表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/158

①⓪⑦

キャサリンの表情は令息たちの前で浮かべていた可愛らしく愛嬌のあるものに戻る。

今まで接点のなかったセレニティとキャサリン会話に興味があるのか、令嬢たちが遠くからこちらの様子を窺うために集まっているのが見えた。


しかしセレニティはキャサリンに対して一つだけ気になることがあった。



「あの、キャサリン様」


「なにかしら……?」



苛立った様子で振り返るキャサリンにセレニティは問いかけた。



「大丈夫ですか?」


「……ッ!?」

 


その言葉にキャサリンは思いきり目を見張る。

綺麗な青い瞳がセレニティを映し出していた。

しかしキャサリンは「……ごきげんよう」と言って背を向けて去っていく。

すると建物に隠れていた令嬢たちは、すぐにセレニティの周りに集まってくる。



「セレニティ様、あの子と何を話されていたのですか?」


「大したことではありませんわ。聞いてみたいことがあったので……」



セレニティがそう言ったとしても、令嬢たちの気持ちは収まらないようだ。



「もしかして……あの悪女、今度はスティーブン様を狙っているのではなくて?」


「え……?」


「でなければ、悪女がセレニティ様をこんなところに呼び出すはずないもの!」



先ほどから令嬢たちが顔を歪めて悪女と罵っているのは、間違いなくキャサリンのことではないだろうか。



「悪女……?キャサリン様がですか?」



セレニティがそう問いかけたことをきとかけに、令嬢たちはキャサリンが悪女と呼ばれている理由について教えてくれた。



「手当たり次第、令息たちと仲を深めようとするなんて、はしたないったらないわ!」


「本当よ……!婚約者がいない令息なのはいいけど媚を売ってちやほやされたいだけでしょう?」



どうやらキャサリンが常に令息たちに囲まれていることで令嬢たちの反感を買っているらしい。



「クラスの令嬢たちから嫌われ者ですわ。令嬢には冷たい態度をとるのよ!」



確かにキャサリンのセレニティへの態度は令息たちの前とは真逆だったように思う。

そのことが令嬢たちに火に油を注ぐような形になっているのだろう。



「たしか娼婦の娘でビルード侯爵に売られたんでしょう?」


「はしたない行動は母親譲りかしら。セレニティ様も気をつけてくださいませ」



キャサリンは元平民で娼婦の母とビルード侯爵家に生まれたことはもう知られているようだ。


(キャサリン様が目立つ行動を取っているせいかしら。誰かが調べたり聞いたりしたのかもしれないわ)


小説の中ではこんな風にキャサリンの境遇が大々的に広がることはなかった。

しかし今回はキャサリンの行動によって周囲の関心をかなり多く集めてしまっている。


(お金持ちになりたいと言っていたから、学園で結婚相手を探しているのね)


小説のキャサリンよりもずっと可愛らしくて男性が好きそうな格好をしていると思っていたが、それも結婚相手を探すための行動かもしれない。

『邪魔をしないでもらえる?』

『私は学園からが本番なんだから』

キャサリンは随分と必死だったように思う。

それは今の環境から抜け出したいからではと思ったが、キャサリンに近づくことを先ほど禁止されたばかりだ。


(わたくしがキャサリン様の力になれたらいいのだけれど……)


そう思ってはいたがキャサリンと関わることは彼女の邪魔になってしまうため、セレニティは踏み込めないまま学園生活を送る。


トリシャとハーモニーにも隙をみて手紙を送っていた。

セレニティへの手紙には近況やリュシアンとの関係が少しずつではあるが縮まっていく様子が書かれていた。

異国の生活は苦労の連続だが、ハーモニーや白百合騎士団のメンバーが数人いてくれるから心強いそうだ。

がんばっている二人を見ているとセレニティもやる気に溢れていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ