表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/158

①⓪⑧


セレニティは学園に行きつつも白百合騎士団の団長としても活動していた。

今はセレニティ含めて四人しか団員がいない。

男嫌いのトリシャがいなくなり、白百合騎士団の仕事は激減するかと思いきや意外にも忙しい。


ネルバー公爵に頼まれて警護を担当することもあれば、他国の未婚の王族の護衛。

男性ではできない女性ならではの依頼も多く、他国に感心されることもあるのだとか。


ハーモニーの時もそうだったらしいのだが、護衛しているのが少女だということで油断する者が多々いるそうだ。

油断してかかってくる敵を見事に返り討ちにしていた。

小柄で背も低いセレニティは弱々しく見えるのだろう。


しかしソフィー直伝のレイピアで撃退した時は皆に褒められて嬉しかったことを覚えている。

剣で男性の騎士たちに勝てなかったセレニティだが、レイピアを使った戦い方で打ち倒せることも増えてきた。

もちろん戦えるようになったからといって、未だにスティーブンには勝てはしないが。

ソフィーもマルクだけにはいつも勝てなかったと悔しそうに言った。

マルクは意地でも負けたくなかったのだと困ったように笑いながら語る。


あっという間に学園に通い始めて三ヶ月が経とうとしていた。

そんなある日のこと、雨の中マルクの邸にこの国の王太子であるベレットが切羽詰まった様子で訪ねてきた。

背後には護衛が待機しているのだが、セレニティを値踏みするように見ている。


しかしセレニティの背後に立ち肩に手を添えるマルクとソフィーを見て、すぐに萎縮してしまった。

ベレットは寝不足なのか目の下には深い隈が刻まれている。


話を聞いてみると王太子妃であるパトリシアが月のものがこなくなり数ヶ月、ひどい悪阻に悩まされていることだった。

護衛がいない状態でパトリシアは公務に出かけることもできない。

ただでさえ食べ物を受け付けないのに、護衛に囲まれたり、心配したベレットや国王がそばにいるだけで吐いてしまう。

そのため、ほとんど栄養が取れずに危ない状態らしい。



「スティーブンやナイジェルにはセレニティは学園に通うのをそれはそれは楽しみにしていると聞いていた……申し訳ないがセレニティ、この通りだ!」


「ベレット殿下、落ち着いてください!あ、頭は上げてくださいっ」


「白百合騎士団にしか頼めないんだ!」


「わかりましたので頭を上げてくださいませ!」



ベレットはセレニティの前でテーブルに額を擦り付けるほどに頭を下げている。

いつもは冷静沈着なベレットもパトリシアの身を案じて気が気でないのだろう。

パトリシアとお腹の子が心配で居ても立っても居られない。

けれどパトリシアのそばにもいけないというもどかしい状況に


ベレットに直接頼まれたセレニティは責任重大なこの仕事を請け負うことを決めた。

悪阻が落ち着くまではセレニティがパトリシアの護衛を担当することになる。

他の白百合騎士団員はセレニティよりも年下なこともあり、実践経験も少なくてまだまだ剣術も未熟。

今から鍛えていこうという時にこの案件が入ったのだ。


実際、動けるのは四人中、セレニティと一人だけだ。

先輩たちに頼りたい気持ちはあるが、新しい生活で手一杯なのは皆が同じ状態である。


(キャサリン様のことは気になるけれど、学園のことは一旦忘れてパトリシア様の護衛に集中いたしましょう!)


セレニティは懐妊したパトリシアの護衛でマルクの邸に帰る時間がないほど忙しい日々を送ることになる。

もちろん学園に行く時間もない。

パトリシアが悪阻で男性騎士が近づくと吐いてしまうため、世話をする侍女たちはいいとしても護衛となれば白百合騎士団に頼らねばならない。


セレニティは学園に通って一ヶ月で騎士団の仕事で学園には行けてない状態が続く。

たまに白百合騎士団のエリーに交代してもらいながら、セレニティは城で寝泊まりしている生活が続いていた。

夜も扉の外でパトリシアの警備をしたり、式典に顔を出す時もつきっきりで彼女を支えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ