第29話 カラオケに幸あれ!
平日は普通の人にとっては最悪であるだろう。
だが、今日の俺は休みだ。
本坂にカラオケに行こうと誘われて、電車に乗ってる。
そういや、最近未来見てないな。
最近は本坂が、俺の所へ来ているため女子と話しずらく、未来を実質見させてくれないのだ。
「カラオケ店はここか」
「あ、去井くん、ちゃんと来たんだ」
「当たり前でしょ、約束は約束だし」
「まあ、入ろっか」
本坂は俺の手を引っ張った。前と違い、あまり痛くない。
そして俺らは店員に案内され、入った。
「じゃ、まず何歌う?」
「え、もう歌うの?」
「あ、先にコーラ頼んでなかったね、頼んどくね、2L」
そっちの事じゃない。……え、2L?2L?
飲めないぞ、少なくとも俺は。
「よーし歌おうか、予約しておいてね」
「え、やり方わからないから教えてほしいんだけど」
「仕方ないな〜」
本坂は俺に手取り足取り操作を教える。
大体は覚えれた。そして、俺は予約した。
そして、本坂が歌い出す。
「I don't know?」
これは歌詞なんだよな?ええと、タイトルは
『あなたは気づくかな?』、初めて聞いたタイトルだな。
そして本坂の歌が終わり、俺が歌うことになる。
俺って何歌うんだっけ。ええと、タイトルは『jealousy』え、英語なの?俺は歌えないよ?
いや、まだ分からない。英語じゃないかもしれない。
そして音楽が流れ始める。俺は画面の字幕を見る。
あ、英語だ。終わった。
「あ、あいみ」
「プッ」
本坂笑うな!そして歌が終わる。
本坂は拍手をする。
「よ、よく頑張ったね」
こいつ笑い堪えてるな。
「ありがとう」
「はい、コーラ」
俺は本坂から渡されたコーラを飲む。
「歌った後なのか分からないけど、美味しいね」
「でしょ?」
俺は頷いた。
「本坂さんって今年は彼氏作らないんだっけ?」
「そうだけど、どうしたの?」
「いや別に」
本坂は「なるほどね」と言った後、俺の隣に座る。
「なるほどねって何が?」
「まあ分からないよね、去井くんじゃ」
なんで煽るんだ。
「来年に分かるよ」
本当なのだろうか。
「去井くんも来年まで禁止でしょ?」
それはよく分からない。俺はいつから本坂に禁止されたのだ。
けれど、まあいいだろう。その禁止に乗っかてやろう。なぜ俺が乗っかたのは分からない。
「じゃあ、帰ろうか」
「待ってよ、去井くん」
「え、なに?帰る準備しかないけど」
「コーラ余ってるじゃん」
「え、それ本坂さんの……」
じゃないわ、俺のだわ。よくよく思い出したら本坂歌終わった瞬間空にしてたし。
「あ、あ〜飲んでいいよ」
「いいの!?」
声がでかい。
「あ、去井くん少し待っててね」
「あ、うん」
俺はなぜ了承したんだ。すぐ帰るつもりだったんだけど。
本坂は2Lのコーラを俺のタイマーによると、25秒で飲み切る。ちなみにあれは、一切飲んでいない新品なのだ。
「じゃあ、帰ろっか」
「あ、うん」
本坂と電車に乗る。
席は平日の昼前なのだが、空いていない。
「空いてないのか」
「え、別に立ってればよくない?」
え、本坂だから座りたいと思ったのに。
まあ俺も立っていたい側だから良かった。
そこまで混んでもいないのに本坂が微妙に近い気がする。
「去井くん、飲み物いる?」
「飲み物ってカラオケの?……え、まさか持ってきたの?」
「違います、ちゃんと自販機で買ってきたんです」
あ、流石にか……え、本坂買えたの?いや
「あ、本坂さん、自販機からどうやって盗んだの?」
「さっき言ったよね?買ってきたって!」
おお、声がでかい。
「ご、ごめん」
「やっと分かったか」
まあ俺のせいでもあるし。
「去井くん」
「なに?」
「私にもし彼氏ができたらどうする?」
突然何かを言い出すかと思えば、本坂に彼氏……
「まあ……うん、別に何も感じない……かな?」
「ほんとかな?」
何故、俺は感情に嘘をついたのだろう。
「ほんとに感じないと思うよ?」
「ほお」
本坂は今日はやけにうざい。
「まあいいよ、これで少しだけの嬉しさが持てたし」
なんで嬉しさが持てるんだ。俺にはよく分からない。
「何で嬉しさに変わるの?」
「まあ全ては来年かな?」
どういう意味だ。
「あ、まだ飲み物渡してなかったね、はい、カフェオレ」
「あ、ありがとう」
あれ、本坂よ。コーラやめたのか?
「本坂さん、カフェオレ飲むことにしたの?」
「いや?まだまだコーラだよ、今日だけは間違えたんだよ」
なるほど、そりゃそうだよな。俺と同じの選ばんよな。
「まあ、疲れたし、はい、乾杯」
俺は今日だけは何も言わずに、乾杯だけをした。
そっと軽く。
カラオケ……たまに行こうかな。
本坂満帆日記―想い
私の想いには確信は持てます、ただ彼の想いに確信は持てません。




