2の2 設定してしまった破滅
……帰る?
どうやったら帰れる?
空港から来たわけじゃない。当たり前だ。ここはゲームなんだから。
……ゲーム。
そうか。これがゲームなら、クリアしてしまえばいい。
魔王を倒せばクリアが――
いや、待て。
待て待て待て待て!
それだけはダメだ。
なんてことだ。
くそくそくそくそ!!!!
自分の浅慮がイヤになる。
この世界はクリアしたら滅ぶ。
そういう風にエンディングを実装したじゃないか……!
このゲームにはバッドエンドしかない!
低予算ゲームで、宣伝広告費もロクにない。
だから、口コミを期待して、敢えてバッドエンドにしたんだ。
チームでも批難の声はあったが、ゲームが飽和した今の時代、それくらいしないと気付いてすらもらえない。多少炎上したとしても、むしろ告知になるくらい、広告費はないんだ。
だからオレがディレクター権限で押し切ったが……
まさか、その決断のせいで、こんなことになるとは……。
「どうしたのじゃ? 顔が真っ青じゃぞ?」
「い、いや……なんでもない」
クリアするわけにはいかない。
だからといって、ここでアッパルプイの手を振り払ってどうなる?
入ることの出来ない砂漠の前に居座っても意味がない。
……まずは生き延びるのが大事だ。
幸い、これはRPG。時間制限はない。
村に着いたらゆっくり考えよう……
……。
……まだ、引っかかる。
何か重大なことをまだ忘れていて、それが頭の片隅にチラついている。そんな感覚。
結局、その正体が何かわからないまま、オレは村へ向かった。