表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/25

5の5

「しかし……どうやって帰るのじゃ?」

「それは……心配ない」

 最初は全く思いつかなかった帰還方法だが、いまは違う。

 あのバグが入っている、マスター前のバージョンなら方法はある。

 このゲームは内部的にはいくつかのエリア単位でデータが管理されている。例えば、魔王の城エリアとか、宝島エリアとか、そういったエリアごとにまとまったデータを持っているわけだ。

というのも、一度に大量のデータを読み込むと、ロード時間が長大になってしまう。そこで、エリアをいくつかの区分に分けることで、一度に読むデータを減らしているのだ。

そして、アッパルプイの村を含むこのエリアは、構成(レベル)的には、他のあるエリアも含んでいる。

 それは、「開発室」。

 昔のゲームにはよくあった、ゲーム開発者たちがいる部屋だ。実際のゲーム開発室を箱庭にしたような作りで、開発者たちに話しかけると、裏話なんかを一言二言話してくれる、いわばお遊びでありファンサービス要素だ。

開発者の人数が膨大になった現代ではほとんど見かけないのだが、本作はコアメンバーが極めて少ないので入れてみた。

 何にせよ、このあまりにもメタすぎる存在は、この世界においても異物なんじゃないだろうか。

 逆にあそこ以外に、元の世界と繋がっていそうな場所など思いつかないし、万一繋がっていなかったとしても、実際の開発機材と同じものが背景として用意されている。最悪、それを使ってエンディングを変えることはできるはずだ。

ところで開発室は、たいていクリア後でしか行くことができない。

だが、本作はクリアするとバッドエンドで世界は滅亡する。そのため本作で開発室に行けるのは、クリアデータを読み込んで、初めからスタートし直したものに限る。

その都合上、開発室はアッパルプイの村から隠しゲートを通って移動する仕組みになっており、わずか一部屋とデータが軽いこともあってこのエリアに埋め込まれているのだ。

具体的には、行くことができない「惑わしの砂漠」の向こう側、見えない当たり判定で阻まれたその先にデータとしては置かれている。もちろんプレイヤーから見ることはできないし、特別なゲートからジャンプするような仕組みだ。

だから、クリアしていないオレたちはそこにいくことが出来ない。

しかし、これがマスター前のバグ入りROMなら話は別だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ