第6話 デート?に幸あれ!
朝の目覚ましではなく、インターホンが鳴っている。
「ほ、本坂くん、ファ、ファミレス行こ?」
まず落ち着け、本坂はおまえだ。
「落ち着いてって、本坂さん、本坂はあなたですよ?」
「え、あ」
この女、とうとう奢られるために俺ん家でまで来たのか?
「ファミレス、こんな時間やってないけど……」
「じゃあ、ファミマいこ!?」
なぜ、レストランからコンビニになるんだ。
「あと30分待ったら開店するし、俺の家で待機する?」
「する!」
………………
「本坂さん、飲み物何本飲みました?」
「え、少ない方だよ」
何本と聞いておるんだ!見た感じ20本飲んでるじゃないか!
「それトイレ行きたくなりません?大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫、すぐに行けるから」
「はあ」
大丈夫ならいいけど。
「そろそろ開店時間になりますし、行こっか?」
「え?うん」
………………来たのはいいけど、ファミレスとは何かまず説いてもらおうか。
「ねぇ、本坂さん」
「なに?」
「ここ、ファミレスじゃなくて、イオンですよ?」
「イオンもファミレスの一環でしょ」
まぁ、部分的には合ってるんですけど……
「ここ、スーパーのとこですよ」
「なーにいってるの、試食があるんだから、ファミレスでしょ」
試食?こいつの場合は試飲のほうがいいんじゃないか?
「で、そのカゴの量は何?」
「明日の飲み物とおやつ」
おやつはポテチ1袋のみ、他は全部飲み物だ。
「それ、大丈夫?」
「大丈夫よ、これくらい、この後に2本は無理かな」
知らんが、この量の後に飲み物2本追加はきついらしい。
どうでもいい情報を得た俺達はアニメイトに向かう。
ここに来た理由は本坂がお金足りなくて2000円俺のお金を追加した為、気分転換に来た。
「ねぇ、去井くん何でここ来たの?」
「ラノベ集め」
さっきのは前言撤回しといてくれ。
「そんなキッパリと」
「好きな本とかないのか?2冊ぐらいなら買ってやるぞ」
「ない……」
ん?子供か。
相変わらず駄々こねてるなー。
最近の子供はアニメイト好き多いのかな?
「本坂さーん」
「去井くん、いたいた」
「ねぇ、なにこのお菓子」
「アニメイトだから、DVDしか売ってないと思ったらお菓子売ってたから」
2000円以上越す買い物をまたしてる。
「仕方ない、買うよ」
ラノベは一冊で諦めよう。
「ありがとね!」
さっき駄々こねていた子供がこっちへきた。
そして俺の股間へ子供の手が思いっきり当たった。
あは、天使が迎える。
これが本当の幸か。
「おーい、戻ってきなよ」
悪魔のささやきが、少し聞こえる。
なぜ悪魔に戻されなければならない。
「あれ、去井くんと満ちゃんじゃん、ここで何してるの」
また、クラスの女子か。
安心して欲しい、俺にはプランAがある。
「それはだなーアニメイトに行きたいって本坂さんが!」
「へぇ、そうなんだ、満ちゃん案外アニメにハマってるんだね〜」
よし、引っかかったついでに未来を!!!
「別れて」
嫌、そんなどストレートに言われても。
未来の俺、何したんですか?
「「ねぇ、去井くん何で泣いてるの?」」
はい、未来の俺が振られたので泣いてます。
「何でも無いです」
「「ふうん」」
ハモリやめてくれない?メンタル更に折られるから。
クラスの女子だけ帰らせた本坂。
なぜか俺は帰ろうとしたら思いっきり引っ張っられた。
「…………」
ここレストランだよな?
「ねぇ、本坂さん」
「ズズッー、何?」
「何か食べないの?」
「食べないよ?」
食べないのか、遠慮はしてないよな。
だって飲み物既に10杯目だし。
「な、何か奢ろうか?」
「いいの、じゃあアイスクリームメロンソーダ」
さっき、ただのメロンソーダ飲んでたのに、今度はアイスクリームメロンソーダか。
安いからいいけど。
俺は注文ボタンを押した。
「はい、ご注文は如何なさいますか?」
「あ、アイスクリームメロンソーダを2つお願いします」
「え」
何、その反応。
「去井くん、何で2つも頼んだの?」
「え、俺も飲むからだけど」
「あ、そうなの」
しょんぼりとする本坂、まさかこいつ2杯飲む気満々だったのか?
俺は水を少し飲んでコトンとグラスを置いた。
「で、俺がここに来た理由聞いてもいいかな?」
飲んでいる途中に話しかけたから怒ったか?
全てを飲みきった後に話が始まった。
傍から見たら、これはデートなのだろう。
だが、
「酒谷くんのアイコンを見て」
ん?抱き合うアイコン、勿論イラストではあるが。
「それがどうかしたの?」
「気づかない?」
だって、ハグしてるだけだし別に何も。
「抱き合ってるってことはね!恋愛感情がMAXってことなの!」
そうなのか?未来で見える女子に全部振られてるからよく分からないが。
「それがどうしたの?」
「目の前で……」
少し声抑えてくれないかな。
「お待たせしました〜アイスクリームメロンソーダ2つです」
「ありがとうございます」
「あ、それ俺のなんだけど……」
本坂はそんなことを気にせずWストローでアイスクリームメロンソーダを飲む。
結果的に俺は何も飲まずにただ奢っただけであった。
本当のデートをしてみたい。