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「突拍子もないことを……言うとるのはわかっておる……」
言葉とは裏腹に、その涙で潤み、真っ赤になった瞳には確信の色があった。
まるで、罪人を射抜くかのようにすら、感じられる、真実の鋭さが。
「じゃが……70年生きたわしより達観しておるように見える……まるで、世界の裏側まで見えているようじゃ。……それに、猪退治の前のアーシェラとの会話が引っかかる……おぬし……本当はこうなることを知っておったんじゃないか?」
「……」
答え、られなかった。
「……そうか。当たらずとも遠からじ……といったところじゃろうかな」
「……すまない」
「……何を謝る? もし、おぬしがかみさまなのであれば、これも必然なのじゃろう?」
「そう、だ……アーシェラの死は、止められない。だけど……だけど……オレはもっと……もっとそのことの意味を、考えるべきだった!」
オレはゲームを愛しているなどと言いながら、どこかでたかがゲームと思っていたんじゃないのか。
彼女たちは、ゲームの中で生きている。
それを頭に入れた上で、もっと真剣に向き合って物語を考えるべきだったんだ。
「ふぇふぇ……おかしいのう。……おぬしの顔、わしよりぐしゃぐしゃだぞ」
言われて、自分が涙を流していることに気づいた。
とめどなく溢れるそれは、頬を、顎を伝わって落ちていく。
「……わしはな、おぬしを恨んでおるわけではないぞ。……悪意でこれを成したのなら、ここまで苦しみはすまい……なにかやむを得ぬ事情があるのじゃろう」
ただ、と続ける。
「アーシェラを、本当に愛しておったものがおったことを、知っていてくれると……うれしい」
ああ、やっぱり。
彼女は生きている。
こんなに素晴らしいキャラクターが、自分の中から生まれてきたとは思えない。
オレはきっかけを作っただけだ。もう彼女は、彼女たちは自分たちで生きているんだ。
なら――