第10話 クリスマスに幸あれ!
クリスマス……勿論嫌いではないのだが、
カップルが多すぎて、そろそろ嫌いになりそうだ。
弟にケーキ買ってこいと言われた為来たが、
最悪だ、帰ってケーキ食べて寝よ。
「いらっしゃいませ!」
「漆黒の暗黒ケーキを1つくださ〜い」
前の人凄いな、あれたしか1番苦い奴じゃなかったか?
「ありがとうございますー」
「次の方どうぞ」
そんいや弟なんて言ったけ。チーズケーキでいいか。
「チーズケーキホールで」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
あれ、さっきの人まだいたんだ。
誘ってみたさはあるけど、やめとこう。
「あれ、去井くんじゃん」
本坂!?前言撤回、逃げよう今すぐに。
「ねえねえ、家寄ってこようよ」
え、俺1人で?
「あ、俺弟待ってるので」
「あ、じゃあ去井くん家へ!」
すまないな、弟よ。犠牲になってもらうかも……。
「ただいまー」
「お、帰ってきたか、兄よ彼女連れて」
彼女?まさか……俺は後ろを振り向いた。
本当に来た。
「じゃ、皆でクリスマスパーティしよっか!」
「いや僕はいいので、兄と楽しんでください」
しれっと別人なってやがる。お前僕なんて初めて使っただろが。
「おい、待てお前、犠牲者は2人にならないとな」
「はい?」
「でね……」
「なあ、兄よ」
「なんだ?」
「兄の彼女、あれでいいのか?」
「彼女じゃねぇし、クラスメイトだ……よ?」
本坂はこの会話なんてどうで良いのか、目の前のケーキより飲み物を大量に飲む。
「ケーキ食わない理由は?」
「まあ、あいつは花よりコーラなんだよ」
「は、はあ」
「本坂さん、そろそろケーキ食べましょうよ」
「プハー、それもそうだね」
本坂が持ってきたケーキの箱を開封した。この禍々しいオーラのケーキ。
苦い系が好きなのか?意外だな。
「あ、あ〜2人とも頑張って」
待て、逃げる弟の手を引っ張った。
地獄の空間を俺に任すんじゃない。
お前もこれから散々な目に会うかもしれない時に丁度いいだろう。
「おいひいよ、ふぁへてほらん」
食えという目線を弟に俺は向けた。
「じゃ、じゃあ、1口……」
「どうだ、味は?」
「お、おいひーい……」
あ、青ざめてやがる。
「よし、寝るか?」
「助かった」
そこまで苦いのか?
「で、本坂さん飲み物そろそろ無くりますよ?」
「大丈夫だよ、ほらまだ5本あるし」
5本ということは5分で無くなるということだ。
てか、これは本当にケーキなのだろうか。
真っ黒すぎてケーキとは思えない。
「去井くん、欲しそうにしてるね」
してないです。本当にケーキか怪しんでるだけです。
本坂はフォークをケーキに刺して、目の前に差し出してくる。
「はい、あーん」
あのフォーク使ってたよな。考えるのめんどくさいしいいか。
俺は禍々しいオーラを放つケーキを食べた。
ブラックコーヒーより苦い味であった。
「どう、美味しい?」
「あ、苦味はあるけど美味しいよ」
うん、まるで振られたような苦味が。
「苦味、そっか」
「よし、チーズケーキ食べようか、ほらコーラもつけるし」
「よし、食べよっか!」
てか弟が残したジュースまで飲むなよ……
あ、おい、それ俺の!
ほぼ本坂1人で食べるのも飲むのもしていた。
というかペットボトルの空の数50本は越してるんだが。
この地域ペットボトル25本までしか出せないんだけど……。
「本坂さん、帰らないの?」
「18時になったら帰る」
今の時間19時なんですけど。
「今19時ですよ」
「え、あ、ごめん、帰るね、荷物はこれだよね?」
「そうだよ」
俺はさようならと言い、走っていく本坂を見送った。
片付けてる最中に俺はとある事に気がついた。
ピンクの箱がない。
あれを無くすとまずい。
友達になって下さいという紙が入っているのだ。
前女子2人が来た時にも無くした時があったから、
本坂が持ち帰ったという判断はまだ早い。
20分間探した所見当たらない……
まあどこかで出てくるし、今日はもう諦めるか。
もう21時半だし、寝ようとしたらピンポンが鳴った。
誰だよ、こんな時間帯に。
「はーい、誰ですか?」
本坂が目の前にいた。
「去井くん、ごめんね、間違えて持ってきちゃったから、はい」
本坂はピンクの箱を差し出してきた。
「あ、ありがとう」
名前を書いていたから、わざわざ駅から戻ってきたのか?
「ねえ」
「何?」
「去井くんってさ、友達いなかったの?」
どストレートに言ってきた。あれ見られたのか。
「いないけど」
「………私と友達じゃなかったの?」
しょんぼりそうに言ってくる本坂。
「え、別クラスなのに?」
「別クラスとか関係ないよ、今はもう私のクラスメイトで友達でしょ」
友達とはそういうものなのか、同じクラスでしか作れないと思ってたけど。
「ね?見良くん」
「……ありがと」
後なぜ本名で呼んだのだ。最近は去井でも慣れたから良かったのに。
「照れてる?」
「そんなわけない」
「本坂さん、よろしく」
「うん、よろしく」
クリスマスは終わるけど、幸あれ!
本坂満帆日記―クリスマス
今日はクリスマスケーキを買いに行って滅多刺しの状態で食べるつもりだったんですが、△君が居ました。
△君の家に行き、クリスマスケーキを食べました。
彼はやはり優しいです。




