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①①③


それから手紙を畳んで封筒に入れたパトリシアは涙を拭うと、何かを言いたげにモジモジとセレニティを見つめているパトリシアを見てセレニティはにっこと笑う。



「返信はわたくしがベレット殿下へ届けます。ベレット殿下に話は通してありますから」


「ウフフ、セレニティにはなんでもお見通しね。ありがとう」


「もしお急ぎでしたらわたくしが今から……」


「いいのよ。わたくしが言うのもなんだけど、セレニティは今すぐに休んだ方がいいわ」


「そうです!私もそう思いますっ!」


「パトリシア様、エリー……」



後ろに控えていたエリーが声を上げる。

エリーは瞳を潤ませながらこちらを見つめている。

セレニティは頷いてその言葉に甘えることにした。

正直に言うと三日分の疲れが溜まっており、今すぐにベッドで眠りたい。

パトリシアが手紙を書いている間に眠ってしまいそうである。

そうでなければ明日の護衛に差し障りそうだと思ったからだ。



「ではまた明日、届けますね」


「えぇ、お願い。それまでには返事を書いておくわ」



手紙を受け取る前、不安そうで顔色が悪かったパトリシアは今はベレットからの手紙を抱きしめてとても嬉しそうにしている。

セレニティはパトリシアの部屋を出て、城に借りている自室へと急いだ。

マリアナと一言二言交わしてベッドに倒れ込んだところまでは覚えていたのだが、その先の記憶は一切ない。


目を開くと先ほどまでは朝だったはずなのに、もうすっかりと暗くなっている。


(どのくらい寝ていたのかしら。喉が乾いたわ……)


セレニティは痛む体を起こしてサイドテーブルにあるランプをつける。

するとそこにはいつものようにマリアナのメモがあった。

食事の説明と入浴の際はベルを鳴らして欲しいと書かれていた。

セレニティと一緒に城に来て身の回りの世話をしてくれているマリアナには感謝しかない。

護衛に入ってしまえばほとんど会うこともなく顔を合わせるのも少しの間だけだ。

パトリシアが寝ている時は少し離れて休息を取ってはいるが、眠りが浅いパトリシアは敏感に反応してしまうため、セレニティができる限りのことはしていた。

しかし疲労感は拭えない。


(はぁ……甘いものが食べたいわ)


学園もどうなっているだろうか。

セレニティがそんなことを考えているとローテーブルに置いてある可愛らしい箱に気づく。


(誰かが用意してくれたのかしら。もしかしてパトリシア様が?)


パトリシアはセレニティを気遣い、この二カ月でさまざまなものをプレゼントしてくれたことを思い出す。

それは城での生活で役立つものであったり、可愛らしい小物など様々なものだ。


セレニティはランプを持ってソファに腰掛ける。

ゆっくりと

箱の蓋をを持つ。

箱を開けて中身見てみるとそこには可愛らしいカップケーキがあった。

このカップケーキは見覚えのあるものだ。



「これって……!」



持っている箱のフタからハラリとカードが落ちる。

セレニティが蓋をテーブルに置いて落ちたカードを拾うとそこにはスティーブンからのメッセージが書きこまれていた。


セレニティへ

あまり無理をしすぎないように。

スティーブン


スティーブンの直筆のメモは短いけれど、なんだかとても温かい気持ちになる。


パトリシアが心配なベレットの代わりに、今はナイジェルがブレンダと共に隣国に行ったりしながらベレットをサポートしている。

二人の護衛としてスティーブンも一緒に行動しているため、この一ヶ月ほどはまったく顔を合わせていない。


セレニティは笑みを浮かべながらカードを見ていた。

先ほど、ベレットから手紙を受け取って喜んでいたパトリシアの気持ちがわかるような気がした。

セレニティがおもむろにカードを裏返してみると、右下には『君に会いたい』と書かれていた。

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