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俺の未来に幸あれ!  作者: 自由移動
高校3年生編
33/40

第32話 授業に幸あれ!

最悪だ、俺としたことが物理の教科書を忘れてしまった。

これは見せてもらうしかないよな。隣の席は女子だけど。

「あの〜、教科書」

「忘れたの?慎也(しんや)くん」

「……はい」

そして、女子は俺の机とくっつける。

はあ、何で忘れたんだろ。

そういや、初めて話した女子だよな。

未来……見なくていいか。来年までは彼女禁止なんだし。

ん、なんか後ろからこの後(はた)くぞという視線を感じる。

「んじゃ、そこの問題を去井(さい)本坂(ほんさか)、そして三重(みにえ)だ」

何故、俺。俺は黒板を見る。あ、今日、日直だったのか。

だが、なぜ斜めであてるんだ。本坂は良いとして、三重(みにえ)?とか言う人は可哀想だな。

ええと、ここの法則を使うとこうなるから、

「3≦a≦8です」

完璧だ。

「よし、不正解だ」

「な!」 

教室から笑いがでる。ふざけるな。

どう見ても、法則使ったらそうなるはずだ。

「次、本坂」

「はい、±2です」

「よし、正解だ」

何でだよ!あれ5じゃないのか?

「続いて、三重(みにえ)

「はい、5kWです」

「よし、不正解だ」

三重さんには悪いけど、良かった、俺以外に不正解者がいて。

「教科書の答え見せてくれない?」

「え、あ、いいけど……」

また視線が痛い。けれど、今回のはやばい気がする。

今にも俺を殺しそうな目線。

叩くとは次元が違いすぎる。

そして、授業が終わり、HRも終わる。

部室に俺は向かった。廃部とかまずいので。

本坂が普通にいるが、機嫌は良くなさそうである。

本坂の機嫌には1、2、3の3段階の機嫌度がある。

1がいちばん悪い。そして、今がその状態だ。

「去井くん、教科書わざと忘れたんでしょ!」

声がでかい。後キレすぎじゃない?俺も人間だぞ。

「そんなわけないでしょ、まあ出来るなら仲良い人に見せてもらいたかったけどね」

「ふうん、そうなんだね!やっぱデレてんだね」

え、俺おかしいこと言った?

「いや、俺的に本坂さんとの方が良かったって言ってるわけで……」

「へ、ありがとう」

お礼言う必要は無いと思う。

「けど、デレはダメだよ!」

だからデレてないっての。

「本坂さんに彼女禁止令されてるんだからデレない」

「去井くん、そういやそうだったね」

こいつ、忘れてたのか。

「あ、去井くんコーラいる?」

「え、いらないけど」

「受け取って!」

本坂は俺にコーラを投げる。おい、扱いは大事にしろと習わなかったか?

「あれ、冷えてる」

「去井くんの為に冷やしたんだよ」

俺の為に?

「あ、ありがとう」

「ねえ、去井くん」

「何?」

「正月空いてる?」

いきなり話が替わった。

「正月?」

今年は実家の人達がこっち来るとか言ってたからな。

あ、けど元旦は家族と初詣行くんだよな。

「2日以降なら空いてる」

「わあ、じゃあ、3日にだけど、神社どうしようか」

「あ、ここでいいんじゃない」

俺はスマホで探し、指を差す。

本坂は俺の指が邪魔で見えないと言い、俺の手をどかす。

「ここでいいね」

よかった、了承してくれた。

「雫さんも誘う?」

「去井くん、私不機嫌になるよ?」

既になっていただろ。

「分かったよ、誘わない」

よかったわ、今本人いなくて。可哀想だけど。

「じゃあ、帰ろっか」

「あ、うん」

……本坂、酒谷と同じ大学行ってしまうのか。

我ながら、本坂の誕生日に恋を自覚したの残念だったかもしれない。

そして、雨がポツリと降ってくる。

(つめ)た」

俺は折りたたみ傘を持っている。 本坂は持っているのだろうか。

あ、普通に持ってる。

「雨降っちゃったね」

「あのさ、何で隣で歩いてるの?」

「去井くんじゃ分からないから答えない」

酷い。

「え、もしかして彼氏作った?」

「そんなわけないでしょ!去井くんに禁止してる以上私もするの」

まあ、その禁止令そろそろ解けるんだがな。

「神社で色々とやるつもりだし」

色々ってなんだ?頼むから問題行動は起こすなよ?

「あ、去井くんコンビニ入ろ?」

「いいけど、何買うの?」

「え、コーラ10本とポテチ2袋だけど…普通でしょ?」

普通ではない。せめて等倍にしろ。

「いらっしゃいませ〜……あ、見良(みら)君!」

「え、南島(みなしま)さん?」

何で幼馴染がここで働いているんだ?

「去井くん知ってるの?」

「去井?この人は見良でなくて?」

あ、俺名前変えたんだよな。

「あ、名前変えたんだよね」

「へえ、案外気に入ってたんだけどね」

「ほお、気に入れられていた」

まずい、本坂が俺を()る目線で。

「本坂さん、と、とりあえず買ってきたら?」

「そうする」

そして、南島さんが俺に話しかける。

「彼女?」

「いや、違う……そもそも禁止されてるし」

「案外厳しいんだね、見良君の家って」

俺の家では禁止されていない、本坂に禁止されているのだ。今年は。

「はい、お会計」

「あ、はい、お会計5835円になります」

そして本坂はお金を出す。

「ありがとうございました〜」

「去井くん、いくよ」

「あ、うん」

雨か。傘をさして帰るか。

歩いている途中本坂は傘を閉じ、俺の中へ入ってくる。

「え、傘あったよね?」

「あったよ?けど不機嫌だから」

本坂は俺に肩をぶつけてくる。

相合傘……俺は理解できない。傘があるなら使えばいいのに。




本坂満帆日記―彼の幼馴染

私は△君の幼馴染に会ってしまいました。

デレているように見えました。

私はムスッとします。

なので、帰りは傘を閉じ彼の所へ入りました。

私の彼氏作り禁止期間、そして彼の彼女作り禁止の有効期限はもうすぐ無くなる。



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