表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法都市f  作者: 冬月 雪
EP0.兵器の完成まで
2/2

行間 天上のお茶会 I

「そ、それは真か!?」


暗闇の中、中央のモニターだけが唯一の光となり、円卓を照らしている部屋で。


中世の貴族のような、深紅の豪華なドレスを着た金髪の女性が、一人立ち上がってそう叫んだ。


彼女の周りには、どこかの学校の制服や普通のパーカーなど個性もバラバラな衣装の女性や男性、少年少女たちが円卓を囲んでいたが、

皆立ち上がりすらしないものの、深紅のドレスの女性と同じようにその顔には動揺が広がっていた。


「......落ち着け、リア」


その中で、円卓の上座にあたる席に座っているゴスロリ衣装の小さな少女だけが一人、

表情も声色も一切変えない落ち着き払った様子で、深紅のドレスの女性に着席を促す。


見た目は明らかに深紅のドレスの女性の方が、10歳以上も上に見えるが、

その歳不相応な落ち着きや迫力は、見た目ではない何かが彼女の方が上なのだとハッキリと周りに誇示していた。


「ぬぅ......済まぬ」


事実、深紅のドレスの女性も、自分よりうんと年下の年端(としは)もいかない少女に偉そうに言われているのに、

嫌な顔一つもせずに非礼(ひれい)()びて、静かに着席した。


誰も何も言わない。

その光景を不思議に思う者は、()()()()()()()()()()()()()()


「......どうするのぉ? 早く何とかしないとマズイんじゃなぁい⁇」


自身の体型の良さを誇示(こじ)するかのような、タイトな黒のミニドレスに身を包んだ黒髪の女性が、

その見た目に(たが)わない甘ったるい声で問いかけながら、ゴスロリ少女の方を見る。


「............当然、回収を優先だ。

詳細が分かり次第、接触方法を考える」


よいな? とゴスロリ少女が円卓の面々を見る。

その眼光は有無を言わせるものではなく、その問いかけが形式だけのことだと皆分かっている。


誰も何も言わない。

言える人間は、()()()()()()()()()()()()()()







ゴスロリ少女は、少し遠くを見る。

その瞳に浮かぶのは、(ふる)い記憶。

......ただの......昔のこと。



でも。



もう戻らない、――――大切な記憶(おもいで)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ