第2話 会話の未来に幸あれ!
別クラスとして来た俺だが、他人の名前を使うことになった。
俺の名前は去井慎也として、
このクラスにいなければならない。
俺のクラスにいたこのクラスの女子に話を聞くと、
欠席が長引いてたみたいだ。
まぁなんか人間関係リセットしたいからって
『ちょうどいい、入れ替えだ』と言っていた。
入れ替えは少しだけ気にしてるけど、
それよりあいつは成績いいのだろうか?
成績よくなければ、俺は一環の終わりだ。
俺の努力が!
俺は机を叩いた。
「慎也くん、机を叩いちゃダメだよ」
あのな、叩く原因はお前にあるんだよ。
「いや、原因言うなら言ってあげますよ」
「なんのこと?」
この女最悪だ!自覚してねぇ!
「まぁ、それはいいとして、あなたの名前は?」
「私?私の仮の名前は、本坂満帆だよ」
仮の名前?え、どういうこと?
「え、本名は他にあるんですか?」
「え?ないよ」
じゃあ、仮と言わんくていいだろ!紛らわしい。
「え、ないんですか?」
「ないけど?」
「なんで仮の名前と言ったんですか?」
「おもしろそうだから」
はぁ、そうですか。
「よ!去井元気になったんだな」
「え?誰?」
「おいおい、休みすぎて忘れたのか〜」
だって初対面だし。
「そうだよ〜忘れたの〜?水田くんだよ」
知らない、俺のクラスの水久なら知ってる。
あと貴方のせいでこうなっているんですよ。
「あ、あ〜水田くんか〜」
「お、思い出したか!良かったわー」
「お前」
やべ、流石に顔でバレたか?
「いつの間にそんなノート取るようなったんだよー」
あ、去井って奴不真面目なのね。
「まぁ、休みすぎて少しだけ暇になちゃって勉強したから」
「ほお、偉くなったんだな、顔は相変わらず変わってないな」
双子と言ってもバレない程に似てるのか?
「そんいやさ」
「どうした?」
「そんいやさ、君あっちのクラスで仮の名前使ってたよね、なんだっけ?」
仮の名前じゃなくて、あっちのクラスでは本名です。
「あ〜まぁなんというかあんま公表はしたくないんですが……」
「いいよ、言って!」
「見良未来です……」
満帆さんはちょっと悲しそうな表情をした。
「あ、ごめんね、辛い名前言わせちゃって」
「あ、大丈夫ですよ」
あれ?案外優しい?
あの名前より|去井慎也という名前の方が嫌だ。
「で、君ってさ彼女いるの?」
この女は何を言ってるのだろう。
「いませんよ」
「へぇ、で好きな人は?」
この女は頭をぶったレベルではないな。
「え、なんで聞いてくるんですか?」
「気になるから」
気になったからと言い、あなたに好意は1ミリも示していませんのでご安心を。
「なんで、笑ったの?」
「まあ、なんとなく」
この会話の終わり方を考えていたらつい。
「あの逆に聞きますけど、満帆さんは好きな人いるんですか?」
「言ったじゃない、好きな人は盗られたって」
好きだったは聞いていたけど、とられたは初耳です。
「あ、世に言う負けヒ……」
「負けてない!」
「え?盗られたって」
「まぁ、盗られたというより別の人に彼がいっちゃった感じかな」
それを盗られたと言うのです、現実を見てください。
「やっぱ負け……」
「去井くんが変わりの人ってバラされたい?」
「すいません…………」
圧が怖かったので、とりあえず謝った。
「ご飯一緒に食べる?」
「いや、大丈夫です」
さて、このクラスの女子に話すか。
ええと、席の名前表はここか。
うーん、去井って奴誰に話しかけていたんだろう。
この人行ってみるか!
「おはようございます〜、周藤さん」
「あ、おはよ〜、大丈夫なの?ずっと欠席したけど」
「まぁもうすっかり」
「良かったね」
よし、この方との未来を!
「キモ、別れましょ」
え?酷くない、2連続のこれはかなり響くよ?
「ど、どうしたの?」
「き、聞かないでくれ……」
「わ、分かったわ」
「去井、こっち来てくれないか?」
「…………」
なんだ、満帆さん、さっきより機嫌が悪くなってるような……
「お前、満帆と順調そうだな!」
ん?どういうことだ?
「そこでよ、頼みがある」
頼み……あ!
「はい!何を買ってくればいいでしょうか?」
「何言ってんだ?いじめられてるのか?助けてやるぞ」
え?違うのか。俺は首を横に振った。
「え、パン買うんじゃないですか?」
「買わないよ、去井始業式の時だけ挨拶したけど、おもろいな、気に入ったわ」
「あ、ありがとう」
「で、用を改めて言わせてもらう」
そういや、なんで呼ばれたか聞いてなかったな。
「用とは?」
「いやーお前満帆に好意持ち始めてそうだから」
どこからそんな情報を得た?会って1日目だよ?
「だってお前始業式そうそうデレていただろ」
それは本物の去井がな。
「結構話していただろ」
知らない、そんな設定は。
あいつ大切なこと、何も言わないから。
「まぁあいつは俺の幼馴染なんだけど」
あー好きな人ってこの男か。
似てる?
俺は少しだけ後ろを向き、手持ちの鏡を見た。
似てなくね?月とスッポンぐらいありそうだけど。
自分で言うと悲しくなる。
「いや俺満帆さんに好意持ってないし」
ほんとです。
「嘘つくなって」
いえ、ほんとうです。
「まぁ、俺も彼女作ったし、後は頑張れよ」
なんだろう、なぜか怒りが込み上げてくる。
「なぁ、あんた名前は?」
「俺か?忘れたのか?俺は酒谷俊介だ、改めてよろしくな」
そいつは手を出した。
俺はこいつとの握手を拒否した。