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①②①



「パトリシアにこのことを黙っていたことを知られたら引っ叩かれそうだな」


「そうなのですか?」


「彼女は何より嘘を嫌うからな。だから落ち着いた頃にこのことを話そうと思う。今はセレニティがそう言ってくれたことが嬉しい。今だけは甘えさせてくれ」



ベレットは複雑そうな表情を浮かべている。

しかしパトリシアの近くにいて彼女を理解しているからこそベレットの判断は正しいと思った。



「わたくしはパトリシア様を支えられたことを誇りに思っております。なのでそんな顔をなさらないでくださいませ」


「……ありがとう」


「いえいえ、わたくしの体調管理が悪いせいですわ。それよりもそろそろパトリシア様の元に顔を出さないと怪しまれてしまいますわね」


「ああ……パトリシアは毎日、セレニティの話をしている。体調がよくなったら是非、顔を見せてやってくれ」


「わかりましたわ!わざわざご足労いただきありがとうございました」



ベレットは嬉しそうに笑った後に、白百合騎士団の団員から届いた手紙を渡してくれた。

特にエリーから届いた手紙は涙で文字が滲みすぎて、紙が貼り付いており、何が書いてあるかさっぱりだった。

しかしエリーの気持ちは十分に伝わった。


(ふふっ、エリーらしいわね。早く返事を書かないと。心配しているかしら)


セレニティはマルクやソフィーからの手紙を受け取ってベレットに御礼を言う。

ベレットはおかわりのチーズリゾットとスティーブンの食事を持ったワゴンを引いているマリアナとすれ違いで部屋から出て行く。

深々と頭を下げていたマリアナはスティーブンの分の食事とセレニティにリゾットを渡す。

そして今度はデザートを取りに行くらしく、セレニティとスティーブンは久しぶりに二人きりの時間を楽しんでいた。



「はぁ……ご飯がとっても美味しいですわ」


「そうだな」


「チーズがとろけます。やはり温かいリゾットは最高ですわね」


「セレニティの顔を見ながら食べる食事は一番美味しい気がする」



スティーブンの優しい笑みにセレニティの心もお腹も満たされていく。

それからスティーブンに助けてもらったこととカップケーキをもらったことを思い出したセレニティはお礼をと口を開く。



「スティーブン様、カップケーキとても美味しかったですわ!」


「ああ、手配してもらったんだが無事に届いてよかった。食べすぎでマリアナに怒られなかったか?」


「怒られましたわ!ですが悔いはありません」


「ははっ、そうか」


「出会った頃もスティーブン様と一緒に食べましたものね」


「ああ……懐かしいな」



あの頃のスティーブンを思い出しながら懐かしさに浸っていたが、スティーブンに助けてもらったことを思い出して口を開く。



「わたくしが倒れた後、スティーブン様がここまで運んでくださったのですよね?」


「……!」



するとスティーブンの表情が曇る。

不思議に思っていると、扉が叩く音が聞こえてセレニティはマリアナかと思い声をかけた。



「フルーツはあった?急だから申し訳なかったかしら……」



先ほどマリアナにパンケーキを頼んだが「消化に悪いからまた今度です」と、却下されてしまったのだ。

セレニティがしゅんとしていると、フルーツならいいと言われたためフルーツのデザートを食べるのを楽しみにしていた。

なんせお腹が空いているが、マリアナはしっかりと体調を管理しようとしてくれるのでセレニティも我儘は言えない。


扉を開くと明らかにマリアナではない影があった。

セレニティは部屋の中に入ってきた人物を見て目を見開いた。



「クリーク伯爵!?」



セレニティが名前を呼ぶと、クリーク伯爵は手元をじっと見つめた後に再びセレニティを見て、少し考える素振りを見せた。



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