表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の未来に幸あれ!  作者: 自由移動
SS&番外編
40/40

番外編「付き合わないか?」

幼馴染の俊介に振られ、部活に入った本坂満帆。

しかし、年月がすぎ、本坂を振った俊介が「付き合わないか」と言ってきた。

園芸部に入ったけど、案外楽しくていい。一応慰め?の人もいるし。こう考えてる中、私を振った相手、俊介が走ってきた。

「俊介、どうしたの?」

「前はごめん」

「いいよ、気にしてない」

「そうか、なら良かった」

俊介は心をホッとさせている。一体、どうしたのだろうか。少し息切れもしているし。

「満帆、付き合わないか?」

「え」

俊介は彼女の筒島がいるのに、私と付き合いたいとか何言ってるのだろうか。

「筒島ちゃんが居るのに、俊介、何言ってるの?」

「アイツとは……」

え、別れたのかな?付き合って1ヶ月も経たないうちに?相性が合わなかったのだろうか。

 私は俊介とは付き合っていない。けど、今好きな人から付き合わないかと、言われた。

 付き合えるならそれは私は嬉しい。けど、別れた相手もいる訳だから、まだ返事は出せない。

「別れたというより、喧嘩してこのままだと破局なんだ」

 まだ別れていない。危ない、紛らわしいことをするのは流石、俊介だなと思う。

 もし別れたら、私は付き合えるのだろうか。前は帰宅部だから良かったものの、今はもう部活に入ってしまっている。

 去井君なら、休んでもOKはしてくれるだろう。

「ダメ……か?」

 泣きたいほど、嬉しいけど、やはり、私は悩んでしまう。

「私的には嬉しいけど、私は幸せを分けたいの」

「それは好きな人がいるのか」

 それは私も分からない。筒島さんだって、悲しいと思う。まだ私には支えがある。けど、今の筒島さんを支える相手は彼しかいない。

「人が悲しかった心は相当忘れないんだよね」

 私は彼に詰め寄る。そして彼を見上げる。

「貴方は他人の事を考えていない、もう少し考えてみて」

「他人の事……」

 付き合うなら、人の事を考える事は大事なこと。それを俊介はあまり気にしていない。

「分かった。だが、もし駄目なら付き合ってくれるか?」

 私は強めの口調で答える。

「付き合わない!」

「そうか」

 彼にある恋愛感情もあるけど、私も1人にはなりたくなくて、2人になれるようにしたんだから、その人をもう一度1人にはさせたくない。

「もう一度言うね。何があっても私は付き合わない」

「否定が聞けて、俺は決心できた」

 俊介は去っていった。さてと、私はこっそりと木の奥で見てる人に話す。

 筒島(つつしま)美波(みなみ)、酒谷俊介の彼女。私の元ライバル。

「満帆、それで良かったの?」

 心配の声をするが、今は間違っている。

「話してみない?喧嘩した理由を」

 筒島さんは戸惑ったように見えたが、涙を堪えながら話してくれる。

「なるほどね〜、好き嫌いがヒートアップしていったと…」

「うん」

 まあ、ヒートアップして行くことは私と俊介の時もあったけど、その時はテレビとか流して場を収めたけど、無理だったのかな?

「筒島ちゃん、別れていいの?」

「それは、嫌だけど、もうその方向に行ってるじゃん。俊介があれだと」

 あの行動を見た後なら、仕方ないか。けど、

「謝って確認してみたら?」

「謝れる場所がない」

「なら、私が作ってあげるから」

「いいの?」

 どちらにも非があるなら、謝る必要がある。ライバルとか関係なく、今はどちらも支える側として。

「満帆、ありがとう」

「いいよ、じゃまた明日ね」

「本当にありがとう」

 泣きながら走っていく筒島ちゃん。なぜ、私は釣られて泣いてしまったのだろう。

 少しだけ背を向けて、泣いていると1人の男子が話しかける。俊介がさっきの話を聞いて、また駆けつけたのだろうか。

「どうしたの?本坂さん」

 私に話しかける男子の正体は去井(さい) 慎也(しんや)。私の友達(クラスメイト)で私が入っている園芸部の部長である。

「ううん、何でもないよ」

「そう?そういう割には悲しそうだけど」

 彼は私の顔を読み取るのは得意なのだろうか。悲しい理由なんて、1つしか見当たらない。

「コーラ飲み干しちゃった?」

 全然違う。やはり、彼は感性がズレているのだろうか。コーラはまだ後1つ残ってるから泣くわけないのに。

「違うよ?」

「違うんだ。(いず)れにせよ、悲しかったのは合っている?」

「うん」

 彼は少しだけ私へ近づく。一体何をするのだろうか。

「はい、コーラ」

「え?」

 唐突にコーラを渡されて吃驚(びっくり)した。彼は、頭を少し掻いて言う。

「いや、何か今日見てたら、悲しそうな表情だから、てっきり」

 私は悲しさが飛ぶ程、急に嬉しくなった。

「へぇ、1日中見てたんだ?」

「あ、いや、別にそんな訳じゃ」

 動揺してる。これは、見てたと私は推測しようかな。私は彼に肩をぶつけた。

「もうちょっと私の表情でも見とく?去井君?」

「それは置いといて、元気になって良かった」

 置いとかれたのはちょっと癪だけど、今回は良いかな。

「本坂さんをあまり悲しくさせたくない」

 彼は少しだけ笑みを浮かべた。彼が笑みを浮かべるなんて初めて見た気がする。

「ん?何か俺おかしかった?」

「ううん、少しだけあれだったくらいかな?」

「あれって?」

「いわない」

 彼は言ってほしそうだったが、心の中で言おうかな。

 少しだけかっこよく、おもしろかったよ、去井君。


 後日、去井君には内緒で筒島さんと俊介を集合させ、仲直りをさせた。

シリアスな話でしたが、やっぱさすがですね。去井は。あそこで「コーラを思い浮かべるなんて」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ