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①①②



「セレニティ嬢、先ほどは申し訳ございません。私の責任です」


「クラーク伯爵、ごきげんよう。わたくしのお顔を覚えてくださっていない方もいらっしゃるようなので近々、紹介していただけると嬉しいのですが……」



ベレットの元に手紙を届けにいく度に絡まれては堪らない。

セレニティのことが伝わっていれば邪険にされることもなく、ベレットの元に行くのもスムーズに対応できるだろう。



「今回はこちらの不手際で迷惑をかけてしまいました。二度とこのようなことが起こらないように、すぐにでも時間を作ります」


「ありがとうございます。ではパトリシア様にすぐに手紙を届けたいので失礼いたします」


「……」



セレニティはクラーク伯爵に軽く頭を下げてから部屋の外へ向かった。


(……パトリシア様、喜んでくださるかしら!)


最近、顔も合わせておらずゆっくりと会話をしている様子もない。

言伝はたまにあるようだがベレットは忙しく城を空けることも多い。

この方法は顔は見えないが気持ちは伝わるだろう。

それに手元に残ることで、気分がいい時にいつでも読み返すことができる。

実際にセレニティは何かあるとトリシャやハーモニーの手紙を読み返しては元気をもらっていた。


長い長い廊下を歩いていき、パトリシアの部屋の前へ。

エリーがセレニティに気づいて驚いている。



「セ、セレニティ隊長、どうされたのですか!?」


「エリー、おつかれさま」



隊長と呼ばれると恥ずかしい反面、身が引き締まる思いがした。

エリーは泣き虫で気が弱いが優しく芯が強い男爵家の次女だ。

「弱い自分を変えたい」と白百合騎士団に志願してきて、鍛錬も真面目に頑張っている。

しかし男爵領は王都から遠いことと、あまり裕福ではないことに加えて兄弟が九人もいるため家の手伝いもある。

あまり王都には来られないのだが、今回は護衛の給金も弾むということで三日に一度は無理を言ってきてもらっている。



「セレニティ隊長は三日もの間、ほとんど朝から晩まで動きっぱなしなのですよ!?休みませんとお体が……」


「大丈夫よ。ハーモニー隊長に鍛えてもらって体力には自信があるのよ?」


「で、ですが心配です!私がもっとお役に立てたのならよかったのに……っ」


「わたくしはエリーのおかげでこうして休みをもらえて助かっているわ。お医者様によればあと一カ月ほどでパトリシア様の体調も安定して症状も落ち着くと言っていたわ」


「……セレニティさまぁ」



エリーの頭を撫でながら、セレニティもよくハーモニーにこうしてもらったことを思い出していた。


(エリーは本当に可愛らしいわ。ハーモニー隊長もこんな気持ちだったのかしら)


エリーは涙を浮かべて鼻を啜っていたため、泣き止むのを待ってからセレニティはパトリシアの部屋へと入る。



「セレニティ……?今日は休みではなかったかしら」


「はい。ですが、パトリシア様にこちらをお届けしたくて」


「あら、何かしら」



セレニティは真っ白な封筒をパトリシアへ渡す。

パトリシアは不思議そうにセレニティを見ていたが、封筒を開けて手紙を開いた瞬間に目を見開いた。



「セレニティ、これは……!」


「ベレット殿下からですわ」


「……っ」



パトリシアの視線がセレニティから手紙に戻る。

ゆっくりと紙を開くと次第に持つ手が震え始める。

次第に目には涙が溜まっていきハラハラと頬に伝っていく。

セレニティはベレットが書いた内容は知らないが、口元を押さえて嬉しそうに涙を流すパトリシアを見ていると、ベレットはパトリシアのためを思い、気持ちを認めてくれたのだろう。



「セレニティ、ほんとにっ……ありがとう」


「いえ、パトリシア様の笑顔が見られて嬉しいですわ」


「えぇ、とても気持ちが上向きになったわ。早くベレットに会いたい」


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