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いろいろあった。グレイ様から『俺の領地に私設図書館作るか?』の爆弾発言の後、わたしが腰砕けになってからの婚約の申し込みがあったり、お兄様のご機嫌が悪かったり、お姉様からグレイ様の詳細な調査票が届いたり。婚約お披露目パーティでは、生まれて初めてお父様とお母様にお会いしたり、わたしのテンションが始終おかしかったりした。
卒業したら結婚するんだよ。
前世好きな人もいなかったのに、とっても不思議だ。
トマスおじいちゃんは一緒に着いて来てくれると言ってくれた。それだけで心強い。
黒目黒髪生まれてきて呪われているに違いないと思われ隔離されて軟禁されて無視されて寂しかったけど好き勝手もした。
前世の小心者で貧乏性で劣等感を持ち人の顔色見て生きていた、少しおどおどしたわたしは神様の興味をひき目印をつけられて、マイナス部分が消えてしまって、能天気に好きに生きていくことができるようになった。
家出した後、独りぼっちで生きていくのかなと思っていたら、トマスおじいちゃんも、エットたちにも会えた。アルマ様にニナ様というお友達もできた。
それにグレイ様だ。両想いになったと自覚した瞬間の体の芯が沸騰しそうなぐらいぎゅんと嬉しさが爆発した。なんだ幸せなんじゃないわたし。
本当、とっても幸せだと思う。神様の加護は本当に加護だったなとしみじみ思う。
神様目印つけてくださって、マイナス感情消してくださってありがとうございます。
この後、グレイ様と本当に結婚した。嘘でもまやかしでもいたずらでもなく、正真正銘本気で結婚できた。結婚式にはお兄様やお姉様をはじめ、エットたち全員が来てくれた。ドレスはフューラが作ってくれた。わたしはふわふわ夢心地だったけど、シューが結婚先の領地にまで付いてきてくれた。メイドとして働くんだそうだ。『サンディお姉ちゃんは変なところでボケているから、わたしがちゃんと見張っておくよ。』ということらしい。
エットたちの近況も聞いた。エット、トゥヴォ、トゥレーのところにはそれぞれ子どもが生まれて、結婚式にも連れてきてくれた。可愛かった。みんな幸せにしているから気にしなくていいよと言われた。また、顔出すからね。何者でもなかった5年間。大家族の一員として可愛がってもらった5年間はわたしにとっても大事な時間だった。決して忘れないよ。
アルマ様とニナ様も祝福に来てくださった。お二人とも先にご結婚されていたので、ご主人と一緒だった。お二人とも成人になってご結婚されたことから『ドレス愛で隊』に加入されたと聞く。フューラとユーリたちとも仲良くしているそうだ。
結婚したばかりの時は王都と領地をいったり来たりしていた。
グレイ様の家系は古くからあるらしく領地は王都の近くにあるので、行き来が楽だ。
領地におられるお義父様とお義母様とお会いした時は緊張の糸が切れるかと思ったけど、あのグレイ様のご両親だ。おおらかでとてもお優しい方だった。
グレイ様が黒目黒髪に近い色目でも、卑屈になったりせず、爽やかに成長したのもわかるようだった。わたしの両親もこうだと良かったと一瞬よぎったけど、無い物ねだりはしても不幸だし。今がとっても幸せだからまぁいいか。
トマスおじいちゃんは、最近、お茶のみ友達ができたそうだ。旦那様を早く亡くされて、お一人で暮らしている方で、グレイ様のご実家でメイドをしている方だ。シューの教育係になってくれたそうで、シューの後見として会っているうちに、なんだかいい感じらしい。でも、いい歳だからお茶のみ友達止まりなんだそうだ。
わたしに遠慮しているなら遠慮しないでと、言ったけど、『そうじゃないんですよ。今が幸せでございます。』とにっこり言われると、それ以上は言えなかった。トマスおじいちゃんが幸せならば、わたしも幸せだ。
グレイ様に一度、何故わたしと結婚しようと思ったのかを聞いたことがある。すると『呪われたと噂される俺のことを一切拒絶せず丸ごと受け止めてくれたこと、意外と真面目で前向きで頑張り屋なところ、後、猫目が可愛かった。』相当照れていたけど、必死に伝えてくれた。聞いたわたしは真っ赤になってしまった。好きな人に受け入れられるって多幸感。
お互い、黒目黒髪は呪いだっていうデマに巻き込まれてきたけれど、その結果幸せになれたんだから良かったんだよね。転生者だからって面白がってつけられた目印だったけど、神様がすることなんで、人は全部理解なんでできないというのが勉強した結果の回答だ。理解できないけど、見守ってくださって、守られているっていう安心感は常にあった。好き勝手に生きてこれた日々に感謝です。
グレイ様の領地で私設図書館の設立の準備を着々と進めていた頃、子どもができた。
可愛い長男は、黒目黒髪だった。最初ちょっと驚いたけど、なんだか納得した。
『そなたの子も面白そうだ』
そんな神様の声が聞こえてきそうだ。
神様この子もよろしくお願いします。
終




