三話-8 勝利の余韻
咲夜が白面の消滅を確認したからだろう。直近の危険はないとは思うものの、彼なら不測の事態にも対処出来ると踏んでこちらに来たのだと思われる。
集団を引き連れた先頭にいる土御門さんが地下に掘られた空間を見ながら唸った。
「こんなところがあったとはね。俺も度々ここに足を運んではいるけど全く気付かなかったよ。我ながら情けない限りだ」
続けて入ってきた咲夜と大蓮寺家の面々。全員が自分の家から続いていたとこの空間に驚愕の表情を浮かべていた。
中でもこの空間に一番衝撃を受けたのはやはり冬香のお婆様だったみたいだ。目を見開いて辺りを見渡した後、膝から崩れ落ちてしまう。
「こ、こんな場所がこの家に……な、何という……っ」
「お母様、しっかり!」
「お義母上、気を強く持ってください!」
この場所を見て一番辛いのはやはり大蓮寺家の人たちだ。長年自分たちを苦しめてきた相手がまさか自分たちの住む場所のすぐ下にいたと思うと気持ち悪さすら感じる。
ここで逐一大蓮寺家に変化がないか見張っていたのだと考えると、白面の僕たち浄化の力を持つ退魔師をどれだけ恐れていたのかが分かると言うもの。
何せ百年ほどの時間を掛けた壮大な計画だ。これを潰されたとあっては向こうも気が気じゃないだろう。
冬香のお婆様のことは家族の人に任せて、僕は大蓮寺家の人たちの周りに水壁を作り出す。
「ここは妖気に満たされていたので不用意に僕から離れないようにして下さい。奴のいた場所なのでどんな罠があるか分かりませんから」
特にそのようなものは感じないけれど、万が一ということもある。壁という壁に浄化の水を撒き散らしつつ辺りを探索する。
そこへ、いきなり後ろから布らしきものが掛けられた。見れば土御門さんの着ていた羽織だった。男性の体格に作られているから今の僕にとってはかなり大きく、体がすっぽりと収まってしまっていて。
「えっと、ありがとうございます?」
「いや。そんな格好でいさせる方が問題だから気にしないでいいよ」
少し振り返った時に見えたのは耳を真っ赤にさせて後ろを向く彼の姿だった。
振る舞いからして女慣れしてそうな感じが見受けられたけれど、案外初心なのかもしれない。この場合は紳士的と言ってあげる方が良いか。
そんなやり取りをしていると、後ろから同じように周りを見渡していた咲夜が僕の状態を見てあまり驚いていない声をあげる。
「そんな格好? ……あらら、これは確かに酷い」
「あ、あはは……うん。結構酷いみたいだね」
白面の攻撃を最低限でしか避けなかったせいで衣服に甚大な損傷が見られた。
傷自体は既に塞がって血も止まっているものの、浄化の水は衣類までも再生することは出来ない。受けた攻撃は咲夜たちを守って防戦一方だった時よりも激しく、何なら袖の一部は千切れて丸ごと無くなってしまっているほどだ。
当然、そこから素肌が覗いてしまっている。心臓部となる正面の胴体は絶対に直撃は避けたので醜態を晒すまでには至らずとも、晒している素肌の面積から女性としてあるまじき格好をしてしまっているというのは自分でも分かった。
土御門さんはこういったことに免疫がないのか、あまりこちらを直視しないようにして何か考え込んでいるようだ。
「怪我は大丈夫なの?」
「そっちは完治済み。狭所での戦いだったから多少の被弾は覚悟してたし仕方ないよ。とはいえ、血が戻って来る訳じゃないから少し体は怠いけどね」
「……そう。あれほどの戦いだったのだものね。一先ずはお疲れ様。周囲の警戒は私がしておくからあまり気を張りつめ過ぎないようにね」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
まだやらなくてはいけないことがあるので一休みとはいかないけれど、まだ別の場所に白面が潜んでいるかもしれないと警戒するのは精神的に消耗がしすぎる。その警戒を代わってもらえるだけで幾分か楽になる気持ちだ。
慎重に前に出た咲夜は周囲にある情報を見落とさないようにゆっくりと見渡していく。
「ここは白面が分体を出す為の中継地点に使用していただけで特に罠はないみたいね。余計なことはせず、ただただ自分の存在を隠す為のもので埋め尽くされていたんじゃないかしら」
咲夜の目にはここに繋がる霊力や妖力といった力が可視化されているらしい。その彼女が辺りを見渡しながら出した結論なのでその通りなのだろう。罠はないと言うけれど、それでも自然と周囲に染みついた妖気は人体に害があるので浄化しておくに限る。
次いで、咲夜は肩を落としている冬香のお婆様に近寄った。
「恐らく過去の当主が秘密に作られた上に、ここに来た誰しもが気付かなかったんです。あまりご自分の責だと思い詰めないようにして下さい。私でさえ、奴が尻尾を出さなければ見つけることは出来ませんでしたから」
「えぇ……そうですね。ですが、一族の責任ではあります」
元が誰の責任だったのか。姉妹への劣等感を妖怪にいいように使われた女か、そんな精神的に参っている女を利用する妖怪か。あるいはどちらも悪いか、どちらも悪くないか。
僕個人としては事の発端となった一族の女が何よりも一番悪いと思っている。
いくら出来の良い姉たちと比べられたからといって、それが理由で人殺しが許容される訳ではない。ましてや浄化の力を持つ血族として妖怪と手を組むなんてことは退魔師として、人として許されざれる裏切り行為だ。
姉殺しに関してはあまりにも酷すぎる話なので今の冬香のお婆様には伝えられてはいないけれど、いずれは伝えなくてはいけないだろう。
考えてみれば、あの女の血が一部でも僕にも流れているということになる。考えただけでも悍ましい話だ。
僕からも冬香のお婆様に語りかける。
「白面についてですが、分体といえども何の条件もなしに使えるものではないようです。一部ですが浄化の力は分体を通して本体に届いた感触がありました。あれほどの浄化の力を浴びた経験はないでしょうし、本体も多分相当な痛手を負ったはずです。全てではありませんが、その責任の一端は同じ血を引く僕が清算しました。ですから、後は貴重な知識と経験を後世に伝えていくことを目標としていきましょう。本体については今は考えるべきことではないと思います」
酷なことだけれど、冬香のお婆様に自ら復讐を為せる程の力はない。
だからといってどこにいるかも分からない本体を探し出そうとしても時間の無駄なのは分かり切っている。
相手が自らやって来ない限りは僕たちと白面との関係は一旦は終了した形だ。
ずっと恨み言ばかり吐いていても仕方のないことだということは冬香のお婆様様も理解はしているはず。
肩を落とし、視線を地に向けていた冬香のお婆様様がポツリと漏らす。
「同じ血を引く」
「はい? まぁ、浄化の水が使えるということはそういうことでしょう? あえて名言はしませんでしたが、周知の事実ではありますし」
この手の特別な力というのはその血が流れていない者には決して扱うことが出来ない。例えば、陰陽術で多種多様な術を扱える土御門さんであっても真に迫ることはあっても浄化の力を完全に真似ることは不可能だ。
つまり、僕は他家に嫁いでいった大蓮寺家の娘の血を引いているから浄化の力を扱えるという訳だ。
こんなことは常識中の常識だからあえて口には出さなかっただけで分かっていると思っていたのだけれども。
「清花、貴方……」
「うん? どうかしたの?」
後ろか咲夜の声が聞こえるけれど、それを遮るように大きな声が。
「清花様、大蓮寺家に伝わる詩をご存じですか?」
下から見上げるように冬香のお婆様様の強い視線を僕を射抜く。
「い、いいえ」
「舞は?」
「知らない……です」
「祝詞は?」
「か、寡聞にして存じ上げず申し訳ございません」
僕の謝罪を聞いた冬香のお婆様は眉を顰めた。僕が血縁ということは察しは付いていたはずだけれども、これは名言をしたせいなのか。
口を滑らせてしまったかもしれないと後悔をしていると、冬香のお婆様様はやや深いため息を吐いて僕の眼前まで迫ってくる。
その勢いに僕の姿勢が後ろに逸れてしまっていた。
「大蓮寺を名乗るのならばそれくらいのことは最低限知って頂かねばなりますまい────えぇ、えぇ……確かに、嘆くよりも先にやるべきことがあったようです」
背後に炎が視えそうなほどに意思の力を漲らせているように見えた。何かやる気は出したみたいだけども、何故かその矛先が僕に向けられているのは気のせいだと思いたい。
咲夜に目をやると、呆れたように嘆息して首を横に振った。
「とりあえず、ここには特に何もないようね。今日のところは疲れていて冷静な話し合いは無理でしょうから、今後のことについては後日にまた改めて話し合いましょう。風音様、宜しいですよね?」
「私どもに異論があるはずもありません」
「そっちの貴方もそれでいいでしょう?」
問われた土御門さんが答える。
「それでいいよ。今回は流石に俺でも疲れた。散々やり合うことの危険性を説いた後に直接やり合う羽目になるとは思わなかったけど、いい経験は出来たよ。この経験を糧にした清花さんはより高みへ上ると思う。そうだろう?」
白面との戦いは僕にとっては有利なはずだけど、結果としては苦戦する部分もあった。
その反省点を省みれば、確かに彼の言う通りに僕は更に強くはなるだろう。全力で力を使うという経験もまたあまりなかったので今回の件は非常に貴重な機会だったと自分でも思う。
「改善策はもういくつか思いついてるから、後は練習と実践かな。土御門さんの方は何か得るものはあったの?」
「それはもう沢山あったさ。まぁ、その中でも一番の収穫は君との縁が出来たことかな」
「……はぁ、そうなんですか」
気障ったらしい仕草でこちらに視線を送る土御門さん。彼は美青年の類であるし、自分から見ても格好いい部類の男だと思う。性格もおちゃらけたところはあるものの、力に対する責任感もあるようだし、諸々を差し引きをしても好青年だということには違いない。
体はともかく精神が男の僕には響かないというだけで、これを受けて惚れてしまう女性がいるだろうとは感じた。
しかし、今はそんなことよりも優先すべきことがある。
「それでは大蓮寺家の方々のことはよろしくお願いしますね。今回の件で白面が浄化の力に過度な執着を見せているのは確実となったので、万が一僕たちがいない隙にということも考えられますから」
こうなる前ならまだしも、今はとなっては冬香たちの身の安全が大事だ。だからそうお願いをすると、彼はなぜか一瞬茫然と口を開けた後に我に返った。
「……勿論だ。では念の為に応援も呼んでおこう。帰り道で襲われるのは御免だからね」
そう言って端末を取り出しながら少し離れた位置で実家らしきところを通話を掛ける土御門さん。それを見て肩を震わせている咲夜と冬香に僕は近寄った。
「二人とも、どうして笑っているの?」
「いえ、何でもないわよ……ぷふっ」
「そうそう。急に笑いたくなっただけだから気にしないで……くっ、ふふっ」
何が何だか分からないと僕に二人は口元を抑えながらあらぬ方を向いてしまった。
その時、後ろから肩に手を置かれて。
「大蓮寺家の一員に御坐す清花様には色々と指導することがありそうで御座いますね。多大なる恩義があることは承知の上ですが、事教育に関しては心を鬼にする所存ですので……お覚悟を」
「ひぇ」
言い方は丁寧かつ温厚だったけれど、その身に纏う雰囲気は戦いの時のようにギラついている。
僕は祖母という存在にあまり関りがなかった人生だけれど、これがお婆ちゃんというものなのかと少しだけ恐怖を抱いた。
視界の端っこの方で冬香も恐怖しているように見えたのはきっと気のせいではない。
とにかく、今は話題を変えるしかない。
「つ、土御門さん。この度はご助力頂きまして本当にありがとうございます」
僕が逃げたのが分かっているのか、彼は苦笑しながら答える。
後ろからの気配が怖いので振り返らないでおこう。
「いや、気にしないでいいよ。契約だしね。……まさか白面と戦うことになるとは思わなかったけど」
僕だってそこは予想もしていなかったので仕方ないと割り切って欲しいところではある。
とはいえ、僕も今回の働きには結構感謝しているので何か別の報酬をと考えていると、横から肩を叩かれる。見れば咲夜が嫌らしい笑みを浮かべていた所だった。
「そうそう。契約だからね。報酬も最初に決めていなかったし、そもそも清花が文句も言わずにその集まりに出てくれる見返りなのだから、今回の件に対して何か求めたりはしないでしょう? ねぇ、天才の土御門景文さん?」
「……勿論だよ。この俺がそんなことをする訳がないだろ? ハッハッハ!」
「それは何よりだわ。ふふふっ……」
土御門さんは答えるまでに少しの間があったことは誰の目にも明らかだったけれど、わざわざ指摘する必要はないだろう。
それでもお礼くらいは言ってもバチは当たらないはずだ。
「土御門さんがいて助かったのは事実なので。だからありがとうございました」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、俺個人としては申し訳ない気持ちでいっぱいだよ」
「はい? 申し訳ないとは?」
聞けば彼は僕の方へ歩み寄って来て、僕の髪の毛を一房ほど持ち上げる。
その部分は白面の攻撃によって切れてしまっていて随分と不恰好なことになっていた。浄化の水をかければ髪質は元通りになるだろうけど、長さについては少し時間が必要になるだろう。
土御門さんは損傷部分を見て嘆くように言う。
「君を向かわせた時はこんな怪我をさせるつもりはなかったんだ。これだったら俺がもう少し本気を出して戦えば良かった。今はそう思ってる」
「戦ったのは僕の意思だし、この怪我は白面に必要以上に手の内を晒さないようにした結果だから土御門さんが気に病むことじゃないよ」
「それでも、だ。それじゃあ俺は俺を許せない」
そう言って彼は手に取った髪の毛に額に当てて祈るように目を瞑る。そして彼は至近距離で僕の目をしっかりと見て言った。
「もし次があった時は、俺が必ず何とかするって約束する」
「またあの白面と戦ってくれるの?」
否定されると思いながら聞いてみた。僕でさえ戦わなくていいのなら戦いたくない相手だ。
しかしながら、彼に怖気付いた様子は微塵も見られない。
それどころか白面という名前を聞いた時から瞳に彼の意思の強さを感じとれた。
「あぁ、もしも次があれば俺は必ず君を助けるよ」
その顔が初めに会った時とは違う、真剣なもので。
嘘を感じ取れる僕だからこそ彼の言葉が真実なのだと分かる。
「それじゃあ、お言葉に甘えて。その時はよろしくね」
下心があろうとなかろうと、彼がいれば心強いのは今回でよく分かった。
僕の方から握手を求めると土御門さんもそれに応えて手を握り合う。
それはいいんだけども。
「……で、何で二人は気持ち悪い笑みを浮かべているのさ?」
後ろの方から嫌な感じの気配を感じて振り返ってみれば何やら怪しい笑みを浮かべているのが二人ほど。
「いや、別に?」
「そうですそうです。別にこれが恋の始まりなのか、だなんてちっとも考えてなんかいないです!」
言ってる。もう全部言ってる。冬香の口が軽いのはその場の勢いというより本人の気質の問題らしい。
それよりも先ほど二人が吹き出していたのもそういった理由だったか。
「二人とも、それは悪趣味というやつだよ。土御門さんはそういう考えで言ったんじゃないんだから。ねぇ?」
「……アァ。モチロンダトモ」
どことなくカタコトになって気がしないでもないけれど、とりあえずそれは置いておくことにしよう。
もう白面の影響は完全に消え失せたし、ここに居る意味はない。
こんなに荒れた家では大蓮寺家の人たちは暫くはここには住めないだろうし、すぐにでも家を発って土御門家へ向かうことになる。
お寺の内部は白面の攻撃で破損が激しいし、必要な物の中で無事だったものを探して持って行く作業にはそれなりの時間が掛かるはずだ。
その間にまた白面が来ないとも限らないので、土御門家の応援が来るまでは気が抜けない。
長い戦闘でかなり疲れてはいるものの、まだまだ気張る必要がありそうだ。
「それじゃあ、そろそろ上に行こうか。冬香のお婆様、何かこれだけは持って行きたい物とかはありますか? お手伝いしますので」
「いえ、あそこまで戦いになられていたというのに更にはお手伝いなど、恐れ多くてお頼み出来ません。どうぞ、清花様はごゆるりと御休憩なさっていて下さい」
「忘れ物がないように完璧に準備をして貰って早くここを発って頂けないと心が落ち着けないんですよ。だから簡単なことでいいので手伝わせて下さい」
冬香のお婆様と押し問答をしながら来た道を戻って大蓮寺家内へと向かって行く。
この後は襲撃に遭うようなこともなく、無事に土御門家の応援が駆けつけてきて荷物の運び出しと大蓮寺家の人たちを回収してくれた。
車の乗る前に大蓮寺家の全員が最後まで僕に頭を下げっぱなしで、却ってこちらの方が萎縮してしまいそうだった。
土御門家の一部の人たちが検分をする為に大蓮寺家に残り、僕と咲夜は帰路につくことにした。
そうして全てがやっと終わり、僕達は大門先輩が乗って来てくれた車に乗って今は車に揺られている最中だ。
「咲夜もお疲れ様。大活躍だったね」
「一番の功労者が何を言っているの。私のやったことと言えば居場所を見抜いた程度のことでしょう」
「それがなかったら大蓮寺家の人たちがどうなっていたか分からないよ。だからお疲れ様で合ってる」
「じゃあ、お互いにお疲れ様ってことで」
差し出された拳に手の甲同士をぶつけ合わせる。
「それにしても、今回のことは流石に予想外だったね」
「そうね。でも、終わってから考えてみると必然だったとも思うのよね」
そう言って咲夜は指を折って数えていく。
まず白面によって大蓮寺家が衰退し、浄化の水の力を使えば大蓮寺家が接触してきて、僕がいたから冬香が力を取り戻し、その原因が分かったから何とかしようとしたらその原因である白面に襲われる。確かに必然と言われればそうかもしれない。
「始まりは貴方が自分だけの化装術を作った時で、転機は私が貴方を誘った時かしら」
「だね。もし咲夜が僕を連れ出してなかったらずっと隠れて活動してただろうし、そうなったら大蓮寺家の人たちとも出会わなかったと思う」
「それがこんなことになるだなんて思いもしなかったけれどね」
「……ねぇ、僕達が組んだ当初の目的は何だったか、咲夜は覚えてる?」
「逆に聞くけど、たった一年以内のことを私が忘れていると思っているの?」
「じゃあ、せーので言おうか。初心忘れるべからずって言うしね」
「そっちこそ、千洋さんとの勉強で頭から抜け出ていたりしないでしょうね」
どっちからということもなく、二人で「せーの」と言い合って。
「「一人でも多くの人を助ける」」
あの日、僕の病室を訪れた咲夜の考えに僕が乗った形だったけれど、今でも初めの思いに沿った行動は出来ているだろうか。
まだまだ先も見えないし終わりも分からないけど、少なくとも少しずつ前進していることは確かで。
僕達は車内だと言うのにこれからのことについて語り尽くして、家に帰ってからもそれは止まることはなかった。