第7話 新園芸部の未来に幸あれ!
文化祭……この言葉を聞いた瞬間、俺は喜びが出る。
その理由は、女子に話しかけやすいし、ワンチャン期待できるからだ。
まぁ、昨日は本坂のせいで未来を見ることを忘れていたが、今日はやる。
「ねぇ、みて」
「何をだ?」
「この格好」
何の役だ?もしかして
「なに、ラッキースケベ役?」
「去井くん、何考えてるの?」
だって衣装ビショビショだし。
「何で衣装濡れてるの?」
「コーラ飲んでたら、手を滑らせちゃって」
衣装を着ているのになんで飲んだんだ。
「新しいのとかないの?」
「……ない」
まぁ白い衣装だから洗濯しても落ちないよな、簡単には。
「衣装汚れてたら役大丈夫?」
「大丈夫だよ、雨に濡れた幽霊役だし」
なるほど、何もしなくても既に完成させたのか。
「満帆、練習始まるよ」
「今行くね」
「で、君誰だっけ」
去井ってそんな目立ってなかったのか……。
「去井慎也です、少しの間休んでた」
「あー、ぼっちくんか!」
本人の目の前で言うのはやめましょうか。
傷つくので。代わりの俺ですらなんか傷つく。
とりま未来を見て落ち着くか。
「ばーか」
いい展開なんじゃね!?この人誰だが分からんが、
「別れよっか」
未来の俺?が言ってるのか。
ってことは、おい何してくれてんだ!絶好の機会を見逃すなんてバカすぎるぞ!
「本坂さん、助けてください」
「何で?去井くん助ける場面今あった?」
未来の俺が俺の許可なしに振ったので。
「いや、やっぱ何でもない…です」
「じゃ、行ってくるね〜」
「あ、はい……」
「去井おるか?」
「います、何でしょうか?」
「園芸部が人手足りないみたいだから、行ってくれないか?」
何故、俺を呼んだ。他にも人手いただろ。
「わかりました」
まぁ、園芸部女子沢山いるし良いか。
園芸部の部室は2階だったよな。
ここか。ドアをちらっと開けた。
勿論女子が居るかどうかの確認の為だ。
「おっわ!ここほんとに園芸部か!?」
「園芸部である」
誰だ、この男は。
「園芸部部長の羽山つつじだ」
部長は男なのか……それは一旦置いといて
「園芸部というより、虫集め部じゃないんですか?」
「何言ってる、そこにたまたまGがいただけだよ」
「いやだって、瓶に入ってる……」
「この瓶解放するとさらに面白いぞ〜」
「あ、園芸部です」
「良かった〜、君手伝いに来た子かな?」
「そうです、2年F組の去井慎也です、よろしくお願いします」
「よろしくね、手伝いはその瓶をこの瓶に移してくれ」
世界一嫌なお手伝い、時給とか発生しません?
「Gの瓶はちょっと……」
「じゃあ、こっちの瓶頼む」
「そんいや、他の部員は」
「なんか瓶見て嫌がって逃げた」
分かっていたけど、聞きたくなった。
後、こっちの瓶は得体の知れない物体なのでやめます。
「整理とかしないんですか?」
「しないし、後手伝いというより頼みがある」
頼み?なんの事だ?
「園芸部部長になってくれ」
冗談にも程がありますよ。
「そもそも俺部活辞めた側ですよ?」
「そんなことはどうでもいい」
「いや、他に部員がいるでしょ」
「昨日付けでで俺以外辞めた」
なるほど、理由は分かった。
「園芸部部長はちょっと」
「よしなら、誰か連れてこい!」
「えぇ」
背中押された為、本当に誰かを探さなければ。
と言っても心当たりが、あいつしかいないけどOKしてくれるかな。
「本坂さん、昼休み美術室へ来てくれないかな?」
「いいよ」
「ほんとにいいの?」
「いいって言ってるでしょ」
「ありがとう」
昼休みが始まった。
まずはトイレだ。
漏らしたらこの学校に去井は来れないかもしれないからな。
美術室のドアを開けたが、本坂はまだいなかった。
「去井くん、飲み物買ってくれない?」
来た瞬間にに何を言ってるのだろうか、この女は。
「何円ぐらいの?」
「160円!」
地味に高いの持ってきたな。
「はい、じゃあ俺の分も買ってきて」
「分かった〜」
「後で買ってくるから、用件を先に言ってもらっていいかな?」
「園芸部入ってくれない?」
「この間バスケ部辞めたのに?」
「色々事情があってさ」
大体のことを話した。
「ふうん、人手が居ないならいいよ!」
「感謝する」
そして、部室へ連れていく。
「……ほんとにここ園芸部?」
「エンゲイブダヨー」
「入ってくれるかな?」
「無理…かな?」
まぁイメージとかけ離れてることは分かっていたけど
「部長に駆け寄って無理な物は撤去してもらうから」
「それなら」
よし、了承は得たが問題は部長だな。
「お弁当食べていかないの?」
「お弁当なら3時間目に食べたけど」
「そう……」
園芸部の部室へ来た。
「部長さ……ん?」
「はは、天使よ、我を連れて行ってくれ!」
「部長さーん、こっちへ戻ってきてくださーい」
「は!俺の彼女はどこに!?」
目覚めは最悪だな。これは。
「部長さん、俺のクラスメイトがここら辺を撤去したら入ってくれるって」
「それはホントか!?」
「ほんとです」
「植物系以外なら撤去して構わない」
「分かりました」
美術室へ俺は戻った。
「本坂さん、まだいたの?」
「いたの」
泣いている、理由は後で聞こう。
「ごめんね、本坂さん、植物系以外なら撤去するから入るでいいかな?」
「うん」
「泣いてるのは何で?」
「飲み物間違えて170円買っちゃって、君の分が買えなかったの」
それで泣いていたのか。
「いいよ、別にそのお金はとっといていいよ」
「ほんと!?」
顔が近い……。
「園芸部部長は俺だけどいいかな?」
「いいよ!」
新園芸部に幸あれ!