次に魔神はホットドックを世界に広める。
街の中を粗末な服を着た少年少女が走って行く・・・午前中に子供を働かされる事は法律で禁止されている。
本当は子供の就職などゼロにしたいが流石に今は無理、しかし近い内に法で規制する事を検討し授業料はタダなのだから学校に行かせて少なくとも国語と算数位は習得させて欲しい。
目指せ就学率100%・文盲率0%は神の意志・・・ただし言ってるのは巷で❝邪神❞とか❝エロ神❞とも呼ばれてる❝魔神タカミザワ❞なのだが、ちなみに最後のエロ神と言われる様に成ったのは間違いなくリディアの奴がボクに「Hなオシオキをされる」なんて言いふらしてるからだ!
帰ったら・・・❝Hなお仕置きパート3❞に処する事は決定だ!
「そんな・・・足の裏コチョコチョの刑は絶対イヤ、許して下さい!」
リディアが涙目に成るけど許して上げない。
「おじさんチリドック3本!」
「オイオイ、お前達チリドックで大丈夫か?」
そう言いながらチリミートソースをホットドックに挟むスタンドの店主、
「この辛いのがタマラナイんだもん!」
子供達は楽しそうに笑いながらホットドックの包を抱えて走り去った。
「おじさん、ボクもゴッドスペシャルを2本・・・いや7本だ」
「これは我が神よ・・・お買い上げアリガトウ御座います」
路地の向こうでコソコソしてる5人の気配を感じて言い直す。
「マイト様、私は・・・」
「拒否は許さんぞ」
そう言うと公園のベンチに座り、隠れてリディアを警護してたメアリを呼んだ。
「こ・・・これは!」
「私達に食べろと・・・酷過ぎます!」
一人一本づつ手渡された湯気を上げるホットドック、
「イヤなら無理にとは言わない・・・誘惑に勝てるならな!」
リディアを含む6人が固まってる。
が・・・
「冷えるとチーズが固まって美味しく無く成るんだ。これは熱い内に食べないとな・・・・・」
そう言って包み紙を開けるた。
限界までチーズを溶かし込んだ特製ペシャメルソース、これはチリビーンズとの相性抜群だ・・・しかも30センチ近くある極太ソーセージが申し訳程度に、小さなバケットであるプティパンと言うには少々大きいがソレに挟まれている。
パン生地を平打ちパスタに変えれば、その侭ラザニア・・・不味い筈が絶対に無いと言い切れる!
ところでプティパンは小さなバケットで所謂フランスパンと言われる奴が小さく成った物、美味しいが少々固くてホットドックには向かなかった。
近い内にバンズ(ハンバーガーやホットドックに使われるパン)かコッペパンを開発しなくてはとタカミザワは思った・・・だが今の所は、このホットドックに齧り付く!
「う・・・旨い!」
先ずは純粋にソーセージの味だけを楽しみ、次にチリミートとペシャメル二つのソースのマリアージュを楽しむ!
その横では6人が涎を垂らしそうに成りながらコッチを見てる。
『大口開けるのより涎垂らす方が恥ずかしいだろ?』
と思いながら動けない彼女等を見ながら食事を続ける。
だが6人が固まってるのは大口を開ける事が嫌なのでは無く、ソーセージに齧りつく事が問題なのだ!
その行為は正直言ってピーッ!を口でピーッ!する事を連想させ、特に貴族階級の若い女の子には恥ずかしくてハードルが高い行為だ!
同じ理由でバナナも皮を剥いて齧り付く事はしない、キチンと皿に乗せてナイフとフォークで切って食べる。
しかも皮も手を使わず器用にナイフとフォークで剥く・・・いくら何でも面倒臭いだろ!?
「良いのか冷えても?」
すると明らかに貴族の親子三人が、両親と娘か?タカミザワの向かいのベンチに座ってホットドックを齧り始める!
若い貴族や新興貴族は新しい文化を許容する事に大らかなのだ!
「私・・・我慢出来ません!」
そう言ってリディアが包み紙を破り、スペシャルなホットドックにガブリと噛み付いた!
そして美味しそうな顔で咀嚼するのを見てメアリ達も続く・・・・・
「こんなに美味しいモノが有るなんて・・・でも本当に元からこう言う物なんですか?私に恥ずかしがらせ様と、本来と形や食べ方を変えたりしてませんか?・・・・・あれっ、マイト様?如何か為さいましたか?」
タカミザワが少々前屈みに成っている・・・あまりにも勢い良くガブリと食べるリディアに、タカミザワの方がアレを連想して恐怖を覚えて仕舞ったのだ!
「意地悪が過ぎるからですよ・・・今日はボスの負けですね」
「五月蝿いっ、次はハンバーガーだ!」
荷物持ちに連れて来た召喚獣 人間に偽装したスケルトンが言い、タカミザワ・マイトが怒鳴り返した。
今日もオルブライトは平和である。