第30話 進路選択に幸あれ!
進路選択……高校3年生だと1番重要な道だ。
どこにしよう。あ、そういや期末テストの結果貼り出されていたな。見ることにしよう。
本坂は120位とかかな?
ええと、俺は68位。前回70位だから伸びてはいる。また俺は順位を見返す。え、見間違いじゃないよな?
本坂満帆634点70位。(今回は8教科)
え、なぜそこまで順位を伸ばせた。塾とかでも通い始めたのか?
「あれ、去井くん、ここにいたんだ」
じゃあ何故少し息切れしている?
本坂は進路希望は大学である。
大学の希望も書かれている。
さにかき大学と書かれている。
これが第1希望だと俺は思う。
そういや、酒谷もそこが希望とか言っていたな。
あ、あいつ諦めてないのか。
予想として第2希望は読柿大学。
第3希望は見えなかった。
そうか、本坂とは来年の3月までか。
「あれ、本坂さん、酒谷と同じ大学行くの?」
「ええと、うん、そうだよ」
「へえ、取りに行くの?」
「え、あ、多分」
何だ、その曖昧な答えは。
「そういや去井くんは大学どこ行くの?」
え、どうしようか。俺まだ決めてないし。
「今日、席替えだろ?その時教える」
「ほお、へえ」
なんで嬉しそうなんだ。今日席替えのこと今思い出したわ。
まあ、今回で席替えは最後だがな。
「さあ、席替えだ、くじを引け」
くじねぇ、神によく頼んでるんだけど一切効かない。
出来れば後ろがいいと思いながらやってるのに、
いっつもアリーナ席。
教師の死角になるのは有難いんだがノートを見られたくない。
5か6番がアリーナ席。俺は深呼吸をして、くじを引く。
5番……最悪だ。またノート見られる。
「奇遇だね」
なぜ本坂が後ろ斜めにいる。
「本坂さん、一体誰とすり替えたの?」
「ん?すり替えてませんけど!」
だって、そこ1番の死角じゃん。教卓から見て。
「じゃあ、去井くん進路希望書いてもらおうか」
最悪な状況になってしまった。
進路希望の時間はこれで終わりだ。
「おい、去井決めるのは難しいと思うがあと5分で終わるぞ」
先生にまで言われると余計にまずい気がする。
大学はこことここでいいか。
勿論適当ではないから安心してほしい。
ネットやオープンキャンパスを有効活用して、だした答えだ。
「去井くん、みーせーて」
「はい」
「へえ、ここ行くんだ、はい、返す」
本坂はなぜか後ろを振り向いて渡す。
「なぜ後ろ向きに?」
「まあ、気分というか?」
どういう気分だよ。そして、HRも終わった。
少しだけ部活寄ってくか。別に本坂がいるかと期待していたわけではない。ただ俺の足が俺の行く先を選んだだけだ。
「あ、去井部長来たんですね」
元つけてくれ。もう雫さんが部長だろ。
「ああ、文化祭の事について聞こうかと、今回のやつは部活活動も必須だったはずだから」
「あ〜それなら、サボりました」
お前、部長だろ。サラッと何言ってんだ。
「どうやって、サボれたの?」
「それはですね」
うん、なるほど。立ち入り禁止と壁紙に貼って園芸部と書いてるところは白い紙を貼ったらしい。
最低だな。俺は怒られないよな?
「怒られた?」
「いや、風邪とか言ってやりました」
園芸部悪い方向へどんどん向かってないか?
「あ、そういや生徒会長が言ってたんですけど、なんか廃部なんたらと」
おい、それは重要なことだ。なんで聞いてないんだ。
教室がガラッと開く。
「あ、去井くんいたんだ」
本坂、何でいるんだ?
「あ、本坂副部長」
「いや、私副部長じゃないから、どっかの誰かさんが嘘ついたんだよ」
本坂はギロッと睨む。うっ、それは紹介する為についた嘘だから。
「いや、本坂さん、あれは」
「よし、てことでお店行こう〜」
なぜお店に行かなければならない。
「自販機にして」
「わかった、雫ちゃんも行こっか」
雫さんはなぜか俺の手を引っ張って自販機に向かう。
「これは俺が払うの?」
「そーだけど!」
本坂何でそんなキレ気味なんだ。あと俺なのね。
「本坂さんは分かるとして、雫さんは?」
「レモンジュースで」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
そして俺は本坂にコーラを渡す。
「あ、カフェオレじゃないんだ」
「え、そっちの方が良かった?」
「え、いやコーラでいいよ」
本坂は喜ぶ顔をする。
「去井くん、それコーラ?」
「そうだけど?本坂さんもよく飲んでるから飲もうかと」
「へえ」
あれ、何言ってんだ俺。
そして本坂はコーラを両手で持ちながら後ろを向く。
「じゃあ、帰ろっか、去井くん」
なんか嬉しそうだな。なぜか俺はこの時の本坂の行動が可愛くておもしろくて、俺の心の感情がほんのちょっぴり理解出来たかもしれない。
進路選択に幸あれ!
本坂満帆日記―ありがとう
私は△君がまたカフェオレを私に買うと思ってました。
だけど、コーラでした。△君も私と同じコーラを選んでいました。
彼はやはり前と変わりません。
奢ってくれたので感謝します日記で、ありがとう。




