異世界転移(逆)
「中野っち!純也!香奈!」
俺は大声で叫んでみんなを呼んだ
「持ってきたぜ!今回は主人公がモンスターに転生する小説だ!」
「転生かー、俺は今の俺のままいてたいから転生より転移の方がなー」
「大地は自分の事好き過ぎるだろ」
「純也君笑い過ぎだよー」
「そうだそうだ!じゃあ純也ちんが転生でスライムとか、ゾンビとかになったらどうすんだよ!」
「そうなったら勇者を全力で倒すかなー!」
公園で4人の笑い声が響き渡る、うん、やっぱこの4人だよなぁ
「香奈ちゃんはモンスターなら何に転生したいんだ?」
お、ナイス質問だ純也!俺の予想はオオカミ系のモンスターかな
「えー?私?」
んーと声を出しながら考えている、流石俺達のアイドル考え方も可愛いな
「えっと、ゴブリンとか、鬼かな!」
...え?まさか、まさかすぎる!!
「香奈ちん...」
「香奈ちゃん...」
「えー?おかしいかなー?」
お、俺はいいと思うよ!
「だよねだよね!?亮介君わかってるー!」
「あ、亮ちん!」
「ずるい!ずる過ぎるよ亮介!」
そんな話をしてバカ騒ぎをしていたあの頃が、とても懐かしく、楽しい時間だった。
異世界
ー
ーー
ーーー
「まずい事になっちゃった...!」
「誰だよー勝手に異世界の門開けたのー!!」
「開け方私しか知らないはずなのに!!」
「異世界に行ったのは...モンスター!!?」
「まずいってまずいってー!!世界のバランスがおかしくなっちゃうよ!!」
「うー...でも女神の私に戦える能力は無いし」
(こっちの世界の人を送るにはリスクが多過ぎて下手したら死んじゃうし...)
(異世界の人に力を与えて...でも世界のバランスが...)
(ん?モンスターが異世界に行った時点でもうバランスもクソもなくね?)
「...」
「行かないと!異世界に!!」
「世界のバランスを守ってもらわないと!!!」
ーーー
ーー
ー
ー10年後ー
「ん...?」
...朝か
なんだか懐かしい夢を見た気がするな
起きたと同時にインターホンが鳴った
『亮介ー朝だよー!起きてるー?』
ん?香奈が来てるということは...?
「やべ!寝坊じゃん!!」
「香奈ごめん!先行っててくれ!!」
『もー!これでも結構ギリギリなんだからね!』
くそ!懐かしい夢を見るぐらい爆睡してたのかよ!?
「急げぇぇ!!!!!」
学校まで20分!間に合う!間に合うぞぉぉぉ!!
全力で走ってたら後ろから聞いたことがある声が聞こえる
「だぁぁぁ!やべぇ!!遅刻するぅぅ!!」
「おっす純也!お前も寝坊か?」
「おぉ!亮介!そうでないと全力で走ってねぇよ!」
だよなぁ と言いながらあははと笑っていた
....
「「って笑ってる場合じゃねぇぇぇぇ!!」」
なんでこんなに急いでるだって?生徒指導の芝先生が学校一、いや日本一遅刻者に厳しいのである。みんなは芝先と略して言っている。
遅刻以外なら優しいのだが、何故遅刻だけあんなに厳しいんだよ...
「亮介!芝先が!芝先がぁぁぁ!!」
もう校門にいる...だと...!?
「伊地知に山下ぁ堂々遅刻するとはいい度胸してるじゃねぇか!!」
「先生なんでだよ!?まだセーフのはずだ!!」
そうだまだ2分、いや3分余ってたはず!
「そうだないつも通りなら遅刻じゃなかったな」
「「え?」」
「今日は夏休み前の終業式だろ?昨日話...聞いてたか...?」
「「...」」
やっべぇぇ!!忘れてたぁぁぁ!!香奈のやつだからギリギリって言ってたのかよ!!
何か言い訳を...
「....すみませんでしたっっ!!」
純也!?お前速攻諦めやがったなぁぁぁ!!!
「山下ぁすぐ謝れるのは偉いなぁお前は免除にしてやる」
え!?嘘でしょ?許してくれるの!?
「次からは絶対にしません!芝先生の目の前で誓いますぅ!!」
「山下ぁ行ってよし!」
純也は元気な声上げ、ダッシュで教室に向かう
この裏切り者がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
「さてと..」
このさてとには物凄い圧が...圧がぁぁぁぁ!!
「言い訳を考えようとしてたなぁぁ伊地知ぃぃ!」
「ごめんなさぁぁぁぁぁいぃぃぃ!!」
俺の声が学校中に響いた気がした
罰は芝先の隣で反省文を書く事だった、まじで怖かったよ。見張り時の目、あれは人を殺してるよ!!当分悪夢で出るなこれ...
『あはは!それは大変だったね』
電話越しに香奈は今日の出来事を聞いて笑っていた
「笑い事じゃねぇよ...あの時なんで言ってくれなかったんだよ」
『普通は聞いてるでしょ』
完全に聞いてなかったです
『明日は寝坊しちゃダメなんでしょ?』
「明日は大丈夫だよ!純也と中野っちで遊びに行くからな!」
「夏休み初日から遊びまくるよ!!」
『はぁ...去年みたいに宿題忘れないようにね...』
「じゃあまたな!」
『はーい!』
電話を切り明日の準備をする
さぁ楽しい夏休みの始まりだ!!
ーーー
ーー
ー
『芝さん』
「おぅどうだ?」
『今回ゴブリン型が2体に新たに骨の魔獣、漫画・ゲーム的に言えばスケルトン型が1体です』
「新型か...ゴブリン型は通常通り銃で対応、スケルトン型は鈍器系統で対応だ!」
『了解!』
「...ふぅ、新型がどんどん増えてきてやがるな」
「武器のバリエーションをもっと増やさないといけませんね」
「開発の方急いでくれ」
「はっ!」
「芝君、新型が出たんだってね...」
「どうも貴志総理大臣、今回で6種類目の魔獣です」
「最初に魔獣が出てからもう2年が経とうとしている。そろそろ国民には隠し切れなくなってくる...すまない」
「いえ、2年間隠せ通せただけでも十分かと」
「【魔獣殲滅機関GAMES】を作り対応を任せきりにしてしまって、君は特に教師の仕事もしているというのに」
「生徒を守る...【GAMES】に入ってないと出来ない事も有りますからね」
「人数は着々と増えてきている、主に開発班だがな...政府も最大限のバックアップしよう」
「ありがとうございます、総理」
(しかし、戦闘員が一番少ないのが難点だな...)
(魔獣と戦えるヤツが少な過ぎる)
(後、近接武器系だとコストパフォーマンスが悪過ぎる)
(1本で3体魔獣を倒せるかどうか、それだけ魔獣の強さも上がってきている)
(政府の支援があったとしてもいずれ...)
「人を守る仕事ほど大変なことはない...か...」
ーーー
ーー
ー
「あっちぃぃなぁぁ」
言うな中野っち...さらに暑くなる...
「純ちん遅れてくるってまた遅刻じゃんかー」
「昨日芝先から免れてるから油断してたんだなぁ」
「純ちん...」
「いやぁ遅くなった遅くなった!」
急いで来たのか少し汗をかいた純也がきた
「純也ぁー?昨日芝先に遅刻しないって誓ってなかったかー?」
「い、いやだー亮介それは芝先だけに誓ったんだよー」
まったく幼馴染みじゃなかったらボロクソ言われてるところだぞ!!
「じゃあ揃ったし行こうか亮ちん、純ちん」
「そうだそうだ!遊ぼうぜ!」
はぁ...まぁいいか!
「あぁ!行くか!」
「でどこから回る?」
確かに決めてなかったな
「取り敢えず俺にあう服探しかな」
(中野っちも相変わらず自分の事好きだなぁ)
「まぁ涼しいし大地の服探し行くか」
歩き始めたとき 全てが始まった
「...ん?」
「どした?大地?」
中野っちが急に止まった どうしたんだ?
「いや...なんでもっっ!!?」
!?なんだ?地震!?しかもでかい!!
「おい!地面が割れて!!」
「中野っち!!純也!!」
やばいやばいやばい!!純也と中野っちに瓦礫が!!
「おい!!大丈夫か!?中野っち...!?」
意識がねぇ!?このままだとまずい!
「純也!おい!!純也!!!っっ!!」
まじかよ!?純也もかよ!!こんな...
「こんな事って...急過ぎるだろ...!!」
(町がパニックになってる!揺れはおさまったけど...!?)
後ろから何かの雄叫びが聞こえた、聞いたことのない身体中に響き渡る
「なんだよ...映画の撮影でもやってんのか...?」
そんなわけない、そんなわけないんだ、ただ目の前の現実から逃げたかったんだ
「なんなんだよ!!この化け物はよぉぉぉぉ!!」
化け物がまた雄叫びをあげる
(!?体が震えてる!足が動かない...!)
「ははっ、もう笑えてくるよな...」
(しかしこの化け物...どっかで見たことがあるような...)
(!?昔、昔読んでた異世界小説で出てきたやつに似ている!!)
(確かあれは)
「雪男...イエティ...!!!」
「まさか異世界モンスターがこっちにくるとは」
昔の記憶、話し合ってたことを思い出した
俺達が夢に見てた、楽しく話てた異世界転移・異世界転生それが
「俺達が異世界に行くんじゃなくて」
「お前らがこっちにくるのかよぉぉぉぉ!!!?」
夏休み初日、俺達は異世界転移するのではなく、逆に異世界転移してきたモンスターにこの世界を壊されそうになっていた。