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①⓪②


セレニティは体を起こしてから伸びをした。

タイミングよくマリアナが扉をノックする音が聞こえた。

返事をすると「おはようございます」という声と共にマリアナがワゴンを引いて部屋の中に入る。

いつもの紅茶の香りが部屋いっぱいに広がった。

ベッドから降りてカーテンを開くと外はまだ薄暗い。

窓を開けると冷たい風が吹き込んでくる。

セレニティは思いきり息を吸い込んでから吐き出した。


(今日、またわたくしの夢が一つ叶うのですわ……!)


セレニティの胸は期待感でいっぱいだった。

スティーブンからもらったネックレスは毎日、セレニティの胸元で輝いている。

いつも通り作業着に着替えてから畑に向かい、野菜の世話をしてからマルクとソフィーと朝食を食べていた。



「なんだか嬉しそうね、セレニティ」


「今日から学園に通えるんですもの!わたくし楽しみで眠れませんでしたわ」


「学園に行くのが楽しみだなんてセレニティらしいな」


「はい!今日という日を心待ちにしていましたもの」



スティーブンやブレンダが通った学園にセレニティも今日から通うことになる。

朝食を食べ終えたセレニティは自室に戻って、真新しい制服に袖を通す。

数ヶ月前から制服を飾って眺めながら学園に通える日を指折り数えて待っていた。

ダークブルーの生地に金色のラインが襟やスカートを飾る。

リボンは赤でブラウスの胸元はフリルが可愛らしいデザイン

部屋の全身鏡では夢にまで見た制服姿のセレニティが映っていた。



「マリアナ……ついに制服を着ていますわ!」


「着ていますね」


「わたくし、今から学園に通うのですよね!?」


「そうですね」


「本当に、本当に通ってもいいのですよね!?」


「もちろんです」


「まぁ……!制服を着て学園に通えるだなんて夢みたいだわ」



制服を着て鏡を見てはくるくると回る作業をどのくらい続けていただろうか。

マリアナはまた始まったと言いたげに額を押さえた。

ため息が出続けても今はお構いなしである。


夢にまで見たような出来事が本当に現実になるなんて信じられない気分である。

ベッドの上で話を聞くだけではなく、自分の足で通えることに今から楽しみでたまらない。

何度も鏡に映る姿に感動しては、マリアナに確認をするように声を掛ける。


(こうして皆様方と同じように学園に通える日がくるなんて……)


制服が届いた時から止まらないセレニティの喜び。


(ご友人と勉学についてお話をしたり、ご一緒にランチをしたり、放課後にお茶をして婚約者のことを話したりするかしら!)


そう想像を膨らませてはドキドキが止まらない。

令嬢たちとはパーティーやお茶会ではまた違う関わり方になるだろう。

学園では基本的に身分関係なく接することになる。


それにセレニティを階段から突き落としたメリー・ペネロの一件から、同じ年の令嬢から距離を置かれつつあるのは気のせいではないはずだ。

加えてセレニティの周りは常に王女トリシャ、第二王子ナイジェル、公爵令嬢ブレンダ、公爵令嬢でもあり白百合騎士団団長ハーモニー、そして婚約者で次期騎士団長でもあるスティーブンがいた。

ネルバー公爵や夫人、アーナイツ国王や王妃などにもよくしてもらい、身に余る光栄さにセレニティ自身も驚きはある。


パーティーで困らないくらいにおしゃべりできる友人はいても、ブレンダやトリシャのように頻繁に会ってお茶をしながら本音で話せる友人はまだいない。


(わたくし、学園では頑張ってお友達を作らなくては……!)


学園は王都から離れた場所にあり、マイクの邸からは通いやすい位置にある。

馬車の用意ができたとマリアナから報告を受けて、セレニティは艶々の濃い茶色のカバンを持って立ち上がる。

マルクとソフィーと談笑しつつ玄関へ。


いってきますと言おうとしてセレニティが振り返るとマリアナは布を持ち涙ぐんでいるではないか。

セレニティはもらい泣きしてしまいそうになるのを堪えながらも笑顔を浮かべてマリアナを抱きしめてから足を進めた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] だなんて夢みたいでわ だわ、かなと。 でわ、にするなら夢のようだわ、では?
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