転生
ふとどこかから声が聞こえた気がして目が覚めた。目の前は眩しくて何も見えない。
ここはどこだ……?
というかなにしてたんだっけ?
ぼんやりとした視界のなか、パニックになりそうな気持ちを抑えつつ考える。
たしか…………そう、タンクローリーに撥ねられ轢かれて爆発四散したんだっけ。
…………うん、それはない。何を言ってるんですかね俺は。
撥ねられたり轢かれたりするのは百歩譲って良しとして、爆発四散したら生きているわけがないだろう。
となると夢か? あり得る。ちょっとリアルすぎるが自分が死ぬ夢って意外と見るんだよな。
あるいは本当に轢かれたか? 無くはないだろう。自分としては信じたくないがその可能性も十分にあり得る。となるとここは病院のベッドの上か。
徐々に慣れてきた目を動かしてみるとぼんやりと人の影のような色の違いが見えた。
同時に人の声のような音が聞こえてくる。
人……親か? いやそれなバンバン叩いてくるだろう。となるとやはりここは病院で人のようなものは看護師さんか。
嫌な考えが脳をよぎり、ひやりと嫌な汗が頬を伝った、気がした。
とにもかくにも、目が見えないことには何も始まらないと考えた俺は目をパチパチとしてみた。
しばらくすると目が慣れてきてある程度周りの景色を認識できるようになった。なったのだがそこにあったのは少々信じがたいものであった。
まずここは病院じゃない。なぜならば周りに医療器具のようなものはなく、また壁や天井は中世ヨーロッパのような装飾がされている。
次に人。先ほど見えていた人影はやはり人ではあった。が、看護師ではなかった。なんなら複数人いた。誰一人としてナース服など着ておらず、軍服のようなもの、ヴィクトリアンメイドのような露出の少ないロングスカートタイプのメイド服のようなもの、あるいは魔法使いが来てそうなローブだったり。
さらに言うと皆一様に人と違う部分がある。
例えば角が生えてたり、例えば尻尾が生えてたり、例えば下半身が蜘蛛見たいだったりと明らかに人ではないのだ。
また目と同じ様に慣れてきた耳で話を聞いてみたのだが
「――起きてる?」 「――起きてるね」 「――小さくて愛らしいですわ」 「――ほんと、食べちゃいたいくらい」 「――お前が言うとシャレにならんぞ」
などなど。
食べる食べないの下りは聞き捨てならないが今はおいておく。重要なのは『小さい』というところだ。
これでも俺の身長は百七十センチメートルを少し超えるくらいはある。だというのに小さいとはどういうことなのだろうか。よもや目の前にいる人たちが巨人で五メートルを超えるとかだろうか。
そう考えてみて見ると確かに少し大きく見える。
ともかく、俺はもう一つの可能性を捨て、目の前の人たちにここはどこで、あなたたちが誰なのか聞くことにした。まず初めに挨拶をしようとして――――
「――――ぁー、あう?」
俺はもう一つの可能性を確信した。
今回いっぱい人が出ると言ったな、あれは嘘だ。いや主人公の前にはいっぱいいたけどちゃんと登場はしなかったね。
あとここまで短いのは許して。次から第一章に入る予定だからそこからは長くする予定。
あとあと、一話で回想みたいに書いたけど多分あの場面に戻んなそうだ。ごめんね