち向いて口開けてるのよー!あれ、絶対火ぃ吹く!あたしに向かって火ぃ吹くよー!!
あたしは咄嗟に生蛸を投げた。
スローモーションで時が流れていく。
あたしの手から放たれる生蛸。
ドラゴンの口の奥から見える炎。
ドラゴンの口へお邪魔する生蛸。
ちょっと出てた炎にイイ感じで焼ける生蛸。
口の中の異物に思わず口を閉ざすドラゴン。
もぐもぐされる生…いや、焼き蛸。
「……………」
「……………」
目と目で通じ合うあたしとドラゴン。うむ、よかろう。あたしを襲った罪は無かった事にしてうぬを逃がしてやろう。さあ、あたしの気持ちが変わらぬうちにどこへなりとも去るが良い。
「……………」
ですよねー。そんなうまい事いく訳ないですよねー。
…ん?あれ?なんか、ドラゴンがだんだんと小さく………ぅわーお、イケメソ。
なんと、ドラゴンが赤金色のややロン毛イケメソに変わったではありませんか。あれでしょ?腐女子的には擬人化ってヤツでしょ?電子レンジ(♂)と炊飯ジャー(♂)の擬人化の話(18禁)は面白かったわ。
なんて思ってたらイケメソドラゴンが興奮した様子で話しかけてきた。
「なんださっきのアレ!?メチャクチャ美味かったんだけど何アレ!?」
「蛸だよ。」(やや冷め気味)
「タコっつーの!?マジ美味いなー!なぁ、もうねーの!?」
「無いよ。」(あんな、ぬちゃぬちゃしたもん大量に持ってたら変態だよ)
あからさまにショボーンとするイケメソドラゴン。ああ、何このウザい夢。早く醒めないかなー。
………何ジロジロ見てんだこのイケメソめ。
「人型になって見てみるとお前けっこーかわいーな!?」
ほほほ、よきにはからえ。よきにはからえ。
「オレと子作りしよーぜ!」
なんだ、ただの変態か。






