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③⑨


セレニティのためにスティーブンが会いに来ているとも思っていないが、明らかにジェシーのためではないことだけは確かだ。

両親の期待と後押しもあってか、ますますジェシーの過信は加速していく。

だからこうした過剰な行動に出てしまうだろう。

もしくは本気でスティーブンがジェシーのことを気にかけていると思い込んでいるかのどちらかだろう。


セレニティから見ると自分で自分の首を絞めているようにしか見えない。

シャリナ子爵達も唖然としながらも、スティーブンとジェシーを交互に見ている。

さすがにやりすぎだと思ったのだろうか。

スティーブンは僅かに動いた表情を戻してから咳払いをひとつ。



「今回、セレニティ嬢のためのものなんだ。ジェシー嬢、返してくれないか?」



そう言って招待状を取り戻すとセレニティに渡した。

そのスティーブンの行動にジェシーは口端を引き攣らせている。



「今回は俺の仲良い友人達だけを集めるつもりだ。少なくとも外見をとやかく言う者はいない」


「セレニティにお気遣いいただき、ありがとうございます。スティーブン様」


「ありがとうございます!しかし最近、セレニティは奇行ばかりで心配が故、ジェシーを同行させてもよろしいでしょうか?」


「……!」



どうしてもジェシーをねじ込もうとするシャリナ子爵達にスティーブンは微妙な反応を示している。


セレニティはスティーブンと過ごしていてわかったことがある。

それはジェシーや令嬢の話になると途端にテンションが下がることだ。

苦手意識があるのか、なんとも言えない表情を浮かべている。

滅多に表情を動かさないスティーブンが唯一、変化がある話題だ。

スティーブンにこれ以上、負担がないようにとセレニティは声を上げた。



「お父様、お母様、ジェシーお姉様……今回はわたくし一人で参ります」


「…………行かせないわよ?」



ゾッとするような暗い声、すぐにジェシーの制止が入ったのだと気づいた。

ジェシーはセレニティの肩を掴む。

伸びた爪が皮膚に食い込んで痛みに顔を歪めると、すぐにスティーブンがジェシーの手首を掴んだ。

ハッとしたジェシーは誤魔化すように手を離してニッコリと笑みを浮かべた。



「セ、セレニティが心配なんです!変なことをしてネルバー公爵家に失礼があってはいけませんし、来て下さった方達にも迷惑をかけてしまいます」


「……セレニティ嬢はそんなことをしないと思うが」


「セレニティはスティーブン様の前では猫を被って抑えていますが、いつもそれはおかしな行動を取って周囲を困らせていますのよ!?だからわたしが見ていないと、どうなってしまうのか……!」


「ジェシー嬢、妹のことをそんな風に悪く言うのは感心しないな」


「あっ……そんなつもりでは!」



スティーブンにマイナスイメージを与えてしまったと思ったのかジェシーは焦りからか助けを求めるように両親に視線を送った。

するとジェシーに肩入れしている両親は前に出て、彼女をフォローするように口を開いた。



「ジェシーの言っていることは本当なんですよ!階段を登り降りしてみたり、ずっと庭をかけ回ってみたりと変なんですよ!」


「そうなんです!だからジェシーの気持ちもよくわかるんです……!」



しかしスティーブンは冷静に言葉を返す。



「セレニティ嬢を馬鹿にする言葉は聞いていて気持ちのいいものではないな」



珍しく怒りを表に出したスティーブンに三人は驚いている。

そしてセレニティもこんな風にスティーブンが感情を露わにするのは珍しいと思っていた。

そしてスティーブンは「今回は小さなお茶会だからセレニティ嬢だけで来てくれ」と言って去って行った。


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