表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/25

2の4

 ……そう来るか。

 いや、考えてみれば当然かもしれない。オレだってエクスカリバーがネギの形だとか言われたら信じないだろう。

 イベントを積み重ねて初めて伝わるんだ。

「それが真実だと言うならそうじゃな……今、隣村を困らせておるモンスターの退治をしてみせてくれんか?」

 ……今度はそう来たか。

 もしかして、本来のルートに収束する……ということか?

 ……もう少し、情報が欲しい。やはり、今のところは、流れに乗っておこう。

「……わかった」

「ふむ。意外じゃな。冗談には冗談を、と思ったんじゃが……しかし、引き受けるというなら、わしも責任を持って同行せねばな。……じゃが」

 と、窓の方を向くアッパルプイ。窓と言っても、木のフタを枝で押さえているシンプルなもので、ガラス窓ではない。

 その窓から、オレンジ色の光が漏れていた。

「今日はもう遅い。今日の礼がてら、宿の親父に話はつけておく。もう今日は宿で休むといいじゃろう」

 ……次の目的地は宿か……。

 ……なんだろう。この気持ち。

 全部流れが決められている気持ち悪さは……。

 ゲームとしては、スムーズな誘導のはずだ。

 次にどこに行けばいいとかわからなくならない、むしろ親切な設計だと思う。

 だけど、全部敷かれたレールにのって動かされる息苦しさのようなものがある。

 オレは、一個の人間として主人公の性格を、行動をちゃんとデザインできていたんだろうか? それとも、ありがちなテンプレをただ、なぞってただけなのか……?

 喉の奥に物が詰まったような気持ち悪さを残したまま、オレは宿に向かった。

 村の入り口にある宿では、おばあちゃんが迎えてくれた。白髪だが丁寧に梳かれていて、それを後ろでまとめた姿は、品の良い印象だった。

 少し咳き込みがちなのと、顔の血色が悪いのが気にかかったが、この田舎の村で栄養状況もそういいとは思えないし、普通のことなのだろう。

「ケホッ……話は聞いているわ。アッパルプイを助けてくれたんですってね」

「え、ええ、まあ……」

「ありがとうね。私はアーシュラ。アッパルプイとは昔からの親友なの」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ