夏の日
窓の外で蝉が喧しく鳴いている。
開けっ放しの窓からは生暖かい風しか入って来ないため、この部屋の温度が下がる気配は無い。
床には大量のクシャクシャに丸めた紙が幾つも放り出されている
全て俺の作った作品だ。
ココ最近何を書いても良いものが出来ない
俺は少し冷たい物でも買いに行こうと家を出た。
近くのコンビニへ行きアイスとビールを買い外に出た。
涼しい店内から一変して溶けてしまいそうな暑さだ
このまま俺も溶けちまえたら楽なのにな
そんなことを思いながら家へ向かう
途中のバス停で白い服の女を見かけた
こんなに暑い日なのに長袖を来ている
暑くないのか?等思いながら前を横切ろうとした時長袖が透け下に隠されている物が見えた
刺青だ。それも少しでは無い。両の腕を覆い尽くす程の和彫りが見えた
まるで中学生男子が考えそうな清楚な雰囲気の女の腕に似つかわしくない刺青。
俺は急いで家に帰った
既にアイスは溶け、ビールは温くなっていたが関係ない
急いで筆を取りあの女を この経験を文にしていく
なぜ刺青を入れたのかそんなことを勝手に考え筆を進める
原稿用紙が埋まった時俺は我に返った
何をしているんだとボヤきながらゴミ箱へそれを捨てた
窓の外では大きな花火が上がっている
何が描きたいのだろうか